館報10号(2001.8.20発行)
| 池波正太郎「真田太平記」の 舞台を歩く・写真展 開催中 会期:平成13年7月20日(金)〜9月24日(日) 会場:池波正太郎真田太平記館 多目的ホール 池波正太郎真田太平記館夏の企画展『池波正太郎「真田太平記」の舞台を歩く写真展』が始まっています。 今展では、「真田太平記」4巻〜5巻(新潮社文庫版)、<甲賀問答〜秀頼誕生>までの舞台となった、甲賀の里(甲賀町、甲南町、甲西町、水口町など)、歴史的な舞台でもある佐和山城(彦根市)、大坂城(現・大阪)、伏見城(京都市伏見区)、真田氏の故郷・上田市、真田町などを取り上げました。また、<甲賀問答〜秀頼誕生>には、多くの忍びの者たちが活躍しています。その忍びたちのルーツでもある甲賀の里には、忍術を継承していた中世武士の館跡が今も大切に残されています。 小説の舞台を歩くという文学散歩は、作品を読む楽しみのひとつでもあります。展示いたしましたこれらの写真を、作品の背景としてお楽しみいただければ幸いです。 山中内匠守屋敷跡 山中屋敷跡は、現在竹林の中にある。甲賀の武士たちはそれぞれの本拠地に城や館を構えていた。山中氏は鈴鹿峠西麓の山中を本拠とし、柏木御厨の庄官的性格を持っていた武士である。平安末期にこの地に土着したと考えられており、鎌倉時代には山中村地頭職として、京都大番役を勤仕している。柏木郷宇田の屋敷は山中氏の居住地として残された。 水口城本丸矢倉 水堀と高い石垣に囲まれた本丸には、矢倉など城郭の一部が模倣復元された資料館が築かれている。「真田太平記」に登場するのは、天正13年築かれた水口岡山城。この水口城は、徳川氏が東海道通行時に宿泊する城館として築かれたものである。 角間渓谷 向井佐平次ともよの子・佐助が忍術修行をしたという角間渓谷。奇岩や大岩の続く美しい渓谷には、真田氏の隠し湯と伝えられ、戦国時代に傷ついた兵を匿ったことから名付けられた角間温泉がある。 |
企画展会場 山中内匠守屋敷跡 水口城本丸矢倉 角間渓谷 |
| 新発売! 池波正太郎自筆画ポストカード ご来館のみなさまにご希望いただいておりました「池波正太郎自筆画ポストカードが出来上がり、販売を始めました。 池波先生の人気作品「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」の主人公を描いた『三大シリーズセット』、「犬」「猫」にフランス旅行のスケッチ三点を加えた『池波正太郎自筆画セット』の2セットを新発売。 |
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| 三大シリーズセット 300円 <「鬼平犯科長」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」> 仕掛人・藤枝梅安 老剣客・秋山小兵衛 長谷川平蔵 市中見回りの図 |
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| 池波正太郎自筆画セット 400円 犬・猫・フランス旅行のスケッチ |
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| 同時発売 新村清比古切り絵ポストカード 300円 地元の切り絵作家・新村清比古氏の「池波正太郎真田太平記館全景」と「風間完挿絵ギャラリー」の切り絵ポストカードをシアター両袖の切り絵と4枚セットで新発売。 |
