○上田市太陽光発電設備の適正な設置に関する条例

令和元年7月1日

条例第22号

(目的)

第1条 この条例は、市内における太陽光発電設備の設置に関し必要な事項を定めることにより、設置に適した場所への導入を図り、もって市民の生命及び財産の保護、良好な景観の形成並びに豊かな自然環境及び生活環境の保全を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 太陽光発電設備 太陽光を電気に変換する設備及びその附属設備であって、土地に自立して設置されるものをいう。

(2) 太陽光発電設備設置事業 第6条に規定する抑制区域内に太陽光発電設備を設置する事業(建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物の屋根又は屋上に太陽光発電設備を設置するもの及び農地に支柱を立てて、営農を継続しながら上部空間に太陽光発電設備を設置するものを除く。)又は当該太陽光発電設備を設置するために行う木竹の伐採、土地の造成その他土地の区画形質の変更を行う事業をいう。

(3) 事業者 太陽光発電設備設置事業を行う者をいう。

(4) 事業区域 太陽光発電設備設置事業を行う一団の土地(継続的又は一体的に事業を行う土地を含む。)をいう。

(5) 地域住民等 事業区域の境界から30メートル以内の区域に土地又は建築物を所有する者及び居住する者並びに事業区域に係る自治会その他事業により影響を受ける者であって規則で定めるものをいう。

(市の責務)

第3条 市は、第1条に定める目的を達成するために、この条例の適正かつ円滑な運用が図られるよう必要な措置を講ずるものとする。

(事業者の責務)

第4条 事業者は、関係法令及びこの条例を遵守し、災害の防止、良好な景観形成並びに豊かな自然環境及び市民の生活環境の保全に十分配慮するとともに、地域住民等との良好な関係に配慮しなければならない。

(地域住民等の責務)

第5条 地域住民等は、市の施策及びこの条例に定める手続の実施に協力するよう努めなければならない。

(抑制区域)

第6条 市長は、市民の生命及び財産の保護、良好な景観形成並びに豊かな自然環境及び市民の生活環境の保全を図るため、太陽光発電設備設置事業の実施について特に配慮が必要と認められる区域を抑制区域として指定するものとする。

(区域の指定)

第7条 前条に規定する抑制区域は、次のとおりとする。

(1) 砂防法(明治30年法律第29号)第2条の規定により指定された砂防指定地

(2) 地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)第3条第1項の規定により指定された地すべり防止区域及びこれに準ずる区域

(3) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第3条第1項の規定により指定された急傾斜地崩壊危険区域及びこれに準ずる区域

(4) 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第9条第1項の規定により指定された土砂災害特別警戒区域及びこれに準ずる区域

(5) 森林法(昭和26年法律第249号)第25条第1項の規定により指定された保安林の区域

(6) 長野県水環境保全条例(平成4年長野県条例第12号)第11条第1項の規定により指定された水道水源保全地区の区域

(7) 農地法(昭和27年法律第229号)第4条第6項第1号イに規定する農用地区域及び同号ロに規定する農地の区域

(8) 自然公園法(昭和32年法律第161号)第5条第1項の規定により指定された国立公園及び同条第2項の規定により指定された国定公園の区域

(9) 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第109条第1項の規定により指定された史跡、名勝若しくは天然記念物若しくは同条第2項の規定により指定された特別史跡、特別名勝若しくは特別天然記念物、文化財保護条例(昭和50年長野県条例第44号)第30条第1項の規定により指定された長野県史跡、長野県名勝若しくは長野県天然記念物又は上田市文化財保護条例(平成18年条例第95号)第31条第1項の規定により指定された上田市指定史跡、上田市指定名勝若しくは上田市指定天然記念物の区域

(10) 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号)第29条第1項の規定により指定された鳥獣保護区の特別保護地区の区域

2 市長は、必要があると認めるときは、抑制区域を変更することができる。

3 市長は、第1項の規定により抑制区域を指定したとき又は前項の規定により抑制区域を変更したときは、その旨を告示するものとする。

(適用範囲)

第8条 この条例の規定は、抑制区域内で実施しようとする事業区域の面積が1,000平方メートル以上、かつ、太陽光発電設備の発電出力が50キロワット以上の太陽光発電設備設置事業(以下「事業」という。)に適用する。

2 同一の事業者(土地の所有者又は占有者のいずれかが同一の場合を含む。)が、既に完了し、又は実施中の事業に係る土地に隣接して事業をする場合については、これらを一の事業とみなして前項の規定を適用する。

(標識の設置)

第9条 事業者は、地域住民等に事業の計画を公開し、周知するため、次条に規定する事前協議を行う30日以上前から第19条第2項の規定による通知を受けた日まで、規則で定めるところにより、事業区域内の道路に面した見やすい場所に標識を設置しなければならない。

2 事業者は、事業内容を変更しようとするときは、前項の規定により設置した標識に変更する内容を掲示しなければならない。

3 事業者は、第1項の規定により標識を設置したとき、又は前項の規定により標識の掲示内容を変更したときは、その旨を市長に届け出なければならない。

(事前協議)

第10条 事業者は、第14条に規定する届出をしようとするときは、当該届出を行う60日前までに、事業に関する計画について市長と協議しなければならない。

2 前項の規定による協議は、規則で定める資格を有する者(次条において「設計者」という。)が行わなければならない。

3 市長は、第1項の規定による協議が終了したときは、事業者に当該協議が終了した旨を通知するものとする。

(説明会の開催)

