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令和2年3月市議会定例会 市長施政方針

更新日:2020年2月26日更新
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令和2年3月市議会定例会 市長施政方針 説明

令和2年2月21日

目次

 はじめに

 本日ここに、令和2年3月市議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位におかれましては御多忙の中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。


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 東日本台風からの災害復旧・復興に向けた対応状況等

 まず、令和元年東日本台風の災害に伴う、被災者支援をはじめとした、災害復旧・復興に向けた対応状況等について申し上げます。

 東日本台風の災害は、これまでに上田市が経験したことのない規模の被災であり、復旧・復興の長期化が予想されます。また、道路、河川、別所線千曲川橋梁等の復旧事業とともに、市として災害の検証作業も進めていくことから、引き続き全庁体制で取り組む必要があり、先月、新たに私を本部長とする「上田市復旧・復興対策本部」を設置したところであります。

 こうした中、被災された市民の皆様への生活再建支援につきましては、国・県の制度による被災者生活再建支援金に加えて、12月定例会において関連予算を御議決いただいた市独自の被災者生活再建支援金の支給を昨年末から開始いたしました。

 また、市内外から3,200万円を超える義援金を上田市にお寄せいただき、長野県から配分された義援金とともに、被災された方々に順次、お届けしております。

 ふるさと納税制度を活用した災害支援寄附金と別所線応援プロジェクトにつきましても、現在、合計が8,500万円に上っており、多くの皆様からの心温まる御支援、御協力に心より感謝申し上げます。

 このほか、被災した住宅の応急修理につきましても、災害救助法に基づき修理費用の支援を行ったほか、被災された皆様への市税及び上下水道料金等について減免措置も講じるなど、生活再建に向けた負担軽減に努めてきたところであります。

 

 一方、損壊した道路、河川、農林業用施設等の本復旧につきましては、国の災害査定が終了したことを受け、本定例会に関連予算等を提案しており、引き続き、関係機関と連携を図りながら、早期の復旧・復興に向け全力で取り組んでまいります。

 今回の災害で甚大な被害を受けた千曲川流域においては、国・県・市町村が連携して河川整備などを行うハード対策と、住民への情報伝達手段の強化などのソフト対策を一体的かつ早期に進める取組を、国土交通省北陸地方整備局が中心となり、「信濃川水系緊急治水対策プロジェクト」として取りまとめました。市といたしましても、これらに位置付けられた浸水被害軽減対策などを国・県と協調する中で、順次取り組んでまいります。

 また、国においては、千曲川右岸堤防から越水した国分地籍の築堤工事が今年度の災害対策等緊急事業として実施されるほか、下之条地籍などの護岸損壊箇所の復旧工事も順次進められる予定であります。更に、県においても、このたびの土砂災害等の被害に対し、その復旧と出水期に備えた災害関連緊急砂防事業を早期に実施するとともに、今後、道路、一級河川等の本格的な復旧段階に入りますので、市といたしましても、地元調整など早期の事業完了に向け協力してまいります。

 このほか、近年多発している豪雨に対応した都市基盤整備の必要性が浮き彫りになったことから、浸水被害が頻発している城下地区の金窓寺川の調整池整備にも着手してまいります。

 千曲川の増水により被災した河川敷体育施設につきましては、被害の少なかった上堀グラウンドと小牧橋マレットゴルフ場が利用団体の皆様にも復旧整備に御協力いただく中、本年4月から一般開放する運びとなりました。

 一方、被害の大きかったその他の河川敷体育施設については、来年度、復旧工事を行い、令和3年度からの供用開始を目指してまいります。

 

 別所線千曲川橋梁等の災害復旧事業につきましては、1月臨時会において、補正予算及び関連議案の御議決をいただき、上田市が事業主体として進めていくこととなりました。現在、橋桁の撤去作業を終え、橋台工事の準備に入っておりますが、国土交通省千曲川河川事務所では、地域住民の安全確保に向けて、左岸堤防の本復旧工事を6月の出水期までに完了させる方針であることから、市といたしましても、国及び鉄道事業者との連携を密にし、歩調を合わせながら、橋梁等の早期復旧に取り組んでまいります。

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 災害に強いまちづくりの取組

 災害に強いまちづくりを進めるためには、自分たちの地域は自分たちで守る「共助」による、自主防災組織の活動が重要であります。これまでも、自主防災組織が行う防災用資器材の整備に対する支援を行ってきましたが、来年度からの3年間は、その補助率と補助限度額を時限的に引き上げてまいります。併せて、長野県の自主防災アドバイザー等との連携も図りながら実践的な防災訓練に対する支援の充実にも努めるほか、今回の台風災害や県管理河川の浸水想定区域の見直しを踏まえた災害ハザードマップの見直しも進めていきます。

 更に、地域防災の中核として重要な役割を果たしていただいている消防団につきましても、引き続き、団員の加入促進や活動環境の整備などに努めてまいります。

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 資源循環型施設建設とごみの減量

 次に、資源循環型施設の建設につきましては、地域住民の安全・安心を将来にわたって保証する計画の策定に向け、一昨年の11月に設置した「資源循環型施設検討委員会」において当初の予定を延長して活発な議論を行っていただいており、丁寧に話し合いを進めているところであります。