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| 生まれ育った浅草の地に 「池波正太郎記念文庫」オープン 鶴松房治 池波正太郎は東京・浅草聖天町にある待乳山聖天宮の近くでうまれ、永住町で育った。 江戸を背景とした小説を執筆する際、いつも手元に置いていたものの一つがきり絵図で、嘉永年間に麹町、近江屋・近吾堂(きんこどう)が出版した近吾堂版と、尾張屋・金鱗堂が版元の尾張屋版の二種類が、いまでも池波家に残されている。 この、江戸の区分地図ともいえる切絵図のうち、尾張屋版の〔今戸箕輪浅草絵図〕をみると、左下、大きく描かれた浅草寺の右下が待乳山聖天宮で、その前面の三角地点が生誕の地だ。絵図の下方には隅田川が流れ、池波作品のさまざまな舞台となっている。隅田川沿いに北に行ったあたり、橋場には「剣客商売」の秋山小兵衛がお気に入りの料理屋〔不二楼〕があり、近くには「鬼平犯科帳」で長谷川平蔵が好んだ、しじみ汁の〔三好屋〕、さらに進むと「仕掛人・藤枝梅安」で梅安が通った料理屋〔井筒〕が、その先の真崎稲荷付近には、秋山大治郎の道場、塩入土手には梅安の相棒、彦次郎の住居があったところだ。 待乳山聖天宮の西側には江戸のブロードウェイともいえる、歌舞伎芝居江戸三座、人形操り二座がそろう猿若町が、その西側、絵図のちょうど真ん中あたりに四角に囲われて、吉原がある。 池波正太郎が生まれ育った地は、かつて江戸の庶民文化の中心地であり、こうした色彩が色濃く残った東京の、下町の視点で小説を描いた。 池波作品の原点ともいえるこの地に、今年9月〔池波正太郎記念文庫〕がオープンする。もう一度絵図に目をもどすと、浅草寺後方の西側に、御書院番・小笠原帯刀の屋敷があり、ここは現在では西浅草三丁目となる。ちょうどこの屋敷あたりに、台東区の生涯学習センターが建設され、一階の新しい中央図書館に、記念文庫が併設される。著作本、一万冊に及ぶ蔵書、自筆原稿、絵図、ノートなど池波正太郎作品のさまざまな資料を保管し、その一部を常時ご覧いただく施設で、収蔵品は二万五千点を超える。 常設の展示スペースは二つのコーナーに分けられ、池波正太郎の作品、資料を展示するコーナーと、日本の時代小説七千冊を収集した時代小説コーナーがある。池波コーナーでは七百冊を超える著作本がそろい、書斎の一部を復元、机や書棚など生前のままの形で再現した。また、長谷川平蔵の家系をはじめて認識したといわれる『寛政重修諸家譜』、『江戸名所図絵』ほか貴重な蔵書、「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」の三大連作のブロックでは、ファンにとって楽しみな、創作ノート、自筆原稿、三作品の舞台をポイントで示した大江戸図などを見ることができる。 遺愛品のブロックには、普段使用していた万年筆や帽子、小学校時代の通信簿、また恩長谷川伸氏から贈られた掛け軸、ステッキ、直木賞受賞の折、吉川英治氏からのお祝い電報など、思い出深い品々が並ぶ。その他、絵画や旅・食・人生のエッセイを集めたブロック、企画展示ブロックでは、定期的にいろいろな展示が計画され、池波正太郎の世界全容が紹介される。 第一回の企画展示は、自筆原稿、中一弥氏の挿絵屏風、初公開の未発表原稿、十代に執筆した句集、長谷川伸氏より教えを受けた聞き書きなど、貴重な資料の展示が予定される。また、時代小説コーナーには、日本の時代小説のほとんどを網羅した作品が収集され、初期の貴重本など、ファンや研究家には楽しみな、国内でも数少ない時代小説文庫となる。 池波正太郎は作品の舞台となる地の、風土や季節ごとの営みを特に大事にした作家である。「真田太平記」や多くの真田ものを執筆する際にも、好きな風土の信州をたびたび訪れ、そこで出会った人々との交わりから得たものを作品に反映させた。その交流においても、常に、人と人とが互いに信頼を寄せ合い、生き、働いていた下町の生活、江戸の人情が残る浅草、この地で生まれ育った〔東京人(とうきょうびと)〕の視点で接していた。池波正太郎の原点ともいえる浅草、もっともふさわしい地に資料展示館がオープンする。 上田の〔池波正太郎真田太平記館〕、さらに〔池波正太郎記念文庫〕の開設により、ファンにとっては池波正太郎の世界、その思い出をこれまで以上に、身近にご覧いただけることになる。記念文庫は今秋、9月27日から一般公開される。 |
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