本文
平成31年3月市議会定例会 市長施政方針
平成31年2月25日
目次
- はじめに
- 資源循環型施設建設への取組
- ラグビーワールドカップに関わる取組
- 公立大学法人長野大学
- 国の予算案、市の雇用情勢と対応
- 「第二次上田市総合計画 後期まちづくり計画」の策定着手
- 「自治・協働・行政」
- 「自然・生活環境」
- 「産業・経済」
- 「健康・福祉」
- 「教育」
- 「文化・交流・連携」
- 市庁舎改修・改築と組織改正
- 議案
- 結び
はじめに
本日ここに、平成31年3月市議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位におかれましては御多忙の中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。
私が市民の皆様から御支援を賜り、市政を担当させていただき早くも10か月が過ぎました。この間、職責の重さを自覚する一方で、市民お一人おひとりにあたたかい陽があたり幸せを実感できるまち、未来の子どもたちからも感謝されるまちを築き上げる決意を持って、全力で取り組んでいるところであります。
できる限り多くの現場に自ら伺い、市民の皆様の御意見をお聴きすることにより、地域で活動されている方々の熱心な思いや活躍に触れることができました。地域課題の解決を人任せにせず、できることは自分でやろうという強い意志を持った力を大変心強く受け止めさせていただきました。
少子高齢化・人口減少が一層進む中、これまでの経験や知識だけでは解決できない課題も多く、常に先を見据えた取組が欠かせません。私は上田市の持続的発展に向け、市民の皆様とともに、改革すべきは改革し、継続すべきものは更に磨き上げ充実させるといった柔軟な再構築の視点に立ち、今後も積極果敢に取り組んでまいります。
それでは、平成31年度をスタートするに当たり、直面する重要な取組から申し上げてまいります。
資源循環型施設建設への取組
市政の最優先課題として位置付ける資源循環型施設建設につきましては、地域住民の安全・安心を将来にわたって保証する計画を作り上げるため、昨年11月に「資源循環型施設検討委員会」を設立し、課題解決に向けた私の決意を申し上げるとともに、協議を開始いたしました。これまで2回の委員会を開催し、施設の構造や安全性、ごみ減量施策などについて、活発な意見交換を行ってきたところであります。今後も、更に施設のあり方について具体的な協議を行い、地域住民の皆様との合意形成に向けて、曲げることなく覚悟を持って取り組んでまいります。
一方、清浄園を廃止するため、南部終末処理場内へ「し尿前処理下水道投入施設」を建設する計画につきましては、地元である下之条自治会に、施設に関する生活環境影響調査と設計業務の着手について御了解をいただいたことから、今定例会の当初予算に関係経費を計上いたしました。この調査に基づく環境対策を踏まえ、自治会の皆様の御要望に十分配慮し、施設建設についても合意をいただけるよう、誠意を尽くした話し合いを重ねてまいります。
新たに建設を予定する資源循環型施設をできるだけコンパクトなものにするためには、燃やせるごみの約4割を占める生ごみの減量を市民の皆様に見える形で進めていく必要があると考えております。このため、市民主体の新たな研究・検討組織を立ち上げ、持続可能な生ごみリサイクルシステムの構想を取りまとめてまいります。
一昨年、全自治会を対象に市民説明会を開催するなど、全市を挙げたごみの適正な分別に取り組んでおりますが、昨年末から本年にかけ、燃やせないごみの収集車両において、カセットボンベが原因とみられる火災事故が立て続けに2件発生いたしました。
また、緑色の指定袋で出している「プラマーク付きプラスチックごみ」について、不適物や汚れているものが多く混入しており、分別等の評価を行っている日本容器包装リサイクル協会から、市は収集物の品質改善を求められております。
今後もごみの適正な分別について、きめ細かく様々な方法で周知してまいりますので、市民の皆様の更なる御理解、御協力をお願いいたします。
ラグビーワールドカップに関わる取組
いよいよ本年9月、世界三大スポーツ大会と称されるラグビーワールドカップが、アジアで初めて日本で開催され、大会直前には菅平高原において、昨年に引き続きイタリア代表チームが事前キャンプを実施します。代表チームが本大会で最高のパフォーマンスを発揮できるよう、また、大会を成功に導くためにも、市では「上田市菅平高原キャンプ地誘致委員会」をはじめ、関係機関と連携を図りながら、市域全体の機運を醸成し、万全の態勢でお迎えをしたいと考えております。
更に、代表チームの滞在に合わせて、本場のイタリアの食と音楽をテーマとしたイタリアフェアや、大会期間中には代表チームの試合観戦ツアーなどを計画してまいります。また、サントミューゼを会場として、一流歌手によるオペラコンサートの開催も予定し、併せてコンサート本番でプロの方とステージで共演する参加者を募集するなど、よりオペラに親しむことができる機会とし、音楽を通してイタリア代表チームを応援する機運を盛り上げてまいりたいと考えております。
一方、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、県と関係市町村で構成する「ホストタウン長野県実行委員会」では、中国を相手国とする様々な事業を展開しており、市においても市内大学や上田日中友好協会など関係団体の皆様とともに、大勢の方々に中国文化を体験していただく取組を実施してまいります。
世界規模のスポーツ大会が日本で開催され、一国の代表チームが訪れるという、この絶好の機会を更なる地域活性化の好機と捉え、今後も積極的に上田市を国内外にPRしてまいります。
公立大学法人長野大学
次に、公立大学法人長野大学について申し上げます。
将来にわたり魅力ある大学であり続けるための大学改革の具体化に向けましては、公立化前に学内に設置された大学改革検討委員会での検討結果をもとに、公立化後の新体制において更に検討を深め、現段階での方向性がまとめられ、先般、大学から報告を受けました。学部学科再編案については、社会福祉学部に連なる大学院の設置や、環境ツーリズム学部と企業情報学部の研究領域の一部を理工系学部に発展させるなどの内容であり、今後、設置時期や定員規模等を具体化することとしております。