 先月10日に開催した8回目となる委員会では、ごみ減量の取組をはじめ、施設の規模・方式などの基本的条件、環境対策などの検討結果の取りまとめに向けた協議を行い、現在、そこで示された各委員からの御意見を踏まえて調整を進めております。

 資源循環型施設建設は、市政の最優先課題として位置付けており、今後につきましても、地域住民の皆様との合意形成に向けて全力で取り組んでまいります。

 

 一方、南部終末処理場内に「し尿前処理下水道投入施設」を整備する計画につきましては、昨年末に開催した地元下之条自治会の皆様との検討会において、私も出席する中、今年度実施した生活環境影響調査と基本設計に基づいた環境・防災対策等を踏まえて、住民の皆様と意見交換を行いました。また、今月6日には下之条自治会役員の皆様から、将来の地域振興についての要望書の提出があり、市といたしましても、これを真摯に受け止め検討を進めてまいります。

 

 ごみの減量に向けた取組につきましては、生ごみの資源化を図るため、昨年7月に廃棄物処理審議会の部会として「生ごみリサイクル研究委員会」を設置いたしました。委員会では、全市民が可能な限り自己処理ができる仕組みづくりについて検討を行い、現在はその取りまとめの段階となっております。今後、廃棄物処理審議会での審議を経て、生ごみリサイクルシステムの構築について答申をいただき、市の計画に反映させた上で、できる限り速やかに実施してまいります。

 また、「燃やせないごみ」の収集回数の変更につきましては、この2月から南部自治会連合会の御協力をいただき、先行モデル地区として、月2回の収集に移行いたしました。今後、このモデル事業で得られた課題等を整理した上で、本年10月から全市で実施してまいりたいと考えております。

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 東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた取組

 いよいよ世界最大のスポーツの祭典「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」が、前回の東京大会から半世紀の時を経て、本年7月24日から開催されます。それに先立つ4月2日には、上田市においてオリンピックの聖火リレーが行われますが、市民の皆様の中には、1964年の前回大会の際、国道18号を走った聖火の様子を記憶されている方も多いと思います。今回は、サントミューゼ芝生広場をスタート地点とし、中心市街地を巡った後にゴールの上田城跡公園を目指すコースで、上田市または長野県にゆかりのあるランナーに聖火をつないでいただくことになっております。

 市といたしましても、市民の皆様の記憶に残る聖火リレーとなるよう、万全を尽くしてまいりますので、交通規制等で御迷惑をお掛けすることもあろうかと思いますが、御理解をいただきますとともに、沿道での御声援をお願いいたします。

 また、ラグビーワールドカップにおけるイタリア代表チームと同様に、東京オリンピック・パラリンピックに出場する複数の選手団から菅平高原において事前キャンプを行いたい旨のオファーをいただいており、今後、地元菅平高原をはじめとした関係団体の皆様と受け入れについて協議を進めてまいります。

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 「新型コロナウイルス感染症」に対する取組

 さて、このスポーツの祭典が5か月後に迫る中、中華人民共和国湖北省武漢市において発生した「新型コロナウイルス感染症」(COVID(コビッド)-19)が、世界各地に広まっており、先月末にWHO(世界保健機関)が、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言いたしました。

 市といたしましては、現在、国・県と連携を図りながら、的確な情報収集を行っているところでありますが、市民の皆様におかれましては、季節性インフルエンザと同様に、手洗いや咳エチケットなど基本的な感染症対策に努めていただきますよう、この場を借りてお願い申し上げます。

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 国の予算等

 次に、先月30日に成立した、国の令和元年度補正予算につきましては、災害からの復旧・復興と安全・安心の確保対策として2兆3,086億円が充てられたほか、経済の下振れリスクへの対応として9,173億円を盛り込むなど、一般会計総額で3兆1,946億円が追加計上されております。

 また、この補正予算には、特別交付税の総額が950億円加算されたこと、幼児教育・保育の無償化に係る地方負担分として342億円の増、災害復旧事業に係る地方債措置の拡充のほか、被災鉄道の復旧や代行バスの運行支援として35億8,500万円等も盛り込まれました。

 一方、国の令和2年度当初予算案につきましては、一般会計総額が102兆6,580億円と8年連続で過去最大となりました。このうち、地方の一般財源総額については、「骨太の方針」に基づき、前年度を7,246億円上回る63兆4,318億円が確保されたところであります。

 歳入面では、海外発の下方リスクによる影響は残るものの、内需を中心とした緩やかな景気の回復や消費増税の影響を踏まえて、前年度を1兆180億円上回る63兆5,130億円の税収を計上するとともに、会計年度任用職員制度への対応やSociety5.0の実現に向けて、次世代型行政サービスの推進に係る経費の財政措置が講じられております。

 また、歳出面では、昨年10月の災害に係る復旧・復興事業に重点が置かれているほか、河川等の浚渫(しゅんせつ)事業の創設や森林整備の促進等、防災・減災対策の推進に向け、より拡充された内容となっております。更に、幼児教育・保育の無償化、介護人材の処遇改善など、人づくり革命の実現や地方創生の推進、総合的な地域福祉施策の充実といった取組についても、引き続き財源配分がなされました。

 市といたしましても、台風災害からの復旧・復興事業を最優先としつつ、市民生活の安定と地域経済の更なる拡大に向けて、国や県の動向を注視しながら、適切な対応を図ってまいります。


