○上田市文化財保護条例
平成18年3月6日
条例第95号
目次
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 上田市指定有形文化財(第4条―第19条)
第3章 上田市指定無形文化財(第20条―第25条)
第4章 上田市指定民俗文化財(第26条―第30条)
第5章 上田市指定史跡名勝天然記念物(第31条―第34条)
第6章 上田市選定保存技術(第35条―第37条)
第7章 上田市文化財保護審議会(第38条―第41条)
第8章 補則(第42条・第43条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)又は文化財保護条例(昭和50年長野県条例第44号。以下「県条例」という。)の規定による指定を受けた文化財以外の文化財で、市の区域内に存するもののうち重要なものについて、その保存及び活用のため必要な措置を講じ、もって市民の文化的向上に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「文化財」とは、法第2条第1項第1号から第4号までに掲げる有形文化財、無形文化財、民俗文化財及び記念物をいう。
(財産権の尊重及び他の公益との調整)
第3条 上田市教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、この条例の施行に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。
第2章 上田市指定有形文化財
(指定)
第4条 教育委員会は、市の区域内に存する有形文化財(法第27条第1項の規定により重要文化財又は県条例第4条第1項の規定により長野県宝に指定されたものを除く。以下同じ。)のうち重要なものを上田市指定有形文化財(以下「指定有形文化財」という。)に指定することができる。
2 前項の規定による指定をしようとするときは、教育委員会は、あらかじめ指定しようとする有形文化財の所有者又は権原に基づく占有者(以下「所有者等」という。)の同意を得なければならない。ただし、所有者等が判明しない場合は、この限りでない。
3 第1項の規定による指定をしようとするときは、教育委員会は、あらかじめ上田市文化財保護審議会に諮問しなければならない。
4 第1項の規定による指定は、その旨を告示するとともに、当該指定有形文化財の所有者等に通知して行うものとする。
6 第1項の規定による指定をしたときは、教育委員会は、当該指定有形文化財の所有者等に指定書を交付しなければならない。
(解除)
第5条 指定有形文化財が指定有形文化財としての価値を失ったとき、その他特別の理由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。
3 指定有形文化財について、法第27条第1項による重要文化財又は県条例第4条第1項の規定による長野県宝の指定があったときは、当該指定有形文化財の指定は解除されたものとする。
(所有者等の管理義務及び管理責任者)
第6条 指定有形文化財の所有者等は、この条例並びにこれに基づく教育委員会規則及び教育委員会の指示に従い、当該指定有形文化財を管理しなければならない。
2 指定有形文化財の所有者等は、特別の理由があるときは、適当な者を専ら自己に代わり当該指定有形文化財の管理の責に任ずべき者(以下「管理責任者」という。)に選任することができる。
3 前項の規定により管理責任者を選任したときは、指定有形文化財の所有者等は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。管理責任者を解任した場合も同様とする。
4 第1項の規定は、管理責任者について準用する。
(所有者の変更等)
第7条 指定有形文化財の所有者等に変更があったときは、新たに所有者等となった者(以下「新所有者等」という。)は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
2 指定有形文化財の所有者等又は管理責任者は、その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
(滅失、損傷等)
第8条 指定有形文化財の全部又は一部が滅失し、若しくは損傷し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたときは、所有者等(管理責任者がある場合は、その者。次条において同じ。)は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
(所在の変更)
第9条 指定有形文化財の所在の場所を変更しようとするときは、所有者等は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、教育委員会規則で定める場合には、届出を要せず、又は所在の場所を変更した後届け出ることをもって足りる。
(修理)
第10条 指定有形文化財の修理は、所有者等が行うものとする。
(管理又は修理に関する勧告)
第11条 指定有形文化財の管理が適当でないため、当該指定有形文化財が滅失し、損傷し、又は盗み取られるおそれがあると認めるときは、教育委員会は、所有者等又は管理責任者に対し、管理方法の改善、保存施設の設置その他管理に関し必要な措置を執るべきことを勧告することができる。
2 指定有形文化財が損傷している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、教育委員会は、所有者等に対し、その修理について必要な勧告をすることができる。
(経費の補助)
第12条 指定有形文化財の管理又は修理につき多額の経費を要し、所有者等がその負担に耐えない場合その他特別の理由がある場合には、市長は、その経費の全部又は一部を予算の範囲内で補助することができる。
2 前項の補助金を交付する場合には、教育委員会は、その補助の条件として管理又は修理に関し必要な事項を指示するとともに、必要があると認めるときは、当該管理又は修理について指揮監督することができる。
(2) 補助金の交付を受けた目的以外に使用したとき。
(3) 前条第2項の補助の条件に従わなかったとき。
(現状変更等の制限)