この再編案の検討過程において、本年3月末をもって閉庁することとなった市内小牧の「中央水産研究所上田庁舎」を、理工系学部設置への一つの足掛かりとして活用したいとの強い要望が白井理事長をはじめ大学側から示されました。これを受け、大学や関係機関と慎重に協議・検討を行った結果、卓越した地域資源である千曲川流域のイノベーションを創発する研究教育の場としての可能性等に鑑み、長野大学での利活用を図るため、市として国からの取得を目指すことといたしました。当該研究施設は、昭和10年代に市が土地を提供して誘致した歴史があり、大学において共同研究や地域資源活用のための拠点として継続的に維持・活用が図られることを望むものであります。
一方、今月6日に出願が締め切られた平成31年度一般入試では、全体の志願倍率が9.1倍と前年の8.3倍を上回り、公立化効果が継続しているものと捉えております。
今後も引き続き「選ばれる大学」であるための様々な改革の具体化について、設置者として積極的に関わりながら、大学とともに着実に進めてまいります。
国の予算案、市の雇用情勢と対応
さて、先月召集された通常国会に、現下の追加的財政需要に適切に対処するための歳出2兆7,097億円を盛り込んだ平成30年度補正予算案が提出され、今月7日に可決成立しました。この中では、防災・減災、国土強靭化に関する緊急性の高い事業のほか、災害復旧、国民生活の安全・安心に向けた対策、中小・小規模事業者に対する支援策などが盛り込まれております。
国の平成31年度当初予算案につきましては、一般会計総額で101兆4,571億円と7年連続で過去最大となり、初めて100兆円の大台を超えることとなりました。歳入面では、景気の回復や消費税率改定を背景に、29年ぶりにバブル期を上回る62兆4,950億円の税収を見込んでいる一方、歳出面では、10月に予定される消費税率の引上げに備え、ポイント還元制度や低所得者・子育て世代向けのプレミアム付商品券等、2兆円を超える経済対策が盛り込まれたほか、消費税増収分を活用した幼児教育の無償化や社会保障の充実等が予算化されております。
市といたしましても、市民生活の安定と地域経済の更なる拡大に向けて、平成31年度予算の早期成立を望むとともに、平成30年度補正予算についても、国や県の動向を注視しながら、適切な対応を図ってまいります。
地域の雇用情勢につきましては、ハローワーク上田管内の昨年12月の有効求人倍率が1.72倍となっており、引き続き高い水準で推移している一方で、人手不足の課題に直面している声を多くお聞きしております。また、昨年11月には、丸子地域の工業会において、技能実習生の受け入れの可能性を模索するためのベトナム現地視察が行われるなど、人材を海外に求める動きが市内でも加速しており、今後、外国人労働者の増加が見込まれる中、多様な人材がこの地域で活躍できる環境を整えることが、 上田市の活力につながっていくものと考えます。
市では地域企業の人材確保を最重要課題のひとつと捉え、本年4月の組織改正において、雇用担当部署の体制の充実を図り、こうした外国人労働者に関する企業との連携をはじめ、就労サポートセンターによる幅広い層の就労支援、UIJターンや学生等の地域での就職促進、産業界が求めるIT人材の育成など、積極的に取り組んでまいります。
また、地元企業への関心を高めるキャリア教育にも力を注ぐとともに、進学を機に上田を離れた若者や、首都圏の大学等の卒業生に対する地域企業への就職・定住促進のための新たな奨学金支援制度の創設、更には県との共同による地方創生推進交付金を活用した首都圏等からの移住支援策など、厚みのある施策を検討してまいります。
「第二次上田市総合計画 後期まちづくり計画」の策定着手
さて、市では、現在「第二次上田市総合計画前期まちづくり計画」に沿った施策の着実な推進に努めておりますが、スタートから4年目を迎える来年度において、これまでの進捗状況を総括しつつ、社会経済情勢の変化を踏まえながら、2021年度からの「後期まちづくり計画」の策定に着手してまいります。また、来年度が最終年度となる「上田市まち・ひと・しごと創生総合戦略」については、国において次期総合戦略の策定を進めることが決定しており、市としても国の動向に沿った対応が必要となります。
上田市における総合計画及び総合戦略は、いずれも人口減少対策を重要なテーマとしており、「後期まちづくり計画」の策定に当たっては、総合戦略との一体化も視野に、人口減少対策をより強化し、地域社会の維持・活性化に向けた施策を更に進化させてまいります。
それでは、平成最後となる施政方針は、「上田再構築プラン」を踏まえて、総合計画における6つの施策大綱に沿って申し述べます。
自治・協働・行政
まず、一つ目として「市民が主役のまちづくり」、自治・協働・行政に対する取組についてであります。
市では、上田市自治基本条例の基本理念の一つに掲げる「参加と協働による自治を推進」するため、「協働のまちづくり指針」を策定し、様々な人や組織が互いに力を合わせ活動する協働によるまちづくりを進めてまいりました。本指針は策定から5年目を迎え、社会情勢の変化も踏まえつつ、協働の取組を更に推し進めるための検証をしており、今後、市民意見も反映しながら見直しを行ってまいります。
また、もう一つの基本理念である「地域の個性や特性を尊重した地域内分権による地域の自治の推進」につきましては、現在、単一の自治会では解決が難しい地域課題への対応や、地域の個性・特性を生かしたまちづくりの推進のため、もう一回り大きな「地域」の範囲で、自治会や市民活動団体等が参画し、連携・協力する仕組みである「住民自治組織」の設立に取り組んでまいりました。これまでに、市内8地域に10組織が設立され、活動指針の策定を経て、組織ごとに具体的な活動に踏み出しております。この住民自治組織が自主的な運営のもとで、一定の裁量をもった活動が展開できるよう、引き続き市では、地域担当職員や庁内各課の協働推進員による人的支援、交付金による財政的支援に取り組んでまいります。
地域コミュニティの中核である自治会への加入率が減少傾向にあり、近年では増加する分譲マンションやアパートなどの集合住宅入居者に対する加入促進が課題となっております。このため、市と上田市自治会連合会では、先月24日、「一般社団法人長野県宅地建物取引業協会上田支部」と「公益社団法人全日本不動産協会長野県本部」との間で、「上田市における自治会への加入促進に関する協定」を締結いたしました。今後は本協定に基づき、不動産業者の皆様に、契約者に対するリーフレットの配布や自治会活動の説明などを行っていただくことで、自治会の担い手不足解消と運営安定化に向けた、加入促進に積極的に取り組んでまいります。