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 地域の雇用対策

 次に、地域の雇用情勢につきましては、市内企業を対象とした経営実態調査や訪問調査などから、経営上の課題として人手不足を強く認識しており、市では地域企業の人材確保を重要課題と位置付け、関係機関と連携を図りながら、学生等若者をはじめ、移住希望者のUIJターンの就職促進に努めております。

 学生などの若者の地域企業への就職につきましては、地方創生推進交付金を活用し、今年度から学生と地域企業との「インターンシップマッチング」など、様々な事業を開始しており、来年度におきましても関係機関と連携を図りながら、更に内容を充実させて取り組んでまいります。

 また、新たに正規に雇用する従業員の奨学金返済を支援する中小企業に対し、その支援した額の一部を市が補助する「学生等地域就職促進奨学金支援事業」も実施するほか、産学官協働によるキャリア教育も充実させながら、若者の市内就職と定住を図ってまいります。

 一方、ニート・ひきこもりなどの状態から脱却を目指す若者をはじめ、働きたい女性や高齢者など幅広い世代の就業支援を行っている「上田市就労サポートセンター」におきましては、近年、相談者の置かれている状況が多様化しております。この4月からは国による、いわゆる就職氷河期世代への支援も開始されるため、専任コーディネーターによる相談体制の充実を図ってまいります。

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 第二次上田市総合計画「後期まちづくり計画」の策定に向けた取組

 次に、地方創生の推進と第二次上田市総合計画「後期まちづくり計画」の策定に向けた取組について申し上げます。

 令和2年度を初年度とする国の第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、「将来にわたって『活力ある地域社会』の実現」に向け、結婚、出産、子育ての希望をかなえることによって人口減少を和らげることや、地域の外から稼ぐ力を高めつつ、地域内経済循環を実現することなどが重要な視点として掲げられております。

 こうした中、上田市においては、第二次上田市総合計画「後期まちづくり計画」を第2期総合戦略と一体化した計画として策定を進めております。昨年10月以降、上田市総合計画審議会において、「前期まちづくり計画」の検証とともに、時代の流れによる新たな視点を反映した計画となるよう活発な審議を進めていただいており、年度内に予定する中間答申に向けた計画案の取りまとめが大詰めを迎えている段階であります。

 今後につきましては、来年度、市民懇談会の開催等により、広く市民の皆様の御意見をお聴きしながら、最終計画案に向けた審議をいただく予定であり、引き続き、地域への誇りと愛着が育まれ、安全・安心で持続的に発展する上田市の実現につながる総合計画の策定を鋭意進めてまいります。

 加えて、昨年、市内の高校6校で「『上田市の未来を語る』 高校生と市長との懇談会」を開催し、若者が描く未来のまちづくりへの熱い思いを伺うことができ、「後期まちづくり計画」の策定などを含め、今後の市の施策に反映させてまいりたいと考えております。

 それでは、令和最初となる施政方針について、「上田再構築プラン」を踏まえて、第二次上田市総合計画「前期まちづくり計画」における6つの施策大綱に沿って申し上げたいと思います。

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 自治・協働・行政

 まず、一つ目として「市民が主役のまちづくり」、自治・協働・行政に対する取組についてであります。

 上田市では、自治の最高規範として平成23年に上田市自治基本条例を施行し、市民、市議会、そして市が協力しながら、「参加と協働による住民自治の推進」と「地域内分権による地域自治の推進」に努めてまいりました。来年度はこれまでの成果の検証とともに、社会情勢や運用状況等を踏まえた条例の見直しに取り組んでまいります。

 また、これまでに、市内9地域に11組織が設立された「住民自治組織」につきましては、自治会や市民活動団体などの多様な主体が参画し、単一の自治会では解決が難しい地域課題への対応や、地域の個性・特性を生かしたまちづくりを進めていただいております。この住民自治組織が、自主的な運営のもとで一定の裁量をもった活動が展開できるよう、引き続き、地域担当職員と庁内各課所の協働推進員による人的支援や、交付金による財政的支援を行うとともに、併せて全市域での組織設立に向けた取組も、地域住民の皆様の御理解を得ながら進めてまいります。

 今後、住民主体のまちづくり活動は、自治会や市民活動団体などが参画する各地域の住民自治組織が担うことになりますが、全市にまたがるような自由な市民活動は、引き続き支援していく必要があることから、県の地域発元気づくり支援金の対象とならない活動について、新たな支援制度「活力あるまちづくり支援金」を創設してまいります。

 上田市が座長市として、昨年12月に開催した「外国人集住都市会議」につきましては、「日本に住む誰もが孤立せず、自らの生活を築いていくことができる社会の構築」をテーマとし、日本語教育施策の充実を中心に議論が行われました。会議においては、国籍や年齢によらず、全ての子どもたちに教育を受ける権利を保障することや、日本語に加え母国語に対する学習支援の重要性などを盛り込んだ「うえだ宣言」を採択いたしました。市では、昨年「みんなの初級日本語教室」を開校したところであり、今後につきましても、あらゆる年代の外国籍住民に対する教育支援に取り組むとともに、併せて外国籍住民の総合案内を充実するため、「多言語相談ワンストップセンター」を拡充してまいります。