第14条 指定有形文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、非常災害のために必要な応急措置を執る場合を除き、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状の変更については維持の措置を執る場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は、この限りでない。
2 前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、教育委員会規則で定める。
2 指定有形文化財の保護上必要があると認めるときは、教育委員会は、前項の届出に係る修理に関し技術的な指導及び助言を与えることができる。
(環境保全)
第16条 教育委員会は、指定有形文化財の保存のため必要があると認めるときは、地域を定めて一定の行為を制限し、若しくは禁止し、又は必要な施設の設置を命ずることができる。
2 前項の規定による処分により損失を受けた者に対しては、市は、その通常生ずべき損失を補償する。
(公開)
第17条 指定有形文化財の公開は、所有者等が行うものとする。
3 教育委員会は、指定有形文化財の所有者等に対し、6箇月以内の期間を限って、教育委員会の行う公開の用に供するため当該指定有形文化財を出品することを勧告することができる。
4 教育委員会は、指定有形文化財の所有者等に対し、3箇月以内の期間を限って、当該指定有形文化財の公開を勧告することができる。
7 第3項の規定に該当する場合を除き、指定有形文化財の所有者等以外の者が、その主催する展覧会その他の催しにおいて当該指定有形文化財を公開しようとするときは、教育委員会の承認を受けなければならない。
(報告の徴取)
第18条 教育委員会は、必要があると認めるときは、指定有形文化財の所有者等又は管理責任者に対し、当該指定有形文化財の現状又は管理、修理若しくは環境保全の状況につき報告を求めることができる。
(所有者等の変更に伴う権利義務の承継)
第19条 指定有形文化財の所有者等に変更があったときは、新所有者等は、当該指定有形文化財に関しこの条例に基づいてする教育委員会の命令、指示その他の処分による従前の所有者等の権利義務を承継する。
2 前項の場合には、従前の所有者等は、当該指定有形文化財の引渡しと同時にその指定書を新所有者等に引き渡さなければならない。
第3章 上田市指定無形文化財
(指定)
第20条 教育委員会は、市の区域内に存する無形文化財(法第71条第1項の規定により重要無形文化財又は県条例第19条第1項の規定により長野県無形文化財に指定されたものを除く。)のうち重要なものを上田市指定無形文化財(以下「指定無形文化財」という。)に指定することができる。
2 教育委員会は、前項の規定による指定をするに当たっては、あらかじめ当該指定無形文化財の保持者又は保持団体(指定無形文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)の同意を得て、保持者又は保持団体を認定しなければならない。
3 教育委員会は、第1項の規定による指定をした後においても、当該指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めるときは、あらかじめそのものの同意を得て保持者又は保持団体として追加認定することができる。
(解除)
第21条 指定無形文化財が指定無形文化財としての価値を失ったとき、その他特別の理由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。
2 保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められるとき、保持団体がその構成員の異動等のため保持団体として適当でなくなったと認められるとき、その他特別の理由があるときは、教育委員会は、その認定を解除することができる。
4 指定無形文化財について法第71条第1項の規定による重要無形文化財又は県条例第19条第1項の規定による長野県無形文化財の指定があったときは、当該指定無形文化財の指定は解除されたものとする。
(保持者の氏名変更等)
第22条 保持者が氏名若しくは住所を変更し、又は死亡したときは、保持者又はその相続人は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。保持団体が名称、住所若しくは代表者を変更し、構成員に異動を生じ、又は解散したときも、代表者(解散した場合にあっては、代表者であった者)について、同様とする。
(保存)
第23条 教育委員会は、指定無形文化財の保存のため必要があると認めるときは、指定無形文化財について、その記録を作成し、伝承者を養成し、その他その保存のため適当な措置を執り、又は保持者、保持団体その他適当な者を選定してこれらの措置を執らせることができる。
2 市長は、前項の保持者、保持団体その他の者に対し、指定無形文化財の保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
(公開)
第24条 教育委員会は、指定無形文化財の保持者又は保持団体に対し当該指定無形文化財の公開を、指定無形文化財の記録の所有者に対しその記録の公開を勧告することができる。
2 前項の規定による公開のために要する費用は、その全部又は一部を市の負担とすることができる。
(保存に関する助言又は勧告)
第25条 教育委員会は、指定無形文化財の保持者、保持団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。
第4章 上田市指定民俗文化財
(指定)
第26条 教育委員会は、市の区域内に存する有形の民俗文化財(法第78条第1項の規定により重要有形民俗文化財又は県条例第25条第1項の規定により長野県有形民俗文化財に指定されたものを除く。)のうち重要なものを上田市指定有形民俗文化財(以下「指定有形民俗文化財」という。)に、無形の民俗文化財(同法同条同項の規定により重要無形民俗文化財又は同条例同条同項の規定により長野県無形民俗文化財に指定されたものを除く。)のうち重要なものを上田市指定無形民俗文化財(以下「指定無形民俗文化財」という。)に指定することができる。
4 第1項の規定による指定無形民俗文化財の指定は、その旨を告示して行うものとする。
(解除)