上田市には、県内で最も多い外国籍の方が暮らしております。昨年の入管法改正に伴い、今後更に多くの方が、市内で生活を始められることが見込まれ、住民との円滑な関係を築いていただきたいと考えております。このため、市では、県、上田市多文化共生推進協会と連携を図りながら、「新しい学びの場」としての日本語教室を来年度、創設してまいります。また、12月には「外国人集住都市会議」が上田市で開催される予定です。多様な文化背景をもつ人々が対等な関係を築きながら相互に理解し合い、共に生きていく「多文化共生」のまちづくりを一層推進していく契機としてまいります。
なお、明日26日、外国籍市民の皆様から御意見をお聴きする場として、懇談会を私が出席しまして開催する予定であり、今後の多文化共生の取組に反映させてまいりたいと考えております。
上田市は市民憲章において平和を掲げ、平成22年には「争いのない世界を願う非核平和都市宣言」を行い、また、広島市と長崎市が設立した「平和首長会議」にも加盟するなど、市民の皆様とともに平和の大切さを提唱してまいりました。
昨年1月には、上田市初の名誉市民故半田孝淳氏の世界平和の遺志を受け、再び戦争の惨禍が繰り返されないよう、市民の皆様による実行委員会を立ち上げ、平和祈念事業を開催いたしましたが、多くの参加者から事業の継続を求める声もいただいたところであります。このため、来年度、2回目となる平和祈念事業を開催することとし、恒久平和を希求する一層の意識啓発の機会としてまいります。
自然・生活環境
続きまして、二つ目として「安全・安心な快適環境のまちづくり」、自然・生活環境に対する取組についてであります。
大規模な自然災害が相次いだ平成の時代、昨年も地震や豪雨などに伴う甚大な被害が全国で発生いたしました。特に西日本を中心に襲った「平成30年7月豪雨」では、気象庁が重大な災害の起こる恐れがあるとし、厳重な警戒を事前に呼びかけるとともに、被災した自治体からも避難行動を促す情報が出されたものの、自宅に留まる方が多く、多数の方が亡くなられるという結果となりました。国では、この教訓を活かすため、住民は自らの判断で避難行動をとることができ、行政はそれを全力で支援するといった、防災意識の高い社会の構築に向けた対策をとりまとめました。
市といたしましても、市域での自然災害の発生や、その恐れがある場合に備え、本年4月の組織改正に合わせて職員配備の体制の充実を図るとともに、関係課や地域担当職員との連携による、自主防災組織や住民自治組織に対する支援を一層強化してまいります。また、大規模災害時、避難された方による災害情報の収集や、家族・知人との連絡手段として有効な無線LANも、指定避難所の小・中学校の体育館を中心に整備してまいります。
地域防災において中核的な役割を果たす消防団につきましては、消防装備品の充実や活動車両の更新、更には「上田市消防団協力事業所表示制度」の周知も行いながら、団員の災害活動における環境整備に引き続き取り組んでまいります。
今後につきましても、「自助」「共助」を主体とした地域防災力の向上と災害に強いまちづくりを積極的に進めてまいります。
近年の災害級の猛暑や大雨の頻度の増加など、気候変動の影響が全国各地で顕在化しており、その原因とも指摘されている地球温暖化対策は待ったなしの状況であります。
市では環境分野のマスタープランである「第二次上田市環境基本計画」を昨年3月に改定し、地域に合った政策の効果的な選択により、環境保全に努めているところであります。とりわけ、施策推進の柱となるものが、新エネルギーと省エネルギーの更なる導入・拡充であります。日射量の多い上田の地域特性を活かし、太陽光発電及び太陽熱利用システムの一般家庭への普及を引き続き促進するとともに、来年度は塩田地域自治センターの全照明のLED化を行い、今後、この効果を検証しながら、他の市有施設への拡大を図ってまいりたいと考えております。
一方、市では、民間事業者等による、一定規模を超える太陽光発電設備の設置に対し、「ガイドライン」と「指導要綱」を策定して適正な立地場所への誘導を図ってまいりましたが、現状において災害発生が危惧される事業計画もあるものと考えております。
先月、「上田市太陽光発電設備の立地に関する条例検討有識者会議」を設立し、太陽光発電設備の設置に関する規制を視野に、実効性のある仕組みの議論を重ねているところであり、引き続き、スピード感を持って検討を進めてまいります。
道路網や公共交通の充実は、市民生活の利便性の向上に加え、地域間の交流を促進し、都市としての魅力を高めるものであります。
市道の幹線道路整備につきましては、長年にわたり進めてまいりました、上田橋中島線及び小牧4号線が、地権者並びに関係者各位の御協力により事業が完了いたしました。踏入大屋線は、岩下地区において二期工区に着手しており、現在、用地買収などを進めているほか、神川橋を含めた橋梁工区では、橋梁や周辺道路の詳細な計画について、引き続き、関係機関等と協議を行っております。五反田新屋線につきましては、来年度、西上田駅入口まで工事が完了となる見込みであり、上田橋下堀線についても、常田新橋から踏入大屋線までの一部区間において、今年度より事業着手しております。
また、昨年の平井寺トンネルに引き続き、2020年には三才山トンネルも無料化される予定であり、国道254号の交通量の増加が見込まれる中、県事業の和子・荻窪・平井バイパス整備に合わせて、関連する市道の一体的な整備も進めてまいります。
下長瀬地区と石井地区の治水対策として進めてきた、千曲川と依田川との合流点周辺整備につきましては、昨年、国の「かわまちづくり支援事業」の認定登録を受けたことから、今後、遊歩道や広場の整備を推進してまいります。
このほか、上信自動車道につきましては、現在、群馬県側において工事が着々と進められておりますが、今年度は、上田市も参加している「上信自動車道建設促進期成同盟会」として、長野県要望のほか、3回の国土交通省をはじめとする中央要望を行ってまいりました。今後も早期全面供用開始に向けて、長野県側ルートの具体化をしていただけるよう、要望活動に取り組んでまいります。
一方、将来にわたり持続可能で、高齢社会に対応した公共交通の確保・維持につきましては、路線バスの利用増を図る目的として、平成28年から3年間継続して運賃低減バスの実証運行に取り組んでおります。こうした中、利用者の増加率が、全体では目標の1.5倍に達していないものの、個別には達成した路線、黒字となった路線があり、運賃低減が利用増を図るための方策として効果的であるものと捉えております。本年10月以降の方針につきましては、現在、路線バスなどの増便、減便、ダイヤ改正など、詳細な検討を行っているところであり、これらを踏まえ今後お示ししてまいりたいと考えております。
