令和2年5月（第2回）市議会臨時会　市長提案説明

令和2年５月（第２回）市議会臨時会 市長提案説明

令和2年5月21日

　本日ここに、令和２年５月（第２回）市議会臨時会を招集いたしましたところ、　　議員各位におかれましては、公私ともに御多忙の中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。

　今回、臨時会をお願いいたしましたのは、国の新型コロナウイルス感染症緊急経済対策や、長野県の令和２年度４月補正予算に盛り込まれた各種施策を最大限活用し、更なる感染防止対策や地域経済の下支えなどに取り組むための予算について御審議いただくためであります。

　政府は、去る５月１４日、長野県を含む３９県において新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を解除することを発表し、これを受け県からは、引き続き基本的な感染防止策の徹底や特定警戒都道府県との往来自粛要請を続ける一方、他の地域との往来自粛の緩和や休業要請の一部解除など新たな対応方針が示されました。

　上田保健所管内におきましては、これまでに７名の感染者が確認されておりますが幸い重症化したケースはなく、既に退院された方もおられるとお聞きしております。

　また、５月７日以降は、市内で新たな感染者が確認されておらず、これは感染リスクを顧みず医療の最前線で奮闘される医療従事者の皆様の御努力と、県からの要請に応じて営業自粛を行った事業主の方々の御協力、そして何より市民の皆様の節度ある行動が感染拡大の抑止につながったものと考えており、この場をお借りして改めて感謝申し上げます。

　一方、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う地域経済の停滞は、幅広い業種に及んでおりますが、とりわけ観光産業は、都市部から地方への感染拡大を防止するため、他地域との往来が制限されたことにより大きな打撃を受けています。中でも市内の温泉地や菅平高原では、令和元年東日本台風災害からの復興途上であったことから、かつてない観光需要の落ち込みにより、事業継続も危ぶまれる事態となっております。

　また、外出等の自粛により、人の流れや物流が急激に縮小し、飲食業やサービス業の売り上げ減少に歯止めがきかない状況にあります。

　市といたしましては、今後とも国、県の動向を注視しつつ、市内の経済団体と連携し地域経済の下支えと雇用の維持に全力で取り組んでまいります。

　次に、新型コロナウイルスの感染拡大防止に留意しつつ、簡素な仕組みで迅速かつ的確に家計への支援を行うことを目的に実施する、特別定額給付金事業につきましては、５月１日から受付を開始し、先の臨時会で関連予算を御議決いただいた後、　　　５月１３日から順次給付金の振込を進めております。

　また、本日約６万１千通の申請書類を発送いたしましたので、明日２２日には市内全戸に配達される予定となっております。

　今後につきましても、効率的な事務処理に心掛け、速やかな支給に向け鋭意取り組んでまいります。

　さて、緊急事態宣言が解除され、感染状況も比較的落ち着いていることから、市といたしましては国の提唱する「新しい生活様式」を踏まえつつ、市政の活動レベルを段階的に引き上げてまいりたいと考えております。

　まず、市内小中学校におきましては、子どもたちのつながりや学びを大切にするため、去る５月１８日から分散登校を開始いたしましたが、今後も子どもたちが安心して学び、過ごすことができるよう感染防止策を強化するとともに、心の教室相談員による相談体制の充実を図るなど、これまで以上にきめ細かな支援を行ってまいります。

　また、ウイルス感染の拡大防止と、他地域からの人の呼び込みを防ぐために行った市有施設の休業（休館）につきましても、「密閉・密集・密接」のいわゆる「３つの密」を回避するための感染防止策を講じた上で順次再開してまいります。

　　こうした中、国では令和２年度第一次補正予算において、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するとともに、これにより影響を受けている地域経済や住民生活を支援し、地方創生を図るため、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を創設し総額１兆円を計上いたしました。

　この臨時交付金は、地方公共団体が地域の実情に応じて実施する全ての緊急経済対策事業に充てることができるとされ、地方単独事業に活用可能な第一次交付限度額として、上田市には５億４百万円余が配分されました。

　市といたしましては、この臨時交付金を最大限活用し、感染の収束までの「つなぎ」を確保するとともに、国や県の支援の対象とならない「すきま」を補うための緊急経済対策として、「感染拡大の防止」、「事業者支援」及び「生活・子育て支援」の３つの分野において、緊急性の高い施策に速やかに取り組むため、今臨時会に関係予算を提案いたしました。

