○上田市男女共同参画推進条例

平成18年12月21日

条例第318号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第9条)

第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策(第10条―第21条)

第3章 上田市男女共同参画推進委員会(第22条―第28条)

第4章 補則(第29条)

附則

私たちの上田市は、豊かな自然に恵まれ長い歴史と文化をはぐくみ、自由画教育、上田自由大学、現代婦人教養大学等の先駆的な教育を実践してきた文化の薫り高い東信の中核都市である。

すべての人が性別にとらわれることなく、互いに人権を尊重し、自らの意思に基づいて個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会の実現は、私たち市民の切なる願いである。

わが国では、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、国際婦人年以降の世界的な取組と連動する中で女性の地位の向上に向けた法制上の整備がされてきた。

男女共同参画社会基本法は、少子高齢化の進展、国内経済活動の成熟化等わが国の社会経済情勢の急速な変化に対応し、あわせて世界のすう勢である男女共同参画社会の実現を最重要課題として位置付けている。

上田市においては、これまでも男女共同参画社会の実現を目指して、男女共同参画計画の策定等さまざまな施策を推進してきた。しかし、依然として性別によって役割を固定的にとらえる意識は根強く、特に意思決定の場への女性の参画が不十分な状況にあり、男女平等の達成に向けて多くの課題が残っている。

心豊かに安心して暮らせる社会を築いていくためには、市民一人ひとりが個性をはぐくみ、持てる力を発揮し、男女がともに家庭、学校、職場、地域その他の社会のあらゆる分野に積極的に参画することが必要である。

ここに、豊かで活力ある上田市を築くため、市、市民、事業者及び教育関係者が協働して、男女共同参画社会を早期に実現することを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、男女共同参画の推進についての基本理念を定め、市、市民、事業者及び教育関係者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策を定め、これを総合的かつ計画的に実施することにより、豊かで活力ある男女共同参画社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、ともに責任を担うことをいう。

(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に与えることをいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画の推進は、次の各号に掲げる基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり行われなければならない。

(1) 男女の人権の尊重 男女の個人としての尊重が重んぜられること、直接的であるか間接的であるかにかかわらず性別による差別的取扱いを受けないこと、個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されること。

(2) 家庭生活における活動と他の活動の両立 家族を構成する男女が、互いの協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員として責任を持ち、その役割を円滑に果たすとともに、職場、地域、その他のあらゆる分野における活動を行うことができるよう配慮されること。

(3) 社会における制度又は慣行についての配慮 社会における制度又は慣行が、男女の社会における活動の自由な選択を妨げることのないよう配慮されること。

(4) 政策等の立案及び決定への共同参画 男女が社会の対等な構成員として、市その他の団体における政策又は方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。

(5) 性と生殖に関する健康と権利の尊重 男女の対等な関係の下に、互いの性を理解し、尊重するとともに、妊娠、出産その他の性と生殖に関する事項において、男女が互いの意思を尊重し、ともに健康な生活を営む権利が尊重されること。

(6) 男女間における暴力の根絶 男女間におけるあらゆる暴力が根絶されること。

(7) 国際的協調 男女共同参画の推進は、国際社会におけるその取組と密接な関係を有していることを踏まえ、国際的協調の下に行われること。

(市の責務)

第4条 市長は、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、及び実施するものとする。

2 市長は、男女共同参画の推進に関する施策の実施に当たっては、国、県その他の地方公共団体、市民、事業者及び教育関係者と連携し、取り組むものとする。

(市民の責務)

第5条 市民(市内に居住し、通学し、通勤し、又は市内で活動する者をいう。以下同じ。)は、基本理念にのっとり、家庭、学校、職場、地域その他の社会のあらゆる分野において、自ら積極的に参画するとともに、市長が実施する男女共同参画の推進に関する施策を理解し、協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者(市内において公的機関、民間を問わず、又は営利、非営利を問わず事業を行う個人、法人及びその他の団体をいう。以下同じ。)は、基本理念にのっとり、男女が共同してその事業活動に参画することができる体制及び職業生活における活動と家庭生活における活動その他の活動とを両立することができる環境の整備に努めるとともに、市長が実施する男女共同参画の推進に関する施策を理解し、協力するよう努めなければならない。

(教育関係者の責務)

第7条 教育関係者(市内において、家庭教育、幼児教育(保育を含む。)、学校教育、職場教育及び社会教育その他のあらゆる教育に携わる者をいう。以下同じ。)は、教育が男女共同参画の推進に果たす役割の重要性を踏まえ、基本理念に配慮した教育を行うよう努めなければならない。

(性別による人権侵害の禁止)

第8条 すべての人は、家庭、学校、職場、地域その他の社会のあらゆる分野において、次に掲げる性別による人権侵害行為を行ってはならない。

(1) 性別による差別的取扱い

(2) 男女間における身体的又は精神的な苦痛を与える暴力的行為

(3) セクシュアル・ハラスメント(性的な言動により個人の生活環境を害する行為又は性的な言動を受けた個人の対応により当該個人に不利益を与える行為をいう。)

2 市長は、前項各号に掲げる行為の防止について必要な広報その他の啓発に努めるものとする。

(公衆に表示する情報に関する留意)

第9条 すべての人は、広告、ポスター、看板等公衆に表示する情報において、次に掲げる表現を行わないよう努めなければならない。

(1) 性別による固定的な役割分担及び男女間の暴力等を助長し、又は連想させる表現

(2) 不必要に女性の身体を強調する等の過度の性的な表現

第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策

(男女共同参画計画)