上田電鉄別所線につきましては、存続に向けて国及び県と連携した取組に努めており、引き続き、年間120万人余の利用者の安全確保に向けた支援を進めてまいります。
今後も、地域、事業者、行政が一丸となり、公共交通の総合的な利用促進と確保・維持に取り組んでまいります。
国内最大級の花と緑のイベントである第36回全国都市緑化信州フェア「信州花フェスタ2019」が、本年4月25日から6月16日まで松本平広域公園をメイン会場に長野県で初めて開催されます。上田市では、丸子修学館高校の生徒のデザインをもとに設計した花壇の出展を予定しており、併せて同フェアに協賛する形で上田駅前及び上田城跡公園櫓門前に花壇を設置してまいります。市民をはじめ、上田市に訪れる多くの皆様に御覧いただきたいと考えております。
市民生活に欠くことができない重要なライフラインである上下水道事業につきましては、今後10年間の道筋を示した「上田市水道ビジョン・下水道ビジョン」が現在、策定の最終段階にあります。来年度からこのビジョンの内容を経営戦略や事業計画等に反映させながら各種事業を展開してまいります。
水道事業では、老朽化した基幹管路の更新や浄水施設等の耐震化に加え、機械設備の更新を計画的に進めるとともに、真田地域簡易水道統合整備事業についても2020年度の給水開始を目標に取り組んでまいります。下水道事業では、「ストックマネジメント計画」や「総合地震対策計画」に沿った、処理場、管渠の更新のほか、丸子3地区における農業集落排水事業の公共下水道事業への統合を進めるとともに、南部終末処理場の汚泥処理棟の改築による抜本的な臭気対策も行ってまいります。
昨年成立した改正水道法は、水道事業の民営化法案としてマスコミでも大きく取り上げられましたが、上田市としては運営権を民間企業に委ねることは、現段階では考えておりません。厳しい経営状況を乗り切るために、部分的な官民連携は必要と考えておりますが、水道事業は今後も市が運営してまいります。
産業・経済
続きまして、三つ目として「誰もがいきいき働き産業が育つまちづくり」、産業・経済に対する取組についてであります。
市内企業の大部分を占め、地域の経済・雇用を支える担い手として大きな役割を果たしている、中小・小規模企業の振興は、重要な課題であります。中小・小規模企業の持続的成長は、事業者自身による経営力強化はもとより、これからも上田市の活力を高める基盤となることを地域全体で理解し、支援することが欠かせません。
昨年末から今月にかけて、市内3商工団体をはじめとした、産業界から中小・小規模企業振興条例の制定に関する要望書をいただいたところであり、こうした要請を真摯に受け止め、中小・小規模企業の振興の指針となる、新たな条例の制定を目指してまいります。また、私の公約の一つである中小零細企業の資金繰りを支援するため、市制度融資の利率の引下げを行うとともに、小規模企業者における小口事業資金の調達を容易にするための新たな資金メニューを創設してまいります。加えて、新規開業資金の対象者拡充と併せ、クラウドファンディングの活用に対する助成制度を新設し、創業者等の資金調達手段の多様化を図ってまいります。また、意欲ある中小企業等の新技術の開発や新産業の創出に向けた取組を支援するため、各種補助制度を拡充するとともに、異業種連携や展示会への共同出展、6次産業化等の支援体制の充実を図り、中小企業等の取組を積極的に後押ししてまいります。
一方、国においては、中小企業の新たな発展モデルの構築を実現させるため、地域を牽引する企業の未来投資の促進や支援体制の強化を掲げております。市におきましても、地域未来投資促進法に基づく中小企業の設備投資に対し、固定資産税を3年間免除する特例措置を講ずることとし、今定例会に条例の制定を提案いたしました。更に、「上田市商工業振興条例」の改正により、工場等の設置や用地取得に対する助成対象業種の拡大、補助率の引上げなど、企業の設備投資に対するインセンティブの充実を図り、企業誘致・留置の取組を一層強化したいと考えております。
また、昨年12月、「東信州次世代イノベーションセンター」が中心となり、エリア内の18の支援機関による「東信州次世代イノベーション産業創出に向けた連携支援計画」を策定いたしました。これにより支援機関が一丸となり、開発プロジェクトをはじめ、各種事業を推進する体制が整ってまいりました。今後とも、関係市町村、産業支援機関等との連携のもと、異なる産業間の融合による付加価値創出を支援し、地域企業の一層の発展に取り組んでまいります。
中心市街地の活性化につきましては、「まちなかチャレンジショップ」を核とした創業支援や移住促進も含めた空き店舗対策に取り組むとともに、真田十勇士ガーデンプレイスと池波正太郎真田太平記館を活用した中心商店街への回遊促進など、今後も多様な施策を展開してまいります。
次に、観光振興について申し上げます。
上田市は、大河ドラマ「真田丸」を契機として、飛躍的に知名度が向上し、交流人口も増加してきております。また、県内を訪れる外国人観光客数も増加傾向にある中、地域経済へのより一層の波及効果をもたらす「稼げる観光」への転換を図っていくことが重要であります。
このため、潜在的な観光資源の掘り起しを強化しながら、北陸新幹線沿線都市連携や長野・松本・上田トライアングル連携といった広域的な取組を促進し、観光客の滞在時間や宿泊者数を伸ばす仕掛けを展開してまいります。更に、市とともに観光振興事業推進の両輪となる信州上田観光協会の体制強化も来年度から順次図ってまいりたいと考えております。
また、本年は上田市を舞台にした映画「サマーウォーズ」の公開10周年を記念した特別イベントや、「国際忍者学会上田大会」の開催が予定されており、こうした交流人口の拡大が期待できるチャンスをしっかり活かしてまいります。加えて、本年4月に、現在放送中の大河ドラマ「いだてん」の出演者を迎え、トークショーを開催する運びとなりました。1964年の東京オリンピックに上田市からも陸上選手が出場している縁から、NHKと市の共催で、女性オリンピアンをテーマに行うイベントであり、当市をPRする絶好の機会とするとともに、2020東京大会を盛り上げてまいりたいと考えております。