第11条 事業者は、第9条第1項の規定による標識の設置後、速やかに地域住民等に対して規則で定める事項に関する説明会を開催しなければならない。

2 前項の規定による地域住民等への説明会における説明は、設計者が行わなければならない。

3 事業者は、第1項の規定により地域住民等への説明会を開催したときは、その旨を市長に報告しなければならない。

4 事業者は、地域住民等の理解が得られるよう説明に努めなければならない。

5 第1項から前項までの規定は、第9条第2項の規定による事業内容を変更した場合について準用する。

(意見の申出)

第12条 地域住民等は、前条の規定による説明会を開催した事業者に対し、事業に関する計画について意見を申し出ることができる。

2 事業者は、地域住民等から意見の申出があったときは、その内容を市長に報告しなければならない。

(地域住民等との協議)

第13条 事業者は、前条第1項の規定による意見の申出があったときは、規則で定めるところにより、当該申出をした地域住民等と協議しなければならない。ただし、協議を行うことが困難であると市長が特に認めるときは、この限りでない。

2 事業者は、第1項の規定により協議を行ったときは、その結果を市長に報告しなければならない。

(事業の届出)

第14条 事業者は、第10条第3項の規定による通知を受けて事業を実施しようとするときは、事業計画書その他規則に定める書類を市長に届け出なければならない。

(協定の締結等)

第15条 事業者は、事業の実施に必要な手続を終了したときは、事業に関する協定を市長と締結しなければならない。

2 事業者は、前項により締結した協定を忠実に履行し、誠実に守らなければならない。

3 事業者は、事業区域内の土地又は太陽光発電設備を第三者に譲渡しようとするときは、譲受人に対し、第1項の規定により締結した協定内容並びに市長及び地域住民等との協議内容及び指示事項を遵守させなければならない。

(事業の着手)

第16条 事業者は、前条第1項の規定による協定の締結後、事業に着手しようとするときは、その旨を市長に届け出なければならない。

(関係書類の閲覧)

第17条 事業者は、当該事業を行っている間、地域住民等の求めがあったときは、この条例の規定により市長に提出した書類の写しを閲覧させなければならない。

(事業の変更等)

第18条 事業者は、事業の内容又は事業者を変更しようとするときは、その旨を市長に届け出なければならない。当該事業を取り下げるときも、同様とする。

(完了確認)

第19条 事業者は、事業の造成工事、太陽光発電設備設置工事及び付帯工事が完了したときは、速やかにその旨を市長に届け出て、確認を受けなければならない。

2 市長は、当該工事の完了を確認したときは、その旨を事業者に通知するものとする。

(報告の徴収及び立入調査)

第20条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、事業者に対し、報告若しくは資料の提出を求め、又は事業者の同意を得て、関係職員を事業区域に立ち入らせて必要な調査をさせ、若しくは関係者に質問させることができる。

2 前項の規定による立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

3 第1項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(指導、助言及び勧告)

第21条 市長は、必要があると認めるときは、事業者に対して、必要な措置を講ずるよう指導又は助言を行うことができる。

2 市長は、次の各号のいずれかに該当する場合は、事業者に対して、期限を定めて必要な措置を講ずるよう勧告をすることができる。

(1) 事業者が第14条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

(2) 事業者が第15条第1項の規定による協定の締結をせず、太陽光発電設備設置工事に着手したとき。

(3) 事業者が前条第1項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をし、又は同項の規定による事業区域への立入り若しくは必要な調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。

(4) 事業者が前項の規定による指導、助言に正当な理由なく従わなかったとき。

3 事業者は、前2項に規定する指導、助言又は勧告を受けた場合は、当該指導、助言又は勧告により講じた措置の内容について、速やかに市長に報告しなければならない。

(公表)

第22条 市長は、前条第2項の規定による勧告を受けた事業者が、正当な理由なく当該勧告に従わないときは、当該勧告に従わない事業者の氏名及び住所(法人その他の団体にあっては、その名称及び代表者の氏名並びに主たる事務所の所在地)並びに当該勧告の内容を公表することができる。

2 市長は、前項の規定により公表しようとするときは、あらかじめ当該事業者にその理由を通知し、弁明の機会を与えなければならない。

(国又は県への通知)

第23条 市長は、文書にて指導、助言及び勧告を行った場合は、関連資料を添えて、その内容及び事実を国又は県へ通知することができる。

(防災等の措置)

第24条 事業者は、事業により周辺地域にがけ崩れ、出水又は土砂の流出による災害が生じないよう擁壁その他の土留施設等の設置について、安全上必要な措置を講じなければならない。

2 事業者は、工事の休止又は廃止をしようとするときは、既に施行された工事によって周辺地域住民に被害を及ぼさないよう適切な措置を講じなければならない。

(生活妨害防止の措置)

第25条 事業者は、当該事業に関し、運行する自動車等による近隣住民に対する生活妨害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

(文化財の発見)

第26条 事業者は、事業実施に当たり文化財を発見したときは、速やかに上田市教育委員会に報告し、その保存、管理等について協力しなければならない。

(災害の復旧)

第27条 事業者は、事業に起因して災害が発生したときは、市その他関係機関と速やかに協議し、誠意をもって災害の復旧を行わなければならない。

(適用除外)

第28条 第8条に規定する事業については、上田市開発事業の規制に関する条例(平成18年条例第148号)の規定は適用しない。

(補則)

第29条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、令和元年8月1日(次項において「施行日」という。)から施行する。ただし、第1条から第8条までの規定は、公布の日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行前に上田市太陽光発電設備の設置に関する指導要綱(平成27年告示第120号)の規定により届出その他の手続をしなければならない事項で、この条例の施行日前にその手続がされているものについては、この条例に別段の定めがあるものを除き、それぞれこの条例の相当の規定により手続がなされているものとみなして、それぞれこの条例の規定を適用する。

上田市太陽光発電設備の適正な設置に関する条例

令和元年7月1日 条例第22号

(令和元年8月1日施行)