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 自然・生活環境

 続きまして、二つ目として「安全・安心な快適環境のまちづくり」、に対する取組について申し上げます。 

 まず、市民生活の利便性の向上に加え、地域間の交流を促進し、都市としての機能性を高める道路網の整備について申し上げます。

 長野県道路公社が管理運営する三才山トンネルが、本年9月1日から無料化されることになりました。東信地域と中信地域を結ぶ基幹道路として、物流はもとより観光面や地域振興からも重要な路線であり、今後ますます地域間交流が促進されていくものと期待する一方、国道254号の交通量の増加が見込まれるため、丸子地域における県事業のバイパス整備に合わせて、関連する市道の一体的な整備を進めてまいります。

 また、平成22年から県において進めている主要地方道別所丸子線柳沢バイパスが、来月中旬、開通する運びとなりました。地権者並びに関係機関の皆様に厚く御礼を申し上げるとともに、連続する都市環状道路の一角をなす鈴子バイパスにつきましても、早期事業化に向けて、引き続き県に要望してまいります。

 国道18号上田バイパス第二期工区につきましては、現在、用地取得のほか、神川の橋梁工事、第一中学校付近の関連工事が予定されており、市におきましても、アクセス道路の整備を含め、円滑に事業推進が図られるよう積極的に協力してまいります。

 市道の幹線道路の整備につきましては、塩尻地区の五反田新屋線が、本年秋頃に完成する予定であり、また、岩下地区の踏入大屋線につきましても、一部工事に着手しているほか、神川橋を含めた橋梁工区では、本格的な用地買収を行ってまいります。

 更に、上田市役所前の市道新参町線の無電柱化事業につきましても、良好な都市景観や防災面の向上を目指して鋭意進めてまいります。

 公共交通の維持・確保につきましては、台風災害に伴い鉄道・バス路線の運行休止や迂回運行などが続いているほか、バス事業者の深刻な運転手不足に起因するバス路線の廃止・休止等により、市民生活に影響を及ぼしている状況にあります。地域住民、事業者、行政が、ともに地域交通のあり方を検討する仕組みを整えながら、持続可能な交通体系の構築を目指し、来年度、組織体制を強化して取り組んでまいります。

 日々の生活に欠くことのできない重要なライフラインである上下水道事業につきましては、今後10年間の事業運営の方向性を示した「上田市水道ビジョン・下水道ビジョン」や、現在見直しを進めている「上田市上下水道事業経営戦略」に基づいて計画的に事業を推進してまいります。

 まず、水道事業では、台風災害に伴う水道施設の復旧を優先して実施するとともに、老朽化した基幹管路や浄水施設等の更新・耐震化に加え、真田地域簡易水道統合整備事業についても、来年度中の給水開始を目標に取り組んでまいります。

 一方、下水道事業におきましては、処理場や管渠等の更新・耐震化を進めるほか、し尿前処理下水道投入施設の建設を見据えて、南部終末処理場の臭気対策として汚泥処理棟改築工事に着手してまいります。また、農業集落排水の公共下水道への統合事業につきましては、今年度、藤原田処理区が完了することから、新たに東内処理区の統合を進めてまいります。

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 産業・経済

 続きまして、三つ目として「誰もがいきいき働き産業が育つまちづくり」、産業・経済に対する取組について申し上げます。

 上田市が持続的に発展していくためには、地域の経済・雇用を支え、地域づくりの主体として大きな役割を果たしている中小・小規模企業の振興が欠かせません。

 このたび、事業者をはじめ、関係団体の代表や市民の皆様による議論を踏まえて、基本理念や施策の基本方針を明らかにした「中小企業・小規模企業振興条例」の制定について、今定例会に提案いたしました。御議決いただいた後には、本条例に則って、多様な機関と連携を図りながら、効果的な施策を総合的に実施してまいります。

 また、その具体的な実行計画となる「商工業振興プラン」につきましては、条例の趣旨等を踏まえた見直しを行うため、検討委員会を設けて様々な御意見をいただきながら、内容に磨きをかけてまいります。

 

 市内では、近年、後継者不足などの理由により、事業承継が難しいため、廃業せざるを得ない事業者が増加してきており、雇用や事業者固有の技術・サービスが失われるなど、地域経済の衰退が懸念されています。このため、市内3商工団体と連携し、民間ノウハウを活用した新たな支援体制を構築し、中小企業の円滑な事業承継を促進するとともに、事業の拡大や経営の多角化等も見据えたM&Aも支援してまいります。

 また、重要な地域資源である地元温泉街においては、空き店舗等を活用した出店やサテライトオフィスの整備をはじめ、ワーケーション等も促進し、温泉街の賑わい創出とともに、新たなビジネスを生み出す取組を支援してまいります。

 更に、東信州10市町村による広域連携事業につきましては、東信州次世代イノベーションセンターを中心に、大学、産業支援機関、金融機関等との連携のもと、開発プロジェクトの実現に向けた支援を進めてまいります。

 地域経済を活力あるものとし、併せて雇用の維持・創出を図っていくためには、企業誘致・留置の取組が重要であり、これまでも、企業立地の優位性を積極的にアピールするとともに、企業進出のインセンティブとなる助成金の拡充や税制面での優遇策を講じてまいりました。

 その受け皿として進めている箱畳第二期工業団地造成事業につきましては、平地面積の拡張と周辺地域の皆様のより安全な対策を講じるため、当初計画から変更が生じており、今定例会に上程した当初予算に、改めて造成事業に係る債務負担行為を計上いたしました。今後、来年度の早い段階で本体工事に着手し、令和3年度中の完成を目指して事業を進めてまいります。