インバウンド事業につきましては、東南アジア圏での海外プロモーションをはじめ、台湾メディアなどをお招きし、市内の観光資源を視察していただくファムトリップ事業など、観光事業者と連携した取組を進めてまいりました。こうした中、市内の外国人延べ宿泊者数が、平成29年は対前年比で約1.5倍に増加し、一定の成果が現れはじめております。今後も、外国語によるホームページの充実やSNSを積極的に活用した情報発信を展開するほか、外国人が多く訪れている近隣の自治体との連携促進を図るなど、より効果的なインバウンド施策に取り組んでまいります。
次に、農業・林業について申し上げます。
担い手農家の減少と高齢化による遊休農地の増加への対応は、農業を取り巻く喫緊の課題のひとつであります。このため、来年度は首都圏等の就農を目指す研修生の確保・支援を近隣自治体やJA等と連携して取り組むとともに、若者や農家子弟が農業へ参入しやすい環境を整えるため、農業用機械導入経費のほか、家賃支援の制度を新設してまいります。また、認定農業者や大規模農家の育成、集落営農体制の強化による農地集積の推進に努め、併せて多面的機能支払事業及び中山間地域農業直接支払事業にも、引き続き取り組んでまいります。
農業の魅力を発信し、都市と農村との交流促進や関係人口拡大を図る取組も重要であります。国、県及び地元の皆様と協力して進めている、殿城地区の滞在型市民農園(クラインガルテン)の整備が、いよいよ造成工事に着手する段階となりました。今後も関係機関と連携を図りながら、早期の供用開始に努めてまいります。
また、地域に伝わる食文化である「発酵」によるまちづくりや、姉妹都市等との交流を活かした、農産物の販路拡大・開拓も積極的に進め、更に地産地消、6次産業化の促進につなげることで、「稼げる農業」を実現してまいりたいと考えております。
いよいよ本年秋、地域念願の「椀子ワイナリー」が陣場台地に完成いたします。観光誘客や地元農産物の販売、消費の拡大など、様々な分野への波及効果が期待されるこの新たな活性化の拠点は、地域との「共生」をコンセプトに掲げており、地域の更なる魅力アップに向けて連携した取組を進めてまいります。
良好な自然環境の維持・創出には、森林・里山の整備や森林資源の活用が欠かせません。全国的な森林の荒廃に早期に対応するため、「森林環境譲与税」の地方への配分が来年度から始まります。これを財源として、森林所有者に代わって市町村が間伐等の経営管理を行う主体となり、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を図る、「新たな森林管理システム」が導入されることとなります。今後、地方の林務行政にかかる責務がますます重くなることから、市といたしましても地域の実情に合った森林整備が進むよう、しっかりと取り組んでまいります。
健康・福祉
続きまして、四つ目として「ともに支え合い健やかに暮らせるまちづくり」、健康・福祉に対する取組についてであります。
市の将来都市像である「健幸都市」の実現には、市民の健康に対する意識や関心を高めるための様々な健康施策を展開し、健康寿命の延伸を目指す必要があります。
平成27年度から進めている「健康幸せづくりプロジェクト事業」につきましては、「健康づくりチャレンジポイント制度」の参加者が6,000人を超えました。「~朝から健幸~あたま・からだ元気体操」も、3年間で延べ1万6,000人を上回り、参加者に大変好評をいただいていることから、来年度は市内2か所で実施期間を延長してまいります。更に、「健康プラザうえだ」を週末1日開放し、運動や体操を中心に食育やフレイル予防など様々な要素を盛り込んだイベントを、県が展開している健康づくり県民運動「ACEプロジェクト」にも位置付ける中、実施してまいります。市民の健康増進に向けては、今後も、市民の皆様が健康に関心を持ち、楽しく参加していただける取組を幅広く進めてまいります。
昨年から子育て支援施設「ゆりかご」において、出産直後の産婦が心身の休養を取りながら、助産師による育児支援を受ける「産後ケア事業」を開始いたしましたが、来年度からは、全ての産婦を対象に、産後間もない時期における「産婦健康診査」2回分にかかる費用の助成も実施してまいります。病院と地域の連携による早期からの支援を進め、核家族化や地域のつながりの希薄化などによる、妊産婦の不安や負担の解消に努めてまいります。
また、精神保健分野におきましては、国を挙げて自殺対策に取り組む中、市では「いのち支える上田市自殺対策計画」を策定いたしました。有識者をはじめ、関係機関の皆様とともに取りまとめてきた本計画をもとに、市民お一人おひとりの「いのちを守る」ことを意識した取組を関係機関と連携を図りながら推進してまいります。
市民の安心な暮らしの実現のためには、地域医療体制の更なる充実が欠かせません。上田地域広域連合が中心となり、これまで「上小医療圏地域医療再生計画継続事業」に取り組んできた結果、信州上田医療センターを中心とした上小医療圏の医療機関で受け入れる救急搬送患者数の割合は着実に増加しており、また、信州上田医療センターでは医師数も68人まで増えております。
こうした成果が出ている一方で、地域のがん診療や周産期医療、救急医療の体制に課題も残っており、このため上田地域広域連合では来年度以降も、本事業について内容を検証した上で、継続することといたしました。財源についても、これまでと同様に上田地域広域連合の「ふるさと基金」を活用することとしており、引き続き、県、関係市町村、医療機関等と連携を図りながら、地域医療体制の充実に鋭意取り組んでまいります。
上田市立産婦人科病院につきましては、今年度、常勤医師が1名という緊急を要する状況となりましたが、院長を中心に看護等医療スタッフ、非常勤医師の協力により、診療制限をかけることなく、安全な医療を提供することができております。常勤医師の確保は厳しい状況でありますが、来年度も一定の非常勤医師を確保できる見込みであります。今後も関係機関と連携を密にした、継続的な医師確保に努めるとともに、スタッフの技術、接遇等の更なる向上に取り組み、地域で安心してお産ができる公立病院を目指してまいります。
少子化、核家族化の進行、共働き家庭の増加など、子育てを取り巻く環境が大きく変化する中、切れ目のないきめ細かな支援が求められています。今年度、実施した子育てに関するニーズ調査をもとに、来年度、市民の皆様の声を最大限反映した「第二次上田市子ども・子育て支援事業計画」を策定し、計画的な環境整備と子育て支援の更なる充実に取り組んでまいります。
市民から千曲川左岸地域に設置要望のあった病児・病後児保育事業につきましては、「丸子中央病院病児保育センター」が本年4月に開所する運びとなりました。お子さんの病中・病後の安全な看護や保育体制の強化が図られるものと考えております。