　なお、国においては、更なる補正予算編成も議論されておりますことから、その動向を注視するとともに、今後、創設が見込まれる国の助成制度などの有効活用も視野に入れながら、情勢に応じて求められる施策に迅速に取り組んでまいります。

　それでは、今回提案した補正予算に盛り込んだ主な施策等について申し上げます。

　まず、感染拡大防止の対策につきましては、感染の縮小傾向は認められるものの、今後も引き続き取り組んでいく必要があることから、マスクや手指消毒剤などの医療資材を高齢者福祉施設等に配布するため、また万が一感染拡大が再び起こった場合に備え、感染症対策物資の購入費用を計上いたしました。

　加えて、市民の安全・安心の確保を図るため、６７箇所の指定避難所において、感染対策に必要な赤外線体温計などの衛生用品や、間仕切り用パーテーションなどを調達し備蓄品の充実を図るとともに、保育所、小中学校及び放課後児童クラブ等におきましても、子どもたちが安心して過ごせるよう、アルコール消毒液などの衛生用品を速やかに整備してまいります。

　また、新型コロナウイルス感染症の検体採取を行う「地域検査センター」につきましては、県からの委託事業として市が実施することから、一日も早く設置できるよう上田保健所をはじめ関係団体と協議を重ねてまいりました。こうした中、地元医師会の御協力により、今月中に開設できる見込みとなりました。

　市といたしましては、今後とも感染症に対する市民の皆様の不安が少しでも払拭されるよう医療提供体制の強化、充実に努めてまいります。

　次に、事業者支援の取組につきましては、地域経済を支える中小企業と、そこで働く方々の雇用を守るため、持続化給付金や雇用調整助成金など、国の支援策の活用を促すとともに、国の持続化給付金の対象とならない、売上げが３割以上５割未満減少した飲食業、小売業等を営む小規模事業者を対象に１０万円の支援金を給付する「売上減少事業者支援金」を創設いたします。

　また、観光誘客の実質的な停止により、大きな打撃を受けている宿泊業につきましては、売上げが５割以上減少した事業者に対し、宿泊定員に応じて３００万円を上限に支援金を給付してまいります。

　更に、事業継続に向けた資金繰りの支援として、４月から市制度融資の利率引き下げと、利子補給率の引き上げを実施いたしましたが、運転資金の需要が更に高まったことを受け、利子補給、信用保証料補助の増額補正をお願いしております。

　一方、雇用を守る取組といたしましては、申請に不慣れな中小・小規模事業者の皆様が雇用調整助成金の申請を円滑かつ迅速に行えるよう、手続を代行する社会保険労務士に係る費用の一部を助成する制度を新たに創設いたします。

　次に、生活・子育て支援の取組につきましては、先の臨時会で御議決いただいた「臨時特別給付金」は、６月上旬の支給に向け現在準備を進めているところであります。

　加えて、今回は外出自粛などによる育児疲れや、万が一保護者が新型コロナウイルスに感染し家庭における育児が困難になった場合に備え、一時的にお子さんを預ける「子育て短期支援事業」を充実させるため増額補正をお願いしております。

　今後につきましても、子育て世帯の不安を少しでも解消し、安心して子育てができるよう取り組んでまいります。

　また、休業等に伴う収入減少により、住宅の家賃支払が困難になられた方を支援するため、４月末に給付要件が緩和された生活困窮者自立支援制度の住宅確保給付金を最大限活用できるよう関係予算を計上しました。

 

　以上、今回提案いたします案件の概要等を申し上げました。

　今回、提案いたします案件は、予算案１件であります。

　提出案件の内容につきましては、担当者から説明いたしますのでよろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。

　最後になりましたが、長期にわたる外出や移動等の自粛、地域経済の停滞により影響を受けている市民や事業者の皆様への一刻も早い支援を、国、県及び経済団体等の関係機関と連携し、市民の皆様お一人おひとりの「命を守る、暮らしを守る」視点で、今後も遺漏なく進めてまいります。

　議員各位におかれましては、更なる御支援、御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

令和２年５月（第２回）市議会臨時会市長提案説明 [PDFファイル／293KB]