第10条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画の推進に関する施策についての基本的な計画(以下「男女共同参画計画」という。)を策定するものとする。

2 男女共同参画計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 総合的かつ長期的に講ずるべき男女共同参画の推進に関する施策の大綱

(2) 前号に掲げるもののほか、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、男女共同参画計画の策定に当たっては、市民、事業者及び教育関係者の意見が反映されるよう努めるとともに、第22条に規定する上田市男女共同参画推進委員会の意見を聴くものとする。

4 市長は、男女共同参画計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

5 前2項の規定は、男女共同参画計画の変更について準用する。

(施策の策定等に当たっての配慮)

第11条 市長は、あらゆる施策の策定及び実施に当たっては、基本理念にのっとり取り組むよう配慮するものとする。

(実施状況の公表)

第12条 市長は、毎年、男女共同参画の推進に関する施策の実施状況を上田市男女共同参画推進委員会に報告するとともに、これを公表するものとする。

(市民等の理解を深めるための啓発)

第13条 市長は、男女共同参画の推進について、市民、事業者及び教育関係者の理解を深めるために必要な広報その他の啓発を行うものとする。

(家庭生活における活動と他の活動との両立の支援)

第14条 市長は、男女がともに家庭生活における活動と職業生活における活動その他の活動とを両立することができるよう、必要な支援を行うものとする。

(教育及び学習の機会の充実)

第15条 市長は、男女共同参画に対する関心と理解を深めるため、学校教育、社会教育その他あらゆる分野の教育における男女共同参画に関する教育及び学習の機会の充実に努めるものとする。

(市民等の活動に対する支援)

第16条 市長は、市民、事業者及び教育関係者が男女共同参画の推進に関して行う活動に対し、情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。

(政策決定過程等への男女共同参画の推進)

第17条 市長は、家庭、学校、職場、地域その他の社会のあらゆる分野における活動において、男女間に参画する機会に格差が生じている場合は、市民、事業者及び教育関係者と協力し、積極的改善措置を講ずるよう努めるものとする。

2 市長その他の執行機関は、審議会等の委員を任命し、又は委嘱するに当たっては、積極的改善措置を講ずることにより、男女の均衡を図るよう努めるものとする。

(調査研究)

第18条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策を効果的に実施するため、男女共同参画に関する調査研究を行うとともに、市民、事業者及び教育関係者に対して情報の提供を行うものとする。

(事業者の報告及び表彰)

第19条 市長は、男女共同参画の推進に関し必要があると認めるときは、事業者に対し、男女の就業状況、参画状況その他の男女共同参画の推進に関する事項について報告を求めることができる。

2 市長は、男女共同参画の推進に関する取組を積極的に行っている事業者に対し、上田市男女共同参画推進委員会の意見を聴いて、これを表彰することができる。

(苦情及び相談への対応)

第20条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策に関し、市民から苦情の申出があったときは、関係機関と協力し、適切かつ迅速な対応をとるものとする。

2 市長は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害すると認められる要因による人権侵害に関し、市民から相談の申出があったときは、関係機関と協力し、必要な支援を行うものとする。

3 市長は、必要があると認めるときは、前2項の規定による申出に対応するため、上田市男女共同参画推進委員会の意見を聴くことができる。

(推進体制の整備)

第21条 市長は、男女共同参画を推進するため、次の各号に掲げる推進体制の整備に努めるものとする。

(1) 男女共同参画の推進に関する施策を総合的に企画調整し、及び実施するための必要な体制の整備

(2) 男女共同参画を推進するための必要な拠点の整備

(3) 男女共同参画計画に基づく施策を実施するための財政上の措置その他必要な措置

第3章 上田市男女共同参画推進委員会

(設置)

第22条 男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進する上で必要な事項を調査審議するため、上田市男女共同参画推進委員会(以下「委員会」という。)を設置する。

(任務)

第23条 委員会は、次に掲げる事項について、市長の諮問に応じて調査審議をするものとする。

(1) 男女共同参画計画の策定及び変更に関する事項

(2) 男女共同参画の推進に関する施策に関する事項

(3) 男女共同参画の推進に関する施策の実施状況の評価に関する事項

(4) 事業者の表彰に関する事項

(5) その他男女共同参画の推進に関する事項

(組織)

第24条 委員会は、委員10人以内をもって組織し、男女のいずれか一方の委員の数は、委員総数の10分の4未満であってはならない。

2 委員は、市民、関係団体の代表者及び学識経験のある者のうちから市長が委嘱する。

(任期)

第25条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員は、再任されることができる。

(会長及び副会長)

第26条 委員会に会長及び副会長を置き、委員が互選する。

2 会長は、会務を総理し、委員会を代表する。

3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理する。

(会議)

第27条 会議は、会長が招集し、会長が議長となる。

2 委員会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。

3 会議の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。

4 会長は、専門的な事項について必要があると認めるときは、委員以外の者を会議に出席させ、意見を求めることができる。

(部会)

第28条 委員会に、必要に応じて部会を置くことができる。

第4章 補則

(補則)

第29条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成19年1月1日から施行する。

(上田市男女共同参画推進委員会条例の廃止)

2 上田市男女共同参画推進委員会条例(平成18年上田市条例第161号。次項において「廃止条例」という。)は、廃止する。

(廃止条例の経過措置)

3 この条例の施行前に廃止条例の規定に基づき委嘱された委員は、この条例の相当規定に基づき委嘱された委員とみなし、その任期は通算する。

上田市男女共同参画推進条例

平成18年12月21日 条例第318号

(平成19年1月1日施行)

体系情報
第9編
沿革情報
平成18年12月21日 条例第318号