早期からの専門職による個別相談や親子教室等の充実に努めている「発達相談センター」につきましては、相談件数が年々増加している状況であります。県では専門医師の養成に取り組み始めており、市ではこのような動向に注視しつつ、引き続き、保護者の不安の軽減とお子さん一人ひとりの発達段階に応じた適切な支援を行ってまいります。ひとり親家庭に対する支援につきましても、新たに「子どもの生活学習支援事業」を開始し、家庭での生活向上と学習習慣の確立を支援するとともに、親子の不安感の緩和を図ってまいります。
「幼児教育・保育の無償化」が本年10月からスタートする予定となっております。幼稚園、保育園、認定こども園等を利用する3歳から小学校就学前までの子どもと、0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子どもの利用料を無償化するものであり、来年度は、国が臨時交付金を創設し、全額国費で負担するとしております。制度の詳細が決定次第、利用される方が適正にサービスを受けられるよう、着実に準備を進めてまいります。
一方、神川保育園・神川地区公民館の移転新築につきましては、工事がほぼ完了し、いよいよ4月1日から開園、開館いたします。全国的にもめずらしい、保育園と公民館の複合施設であり、地域ぐるみの子育て、世代間交流の場として大いに利用していただくことを期待しております。丸子3園統合保育園につきましては、来年度当初から、わかくさ幼稚園の建物の解体を行い、工事に着手してまいります。地域の皆様に喜んでいただける施設となるよう、関係する皆様の御意見等をお聴きしながら、安全第一に整備を進めてまいります。
「共感力」と「市民力」を活かしたまちづくりの大きな支えとなるのは、ご近所同士の顔が見える地域の福祉力です。来年度は、地域福祉に日頃から御尽力いただいている、民生委員・児童委員及び主任児童委員が一斉改選となります。住民の立場に立った相談をはじめ、地域における支援を必要とする人の早期発見など、地域福祉の推進役のほか、地域と行政機関とのパイプ役を、引き続きお願い申し上げるところであります。
障がいのある方が、自ら望む地域で生活を営むためには、福祉サービスの提供体制の充実はもちろんですが、様々な障がいに対する理解の促進が欠かせません。そのため、障がい特性に応じた手話などのコミュニケーション手段に関する条例について、障がいのある方、支援者の方など広範囲にわたって御意見をお聴きしながら、制定に向けた取組を進めてまいります。
全ての高齢者が地域や家庭の中で役割を持ち、支え合いながら暮らしていける「地域共生社会」の実現には、地域包括ケアシステムを更に深化させていく必要があります。今年度、モデル的に取り組んできた「生活支援体制整備事業」につきましては、地域住民をはじめ、企業、各種団体等と連携を進め、介護予防・生活支援サービスの推進を図るものであり、来年度から本事業を順次、全市に広げてまいります。
また、認知症になっても住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、認知症初期集中支援チームの体制強化と認知症理解の普及啓発を図るとともに、「第7期上田市高齢者福祉総合計画」に基づき、認知症高齢者グループホームや看護小規模多機能型居宅介護の基盤整備も進めてまいります。
国民健康保険につきましては、県と市町村が共同で運営する新制度がスタートし、円滑な事業運営に努めております。先月には県が算定した、平成31年度の国保事業費納付金に基づいた、国民健康保険税率改定の答申を国民健康保険運営協議会からいただきました。市では、答申を尊重し、税負担の緩和に配慮する観点から、2億5,000万円の基金の繰り入れを行ってまいります。
教育
続きまして、五つ目として「生涯を通じて学び豊かな心を育むまちづくり」、教育に対する取組についてであります。
子どもたちの学びの環境の充実に向けた学校施設の整備は、未来の上田への重要な投資であると考えます。市内には昭和40年代以前に建築された学校施設が、まだ多く存在しております。こうした中、建築から50年以上が経過し、老朽化が著しい第五中学校の全面改築に向けて、当初予算に校舎及び屋内運動場の耐力度調査に係る経費を計上いたしました。今後も、学校施設につきましては、「上田市公共施設マネジメント基本方針」に沿い、「個別施設計画」の策定を進め、適切な維持・管理に努めてまいります。また、昨年12月定例会で補正予算の御議決をいただいた、空調設備の設置につきましては、本年夏までに事業が完了できるよう、引き続き取組を進めてまいります。
平成27年に教育委員会が示した「今後の学校給食運営方針」における学校給食施設の整備につきましては、市長就任後、教育委員会に対して「自校方式の可能性の研究・検討」と「給食センターの統合」について再検討を依頼いたしました。これに対して、先般、教育委員会から自校方式の実現は困難なこと、安全・安心な学校給食を引き続き安定的に提供するため、学校給食センターの統合は見直し、まず老朽化の著しい第二学校給食センターを単独で更新したいことを旨とする検討結果の報告を受けました。教育委員会では、十数回にわたって様々な視点から協議を重ねるとともに、教育委員が市内外の給食施設を視察し、試食も行う中で精力的に検討を行ってきたとお聞きしております。また、私自身も市内の給食センターや自校方式の給食施設を視察して現状を確認し、教育委員会とも複数回の懇談を行ってまいりました。
こうした経過も踏まえ、私としてはこのたびの教育委員会からの再検討結果について理解し、その上で食育に関する現在の取組を整理するとともに、学校、家庭、地域等が連携して、更なる食育の推進に努めるよう依頼したところであります。
教育を取り巻く社会情勢が大きな転換期を迎える中、本年1月、学識経験者をはじめ、保護者、地域、保育園、教育機関の関係者などで構成する「上田市小中学校のあり方検討委員会」を設置いたしました。少子化による児童生徒数の減少に伴う学校の小規模化への対応、「成長社会」から「成熟社会」への転換、新たな時代に対応した教育、学校施設の老朽化による改築需要の増大など、様々な課題に対応していくため、来年度末を目標に、上田市における望ましい教育の方向性を示す「小中学校のあり方」に関する基本方針を策定してまいります。