第27条 指定有形民俗文化財又は指定無形民俗文化財が、指定有形民俗文化財又は指定無形民俗文化財としての価値を失ったとき、その他特別の理由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。
4 第1項の規定による指定無形民俗文化財の指定の解除は、その旨を告示して行うものとする。
5 指定有形民俗文化財又は指定無形民俗文化財について法第78条第1項の規定による重要有形民俗文化財若しくは重要無形民俗文化財又は県条例第25条第1項の規定による長野県有形民俗文化財若しくは長野県無形民俗文化財の指定があったときは、当該指定有形民俗文化財又は当該指定無形民俗文化財の指定は解除されたものとする。
(指定有形民俗文化財の保護)
第28条 指定有形民俗文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。
2 指定有形民俗文化財の保護上必要があると認めるときは、教育委員会は、前項の届出に係る現状変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指示をすることができる。
(指定無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財の記録の作成)
第29条 教育委員会は、指定無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財のうち特に必要のあるものを選択して、その記録を作成し、保存し、又は公開することができるものとし、市長は、当該無形の民俗文化財の公開又はその記録の作成、保存若しくは公開を行う者に対し、これに要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
第5章 上田市指定史跡名勝天然記念物
(指定)
第31条 教育委員会は、市の区域内に存する記念物(法第109条第1項の規定により史跡、名勝若しくは天然記念物又は県条例第30条第1項の規定により長野県史跡、長野県名勝若しくは長野県天然記念物に指定されたものを除く。)のうち重要なものを上田市指定史跡、上田市指定名勝又は上田市指定天然記念物(以下「指定史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。
(解除)
第32条 指定史跡名勝天然記念物が指定史跡名勝天然記念物としての価値を失ったとき、その他特別の理由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。
3 指定史跡名勝天然記念物について法第109条第1項の規定による史跡、名勝若しくは天然記念物又は県条例第30条第1項の規定による長野県史跡、長野県名勝若しくは長野県天然記念物の指定があったときは、当該指定史跡名勝天然記念物の指定は解除されたものとする。
第6章 上田市選定保存技術
(選定等)
第35条 教育委員会は、市の区域内に存する伝統的な技術又は技能で文化財の保存のために欠くことのできないもの(法第147条第1項の規定により選定保存技術又は県条例第35条第1項の規定により長野県選定保存技術に選定されたものを除く。)のうち保存の措置を講ずる必要があるものを上田市選定保存技術(以下「市選定保存技術」という。)として選定することができる。
2 教育委員会は、前項の規定による選定をするに当たっては、あらかじめ当該市選定保存技術の保持者又は保存団体(市選定保存技術を保存することを主たる目的とする団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)の同意を得て、保持者又は保存団体を認定しなければならない。
(解除)
第36条 市選定保存技術について保存の措置を講ずる必要がなくなったとき、その他特別の理由があるときは、教育委員会は、その選定を解除することができる。
2 保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められるとき、保存団体が保存団体として適当でなくなったと認められるとき、その他特別の理由があるときは、教育委員会は、保持者又は保存団体の認定を解除することができる。
4 市選定保存技術について法第147条第1項の規定による選定保存技術又は県条例第35条第1項の規定による長野県選定保存技術の選定があったときは、当該市選定保存技術の選定は、解除されたものとする。
第7章 上田市文化財保護審議会
(設置)
第38条 法第190条の規定により、教育委員会の諮問に応じ、文化財の保存及び活用に関する重要事項について調査審議し、並びにこれらの事項について教育委員会に答申するため、上田市文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(組織等)
第39条 審議会は、委員7人以内をもって組織する。
2 委員は、文化財に関する学識経験のある者のうちから、教育委員会が任命する。
3 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 委員は、再任されることができる。
5 委員の任期が満了したときは、当該委員は、後任者が委嘱されるまで引き続きその職務を行うものとする。
(会長)
第40条 審議会に会長を置き、委員が互選する。
2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
3 会長に事故があるときは、あらかじめ会長が指名した委員がその職務を代理する。
(会議)
第41条 会議は、会長が招集し、会長が議長となる。
2 会議は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。
3 会議の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。
第8章 補則
(標識等の設置)
第42条 教育委員会又は指定有形文化財若しくは指定史跡名勝天然記念物の所有者等は、教育委員会規則で定める基準により、指定有形文化財又は指定史跡名勝天然記念物の管理に必要な標識、説明板、境界標、囲いさくその他の施設を設置するものとする。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成18年3月6日から施行する。