 次に、観光振興について申し上げます。

 台風災害で大規模な宿泊キャンセルに見舞われた市内温泉地への誘客と賑わいの創出を図るため、今月7日から5日間の日程で、別所温泉において「上田氷灯ろう夢まつり」を開催いたしました。日本を代表する照明デザイナーの石井幹子氏、石井リーサ明理氏監修により、北向観音堂がパラリンピックをイメージした三色でライトアップされ、鹿教湯温泉から提供いただいた氷灯ろうをはじめ、地元や長野大学生の皆様の御協力で あたたかな灯りが各所を彩り、大勢の方々に幻想的な世界をお楽しみいただきました。併せて、台風による甚大な被害を受けた長野市、飯山市と連携してPRを図るなど、広域連携で災害復興支援イベントを開催できたことは、大変意義深いものであったと考えております。

 また、県の地域協働事業支援金を活用し、信州上田観光協会を中心に旅行専用サイトでのWEBプロモーションを展開したほか、市内外において観光キャンペーンを開催し市内温泉地への誘客に取り組んだところであります。

 インバウンドの取組につきましては、東京オリンピック・パラリンピックの開催を絶好の機会として、さいたま市を中心とした東日本連携・創生フォーラムでの東日本周遊観光促進キャンペーンへの参画や、首都圏鉄道での車内広告プロモーションを展開してまいります。併せて外国人に人気の高い「忍者」につきましても誘客の重要なコンテンツとして民間団体連携の組織化を図りながら「忍者の里・上田」を積極的にPRしてまいります。

 更に、豊富な観光資源のブラッシュアップに努めながら、北陸新幹線及び しなの鉄道沿線自治体や長野市、松本市とのトライアングル連携といった広域連携を強化し、国内外からの一層の誘客促進に取り組むとともに、地域おこし企業人の知見を活かし、持続可能な観光を目指す「観光マスタープラン」の策定にも着手してまいります。

 いずれにいたしましても、観光産業は、宿泊、交通、土産品製造、印刷、サービス業などに関わる裾野の広い産業であることから、地域経済に一層の波及効果をもたらす「稼ぐ観光」への転換を図ってまいりたいと考えております。

 次に、農業の振興について申し上げます。

 上田市の農業の持続的な発展には、担い手の確保対策、農地集積、稼ぐ農業施策の推進に重点的に取り組む必要があります。

 今年度から新たに近隣町村、県、JA等とプロジェクトチームを組み、首都圏からの農業人材の誘致、育成、独立就農までの切れ目のない支援による、新規就農者を増やす取組を進めております。また、人材誘致のインセンティブとなる農業機械等購入補助制度も新設したところであり、来年度も、引き続き、これらを活用し担い手確保を進めるとともに、福祉就労先を探している福祉事業者と労働力を探している農家とのコーディネートを行う「農福連携」にも新たに取り組んでまいります。

 併せて、「地域農業は地域で守る」という機運の醸成を図りながら、集落単位の話し合いにより担い手へ効率的な農地集積を目指すなど、「人・農地プラン」の実質化に取り組むとともに、農地情報の一元管理体制の構築も進めてまいります。

 地域に伝わる食文化である「発酵」によるまちづくりや、地産地消の推進は農業経営を維持していくだけでなく地域の経済活動においても重要な役割を果たしております。姉妹都市等との交流を活かした農産物の販路拡大・開拓を積極的に進め、併せて6次産業化の促進にも取り組みながら、稼げる農業を実践し、農業分野からも地域の活性化を目指してまいります。このほか、都市と農村との交流促進や関係人口拡大を図るため、殿城地区で進めている滞在型市民農園(クラインガルテン)において、来年度中に宿泊棟が完成する予定です。引き続き、地元を含めた関係機関と連携を図りながら、早期の供用開始を目指して取り組んでまいります。

 野生イノシシへの感染拡大が続いているCSF(豚熱)につきましては、県の「ワクチンベルト構想」に基づき昨年10月、市内の山林に経口ワクチン散布を行いましたが、昨年末に市内で死亡して発見された野生イノシシへの感染が、東信地域で初めて確認されました。その後、2頭目の感染が確認されたことを受け、今月、経口ワクチン散布を再度、実施したところであります。

 こうした中、市内養豚場では、約2,000頭に対するワクチン接種を昨年10月に完了させており、養豚場での感染の危険性は低下しているものと考えておりますが、今後も引き続き、県と連携しながら防疫体制の充実に努めてまいります。

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 健康・福祉

 続きまして、四つ目として「ともに支え合い健やかに暮らせるまちづくり」、健康・福祉に対する取組について申し上げます。

 市民の健康づくりと子育て支援の拠点となる「ひとまちげんき・健康プラザうえだ」が、来年度開館10周年を迎えます。「ひと」も「まち」も健康で元気に多くの市民の皆様が集う施設にと名付けられたこの施設を、更に多くの方々に御活用いただけるよう、看板等の更新を行うほか、秋には開館10周年記念イベントを開催いたします。子育て世代や働き盛り世代、そして高齢者の方々まで、多くの皆様が楽しみながら健康づくりや子育てについて関心を高める機会となるよう取り組んでまいります。