学校教育の分野におきましては、5か年計画の4年目を迎える「第2期上田市教育支援プラン」に掲げた施策の推進に引き続き努めてまいります。学力の定着と向上に向け、全国学力・学習状況調査や市独自で行っている学力調査の詳細な分析を行い、授業改善に役立てるとともに、生活・学習ノート「紡ぐ」の活用により、家庭学習の習慣化を目指してまいります。更に、分かる授業の推進に向けたICT機器の導入、小学校外国語教育への対応、プログラミング教育の充実、信州型コミュニティスクールによる地域に開かれた学校づくりなど、様々な教育課題に即した施策も推進してまいります。
また、放課後等の児童の安全な居場所となる、放課後児童施設につきましては、来年度、「学童保育所太郎の家」を北小学校敷地内に新築する工事に着手いたします。今後も多くの児童を快適な環境で受け入れられるよう、計画的な施設整備に努めてまいります。
スポーツ施設の整備につきましては、昨年5月に策定した「上田市スポーツ施設整備計画」に基づき、併せて2027年に開催される長野国体などを踏まえる中で、施設の改修や集約など具体的な整備に着手してまいります。また、「上田市スポーツ振興計画」が2020年度に計画期間の終了を迎えることから、市におけるスポーツ推進の新たな段階に向け、第2次計画の検討を開始してまいります。
このほかにも、上田市が、来シーズンからVリーグに参戦する、ルートインホテルズ女子バレーボール部「ブリリアントアリーズ」のホームタウンとなったことにより、「見るスポーツ」の機会の充実も図ってまいりたいと考えております。更に、本年のラグビーワールドカップ開催とイタリア代表チームによる菅平高原での事前キャンプ実施に合わせ、ラグビーの普及啓発も一層進めていくほか、菅平高原スポーツランド「サニアパーク」がオープンから20周年を迎えることから、記念事業などを通して、菅平高原の魅力を発信してまいります。
文化・交流・連携
続きまして、六つ目として「文化を育み、交流と連携で風格漂う魅力あるまちづくり」に対する取組についてであります。
開館後、5年目を迎えたサントミューゼでは、来年度も魅力ある鑑賞事業や育成事業を順次実施してまいります。本年8月16日から4日間にわたり「日本劇作家大会2019上田大会」が開催されます。全国的に活躍する著名な劇作家をはじめ、多くの役者にお越しいただき、演劇公演やワークショップなどが行われる本大会は、延べ5,000人を超える来場者が見込まれることから、市内民間劇場とも連携しながら、まちの賑わいの創出につながるよう、開催に向けた準備を進めてまいります。
市立美術館におきましては、芸術家・山本鼎が、神川小学校を出発点として全国に広がった児童自由画教育運動と農民美術を始めてから、本年で100年を迎え、これを記念して周年企画展を開催してまいります。また、本年は、山本鼎のいとこで、上田市にゆかりのある、夭折(ようせつ)の天才画家・村山槐多の没後100年にも当たることから、こちらも企画展を計画しております。上田市民にとどまらず全国の美術ファンを惹きつける魅力的な企画展として展開してまいります。
一方、サントミューゼの開館後の取組について、来場者や利用者のアンケートをもとにした評価に加え、集客による経済効果等も含めた事業評価の結果が、今年度内にはまとまることから、その内容を踏まえ、今後の健全な運営と更なる有効活用を、外部委員により検討してまいりたいと考えております。
地域の文化財を総合的に保存、活用するためのマスタープランとなる「上田市歴史文化基本構想」が、今年度末にまとまる予定であり、今後は、地域の特色を活かしたまちづくりなどに活用してまいります。また、文化庁が、地域の歴史的魅力や特色を通じてわが国の文化・伝統を語るストーリーを認定する「日本遺産」について、先月、申請をいたしました。本年5月頃には、審査結果が発表される予定であることから、吉報を期待しているところであります。
当地域は、鎌倉時代には「信州の学海」と称され、大正時代には地域の青年たちの手による「自由大学運動」が展開されるなど、「学び」を生活文化のひとつとしてまいりました。
「信州上田学」につきましては、この地に脈々と受け継がれてきた歴史、文化、自然、風土等を学ぶことで、郷土愛を育み、更に地域課題を見出し、これを当事者として解決していくことができる、人づくりを目的として提唱いたしました。来年度から導入する事業といたしましては、幼保小中高をはじめ市民の「ライフステージごとの学びの機会の提供」、「長野大学での信州学及び信州上田学講座の実施」、そして、次代を担う若者たちが地域の未来設計図を描く「上田未来会議の創設」の3本柱として、長野大学と緊密な連携を図りながら進めてまいります。
地域を学ぶ取組は、これまでも各学校や公民館のほか、市民の皆様が主体となった様々な活動により展開されており、こうした蓄積を活かしつつ、更には市内外の人的ネットワークを加えながら再構築し、知識と実践は一体的なものであるという「知行(ちこう)合一(ごういつ)」の考え方を持って取り組んでまいりたいと考えております。
全国の地方都市で移住・定住促進事業が加速しております。これまで市では、移住を検討する皆様への情報提供の機会を充実させるため、移住体験ツアーや相談会を開催し実績につなげてまいりました。今後は、更に上田地域定住自立圏の4市町村合同で移住相談会を開催するなど、広域的な連携も推進しながら、移住希望者のニーズに応えられるよう一層の取組を進めてまいります。
空き家バンク制度では、今年度、登録物件の購入者への引越費用の補助を開始し、より多くの方に制度を活用していただけるよう取り組んでまいりました。ふるさと寄附金につきましても、昨年9月から専用ポータルサイトを追加して利便性を向上させたほか、返礼品の充実などにより、今年度はこれまでの最高額となる寄附をいただいております。来年度は、WEB広告を活用した情報発信に力を入れ、「ふるさと上田」が多くの皆様から愛され、応援していただけるよう、制度の趣旨に沿った取組に引き続き努めてまいりたいと考えております。
シティプロモーションにつきましては、途切れることのない積極的な施策を展開していくため、市内で開催予定の大規模なイベントや催しなどを、様々な媒体を活用して情報発信に取り組んでおります。来年度におきましては、新たに「市民リポーター制度」を導入し、多くの方にまちの魅力を発信していただく仕組みづくりも進めてまいります。また、「広報うえだ」につきましては、市民の皆様に親しんでいただける広報紙を目指し、市政情報、地域の魅力などをより分かりやすく充実した内容でお伝えしていくとともに、情報の集約化と自治会への負担軽減を図るため、現在の月2回から1回の発行としてまいります。
市庁舎改修・改築と組織改正
最後に、市庁舎改修・改築と組織改正について申し上げます。