 

 核家族化や地域のつながりの希薄化等により、妊産婦が孤立し、妊娠・出産・子育てに係る不安や負担が増えており、妊産婦に対する早期からの支援が求められております。一昨年から取り組んでいる、出産直後の母親が心身の休養を取りながら、助産師による育児支援が受けられる「産後ケア事業」を更に拡充し、上田市立産婦人科病院等での24時間体制で助産師が見守り支援する「宿泊型」も導入してまいります。

 また、来年度から、産後に県外の実家などに里帰りしている際、お子さんが受けられた定期予防接種に対して新たに助成するとともに、これまでの不妊治療に対する補助に加えて、不育症治療に対する支援も行ってまいります。

 地域医療につきましては、今年度から上小医療圏地域医療再生計画継続事業の終了後の地域医療対策事業に取り組んでおり、来年度も財源に上田地域広域連合ふるさと基金を活用し、県、関係市町村、関係機関等と連携を図りながら、将来にわたって市民の安心な暮らしを支える、地域医療の充実に努めてまいります。

 また、この4月の組織改正において、健康こども未来部健康推進課の外局として地域医療政策室を設置し、医療従事者の確保対策をはじめとする、上田地域における医療体制の充実に資する取組を更に進めてまいります。

 一方、上田市立産婦人科病院につきましては、今月、2人目の常勤医師をお迎えすることができ、これまでより安定的な運営ができるものと考えております。

 出生数の減少や、地域の分娩施設の増加が見込めないなど、周産期医療を取り巻く環境は厳しい状況ではありますが、地域内で完結ができる周産期医療の一翼を担う公立病院として、今後も「安全で安心してお産のできる」医療を提供するとともに、魅力ある病院づくりに努めてまいります。

 国民健康保険につきましては、県が保険者として市町村とともに運営を担う、国保制度改革から間もなく2年が経過いたします。先月、県から示された令和2年度国保事業費納付金が今年度より減少したため、国民健康保険税率の改定について、国民健康保険運営協議会へ諮問いたしました。その結果、世帯の状況により増減が生じる場合があるものの、全体の賦課総額を1.1パーセント引き下げる答申をいただいたことから、市では答申を尊重した税率の改定を行ってまいります。

 高齢者の介護予防、健康増進事業につきましては、来年度より「地域特性に基づくフレイル予防・健康増進事業」として、保健部門と介護部門が連携し、高齢者の状態把握・個別支援を実施するとともに、地域支援事業等を通じて積極的なフレイル予防に取り組んでまいります。このほか、来年度は「第7期上田市高齢者福祉総合計画」の最終年度となることから、各施策の進捗状況等を勘案し、高齢化の更なる進行に伴う社会情勢に対応した、第8期計画を策定してまいります。

 次代を担う人づくりとして大変重要な子育て支援につきましては、今年度、「すべての子どもが笑顔で幸せに暮らせるまち」を基本理念とした「第2次上田市子ども・子育て支援事業計画 上田市未来っ子かがやきプラン」の策定を進めてまいりました。

 この計画は、「子どもの成長を支える視点」「親の子育てを支える視点」「地域社会全体で子育てを支える視点」の3つの視点を大切にし、妊娠・出産期からの切れ目のない支援を行っていくための施策を掲げております。今後につきましては、この計画に基づき、子育てに夢や希望が持てる社会の実現を目指し、「子育てをするなら上田市で」をアピールできるよう、更なる支援事業の充実に努めてまいります。

 虐待の未然防止や早期発見等により児童の安全を確保するためには、まずは家庭に最も身近な基礎自治体である市町村において、子育て家庭が社会から孤立することのないよう地域力を高め、妊娠・出産から子育てまで切れ目なく、きめ細かな支援が行われる仕組みを構築することが欠かせません。そのため、市ではこれらの支援や関係機関との調整機能を有する「子ども家庭総合支援拠点」の設置に取り組んでまいります。

 ひとり親家庭に対する支援につきましては、今年度から開始した子どもの生活・学習支援事業の募集定員を増やし、親子の不安感の解消に努めてまいります。

 更に、発達相談センターにおいては、これまでの保護者からの相談事業に、作業療法士による乳幼児期における支援も加えるなど、子どもの社会性や生活能力の向上につながる取組を進めてまいります。

 丸子統合保育園整備事業につきましては、敷地造成工事がほぼ完了し、来月下旬から園舎の建設工事に着手する運びとなりました。来年度中には、外構を含めて工事を完了させ、令和3年4月から開園ができるよう取り組んでまいります。

 また、昨年10月から始まった幼児教育・保育の無償化につきまして、今年度は、無償化に伴う経費は全額 国が負担することになっておりますが、来年度以降は、県及び市にも負担が生じてきます。今後につきましても、市の財政に与える影響等を見極めながら、保育サービスの充実を図ってまいります。

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 教育

 続きまして、五つ目として「生涯を通じて学び豊かな心を育むまちづくり」、教育に対する取組について申し上げます。

 この4月から小学校において、新学習指導要領が完全実施されます。教育委員会では、この内容に沿った施策を展開するとともに、5か年計画の最終年度を迎える「第2期上田市教育支援プラン」に掲げた施策の推進にも、引き続き取り組んでまいります。

 また、学力の定着と向上につきましては、全国学力・学習状況調査や市独自で行っている学力調査の詳細な分析を行い、授業改善に活かしながら、子どもたちが生き生きと目を輝かせ、「分かる・できる・もっと学びたい」と感じる、「迫力ある学びの創造」を目指してまいります。

 老朽化が著しい第二学校給食センターの改築に向けた取組につきましては、来年度、基本設計及び実施設計に着手するほか、学校給食における食物アレルギー対応に関する基本方針の策定も進めてまいります。今後につきましても、将来にわたって安全・安心な学校給食を安定的に提供するため、早期建設に向けた取組を進め、併せて学校給食における食育の推進にも鋭意取り組んでまいります。

 一方、学校改築事業につきましては、今年度、第五中学校校舎の耐力度調査及び現地測量を実施し、事業がスタートいたしましたが、来年度は、関係する皆様とともに、施設配置の検討や、基本設計にも着手してまいりたいと考えております。

 上田城跡整備事業につきましては、櫓復元のため、多額の御寄附をいただいており、早期に実現できるよう文化庁と粘り強く協議を進めておりますが、復元に必要な資料や情報が不足しているのが現状であります。これを踏まえ、教育委員会では全国の城郭の復元整備において実績豊富な専門家の皆様に委員をお願いし、新たに「史跡上田城跡整備専門家会議」を立ち上げ、御指導・御意見をいただくことといたしました。城下町上田のシンボルである櫓の復元に向けて、具体的な一歩を踏み出せるようスピード感をもって取り組んでまいります。

 スポーツ振興につきましては、生涯スポーツ活動の推進とスポーツ環境の整備方針を定めた「上田市スポーツ振興計画」が、来年度、計画期間の最終年度を迎えることから、上田市スポーツ推進審議会に諮問し、現在、第2次計画の検討を進めております。

 また、令和9年に開催される長野国体の基準を満たす新テニスコートの整備につきましては、このほど上田市スポーツ推進審議会の答申を踏まえ、基本構想を策定いたしましたので、今後、具体的な整備に向け取り組んでまいります。このほか、今年度からVリーグに参戦した、「ブリリアント アリーズ」がホームアリーナとして使用する、自然運動公園総合体育館につきましても、耐震化と大規模改修を行い、施設の安全性と機能性の向上を図ってまいります。

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 文化・交流

 続きまして、六つ目として「文化を育み、交流と連携で風格漂う魅力あるまちづくり」に対する取組について申し上げます。

 開館後6年目を迎えた交流文化芸術センターの運営の検証につきましては、昨年8月に経済団体や社会教育団体、文化芸術に精通した皆様からなる運営検証委員会を設置し、事業の開催状況や効果、収支の状況、経済波及効果等、様々な視点からの協議を経て、先週14日に答申をいただきました。

 交流文化芸術センターが上田市の文化芸術の拠点施設として、より効果的な事業展開を行うことや市民利用のあり方、更には経費の節減、収入確保等について幅広く御意見をいただきましたので、この答申を踏まえ、今後の運営方針や事業展開について早急に検討を進めてまいります。

 市立美術館におきましては、山本鼎が興した「創作版画」を顕彰する全国公募展「第8回山本鼎版画大賞展」の開催を今秋に予定しており、今や版画界の登竜門といわれるこの公募展を通じて、若手作家や未来のアーティストたちに発表の機会を提供してまいります。併せて、趣向を凝らした展覧会や子どもアトリエ事業を今後も一層充実してまいります。

 公立大学法人長野大学につきましては、学部学科再編及び大学院設置に向けて、昨年3月の市議会全員協議会で御報告した構想案を基本に、まずは令和3年4月の社会福祉学系大学院の設置に係る協議・検討を進め、来月には文部科学省への設置認可申請を提出する段階に至っております。大学院設置に必要な教員確保も一定の見通しが立ったとの報告を受けており、認可手続きとその後の開設準備が円滑に進められるよう、大学との情報共有を図りながら取り組んでまいります。

 また、学部学科再編につきましては、スケジュールを含めた大学としての構想を固めた後、市民の皆様への説明の機会を設けながら、国・県等の関係機関との協議を進めていくこととしております。このほか、理工系学部設置への一つの足掛かりとして活用する予定の中央水産研究所の旧上田庁舎につきましては、国からの取得を目指し、現在、関係機関との協議を継続しているところであり、共同研究や地域資源活用の拠点としての役割が果たされるよう、長野大学との連携のもとで検討・準備を進めてまいります。

 こうした中、国においては、消費税率引上げによる増収分等を財源として、本年4月から、大学等の高等教育に係る授業料等減免制度と給付型奨学金支給の拡充を内容とする「修学支援新制度」が創設されます。

 このうち、大学等が実施する授業料等の減免について、長野大学においても国の制度に合わせて導入する予定であり、市としても、費用負担などの設置者が担うこととされている役割を果たしてまいります。

 地域の学びを通じて育まれた郷土愛とシビックプライドを、持続可能なまちづくりにつなげるために提唱した「信州上田学」につきましては、「ライフステージに応じた学びの提供」「長野大学での講座」「上田未来会議」の3つの事業を組み立て、昨年5月のキックオフシンポジウムを皮切りに、それぞれの事業展開を図ってまいりました。