2020年度内の完成を目指す、本庁舎の改築事業の施工者について、先の臨時会で御議決を賜り、「清水・千曲・栗木特定建設工事共同企業体」と本契約に至りました。今後は施工者による技術協力が得られることから、着実に実施設計が進んでいくものと考えております。
南庁舎の耐震補強につきましては、市民の安全が確保される耐震性能を十分備えた庁舎として、工事がこのほど完了いたしました。併せて本庁舎内の部署の移転も完了し、来月以降、本庁舎低層棟及び西庁舎の建屋の解体を行い、本年9月には新本庁舎本体の建設工事が始まる予定であります。外構工事を含め足かけ5年にわたる改修・改築事業となり、市役所周辺の住宅、学校等の安全・環境に十分配慮するとともに、来庁される市民の皆様へのサービス低下とならないよう慎重に事業を進めてまいります。
庁舎の耐震化と利便性向上のため改修を行う丸子地域自治センターと、地域コミュニティの活動拠点として新たに整備する武石地域総合センターにつきましても、市民の皆様に安全・安心に利用していただける庁舎とするとともに、市民に幸せを提供する場として、市民目線に立ったサービスの向上にも取り組んでまいります。
さて、この4月に組織改正を実施してまいりますが、新たな体制により、公約に掲げる「上田再構築プラン」と「第二次上田市総合計画」の実現に向けた取組を加速させてまいりたいと考えております。主な改正内容は、市長直轄の組織として自治体シンクタンク「上田市政策研究センター」を設置し、外部から人材を登用することで、地域の特色・実情に即した独自の政策立案につなげてまいります。また、「つながり」「多様性」による市民総参加のまちづくり、資源循環型施設の早期整備、就労支援の促進など、様々な行政課題に効果的に対応できる組織としてまいります。
以上、直面する重要な取組と平成31年度における市政経営に臨む所信の一端を申し上げました。
議案
今回提案いたします案件は、条例案が17件、平成30年度補正予算案及び平成31年度当初予算案が20件、事件決議案が4件の合計41件であります。
まず、条例案につきましては、新設1件、一部改正16件の合計17件の提案であります。
次に、平成31年度の当初予算案について申し上げます。
平成31年度一般会計の歳入歳出予算総額は677億2,280万円と、前年度と比較して23億8,806万円余、3.7パーセントの増となりました。今回は、就任後初となる当初予算編成であり、これまで継続してきた必要な事業には慎重かつ十分な配慮をしながら、市民の幸せ創造を第一に考えた予算編成といたしました。
総合計画に掲げる将来都市像を具体化するための施策展開を念頭に置き、上田市版総合戦略に盛り込まれた各種施策と「上田再構築プラン」を踏まえ設定した、7つの重点分野を具体化する事業に重点的な財源配分を行ったところであります。
特徴的な事業としては、自治体シンクタンク「上田市政策研究センター」運営事業のほか、2020年度末の完成を目指す市庁舎改築事業、第五中学校改築事業に着手するための調査経費、地域の愛着を醸成する信州上田学推進事業、ラグビーワールドカップ開催に伴うイタリア代表チームとの交流事業等に関連する予算を計上しました。
また、市庁舎の建設が本格化する来年度以降、数年間は普通建設事業の増加が見込まれると同時に、起債残高も一時的に上昇し、公債費が高く推移することが想定されます。加えて、高齢化の進展による社会保障経費の増加が見込まれることから、行財政改革の推進と持続可能な財政構造の確立に向けた取組を継続してまいります。なお、5年ぶりとなる、本年10月の消費税率の改定に伴う市の対応としましては、当初予算で必要経費を計上いたしましたが、歳入歳出の全般において適切に対応してまいりたいと考えております。
このほか、特別会計7会計、企業会計5会計を合わせた12会計では、合計521億2,600万円余、昨年と比較して12億5,623万円余、2.5パーセントの増となっております。これは、国民健康保険事業特別会計や介護保険事業特別会計等において、医療費、保険給付費が伸びていることが影響したものであります。
続きまして、平成30年度3月補正予算案について申し上げます。今回の補正におきましては、12月補正予算編成以降必要が生じた事務事業経費の調整や事業等の確定など、平成30年度執行見込みに伴う事業費及び財源の調整について、一般会計と2つの特別会計及び上下水道事業等の4つの企業会計についての計上であります。
このうち一般会計補正予算第6号については、7億4,962万円余の増額補正を行い、予算額は697億4,971万円余となっております。主な予算の内容としては、早期の完成となった南庁舎の耐震化工事や信濃国分寺史跡公園の用地取得に関する経費の計上のほか、国の第二次補正予算で措置された「プレミアム付商品券事業」については、事務費の一部を計上しており、今後、国、県と十分調整した上で実施に向け対応してまいります。また、上田城復元プロジェクトに対する2件の寄附について、「ふるさと上田応援基金」への積立金を計上しております。これは、昨年12月に、上田・城下町活性会の皆様、並びに匿名の個人の方から上田城櫓の復元整備に役立ててほしいとの趣旨で、多額の御寄附をいただいたものであり、この場をお借りして、改めて御礼を申し上げます。今後、更に、資料の情報提供を呼びかけるとともに、復元方法についての検討、調査を進めるなど、そのお気持ちに沿えるよう、鋭意努力してまいりたいと考えております。
最後に、事件決議案につきましては、新市建設計画と辺地総合整備計画の変更に係る議案など合計4件の提案であります。
以上、今回提案いたしました条例案、予算案及び事件決議案の概要を申し上げました。
各提出案件の内容につきましては、それぞれ担当者から説明いたしますので、よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
結び
さて、「平成」も残すところあと2か月余りとなりました。ひとつの大きな時代の終わりを惜しみつつも、次の時代の幕開けに期待が膨らんでまいります。私は、この上田市を市民の皆様が将来に夢を持ち、いきいきと暮らせる故郷として、次代を担う子どもたちに引き継いでいけるよう、誠心誠意取り組んでまいる所存であります。
「ネクストステージは希望の時代」と信じて、市民お一人おひとりとの出会い、つながりを大切にしながら、新たな挑戦に臆することなく、輝く上田の未来を築き上げてまいります。
今後とも議員各位並びに市民の皆様の格別の御支援と御協力をお願い申し上げ、私の施政方針とさせていただきます。