 その一端を申し上げますと、「ライフステージに応じた学びの提供」につきましては、県が進める「信州やまほいく」と連携した幼稚園・保育園での自然教育をはじめ、地元講師による小中学校での養蚕業等の歴史や先人、食文化に関連する授業などの出前講座を実施いたしました。

 来年度におきましては、それぞれの事業を継続しつつ、更に小中学校等での講座の拡大や学生が参加しやすい事業となるよう、市民への周知・浸透に努めながら取り組んでまいります。

 最後に、上田市政策研究センター、市庁舎改修・改築、行財政改革等の取組について一括申し上げます。

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 上田市政策研究センターの取組

 市長の直轄の組織として設置した自治体シンクタンク「上田市政策研究センター」につきましては、「政策調査研究事業」と「職員政策形成能力開発事業」に鋭意取り組んでまいりました。

 「政策調査研究事業」では、5つのテーマを選定し取り組んでおり、特に最先端技術を活用した地域課題解決と産業振興の調査研究に関しては、国の動向を注視しながら、先進的な取組を展開する自治体の研究を進めるとともに、ICT企業などから幅広く情報収集に努め、上田市における活用の可能性を模索してまいりました。

 来年度においては、これまでの取組を踏まえた上で、内閣府において新設された「デジタル専門人材派遣制度」を活用しながら、最先端技術を活かした「スマートシティ化推進計画」を策定するとともに、それらの技術を活用する実証実験にも積極的にチャレンジしてまいりたいと考えております。

 また、「職員政策形成能力開発事業」においては、政策アドバイザーに就任いただいている長野県立大学の田村秀教授による基調講演と政策形成セミナーを計4回にわたって実施し、政策形成をはじめ、アンケート利用やデータ分析の方法などに関して、基礎的な能力向上を図ってきております。

 来年度においては、今年度同様の講座の開催に加えて、これまでの受講経験者を対象として、テーマを絞った具体的な政策提案までを視野に入れたステップアップセミナーを開催してまいります。

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 市庁舎改修・改築の取組

 新本庁舎の建設工事につきましては、昨年9月に本体工事の建設に着手し、基礎部分の工事を進める中、今年に入り免震装置が設置され、鉄骨も組み立てられてまいりました。このまま工事が順調に進めば、夏頃までには屋根も施工され、上棟を迎えることとなり、新本庁舎の全体像が見えるようになってまいります。いずれにいたしましても、来年3月の竣工を目指して、日々の安全管理に十分配慮しながら工事を進めてまいります。

 丸子地域自治センター庁舎の耐震化・改修工事につきましては、現在、庁舎内の仮移転部分の改修を行っており、来月からは庁舎西側で耐震ブレースを設置してまいります。また、武石地域総合センター整備事業につきましても、建物本体の工事が順調に進んでおりますので、引き続き、新たな賑わいの創出や住民が集う出会いと協働の場を目指し、現自治センター敷地の駐車場整備計画にも取り組んでまいります。

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 行財政改革の取組

 行財政改革につきましては、平成27年度に策定した第三次行財政改革大綱と公共施設マネジメント基本方針に基づき、更なる自主財源の確保や業務の見直しを進めるとともに、施設の複合化や集約化、中長期的な財政負担の軽減に努めております。

 現行の大綱は令和3年3月で、その推進期間が終了することから、現在策定中の第二次上田市総合計画「後期まちづくり計画」と歩調を合わせて、来年度、新たな行政課題に対応した「第四次上田市行財政改革大綱」と、大綱に基づく具体的な行動計画である「アクションプログラム」を策定してまいります。

 また、公共施設マネジメント基本方針に沿った公共施設の適切な維持管理に加え、国・県等の補助制度の活用や使用料の見直し、未利用財産の処分などの歳入確保を推進するとともに、合併算定替の段階的縮減への対応と、私が市長就任以来取り組んでいる既存事業の見直し・再構築による歳出削減に向けた全庁的な取組を引き続き行ってまいります。

 更に、市町村役場機能緊急保全事業や合併特例事業など、交付税措置率の高い有利な起債事業が終期を迎えることから、引き続き、地方債による財政措置の継続に向けて国・県に要望していくとともに、発行残額が50億円余となった合併特例債の精査を進め、将来的な財政負担の軽減と平準化に努めてまいりたいと考えております。

 今後も市民ニーズを的確に捉え、持続可能で市民満足度の高い行政サービスの実現を目指し、不断の行財政改革に取り組んでまいります。

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 市政情報の発信

 市政情報の発信媒体の中心である市ホームページにつきましては、デザインを今月末から一新し、アクセスされる皆様に分かりやすく検索しやすい構成とするとともに、外国籍の方にも御覧いただくため、英語のほか11か国語に対応した外国語自動翻訳機能を導入してまいります。

 また、市のメール配信につきましても、外国籍の方に配慮し、来年度、緊急速報や防災情報などの多言語化に取り組んでまいります。

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 会計年度任用職員制度

 この4月からスタートする会計年度任用職員制度につきましては、非常勤職員に期末手当が支給可能となるなど、一定の処遇改善を図るとともに、任用面においても年齢や任用回数などによる制限がなくなり、公平性の確保された制度が構築されたところであります。現在、来年度からの制度の円滑な導入に向け、最後の準備を進めておりますが、今後も国や他の自治体の動向にも注視しながら、非常勤職員制度の適正な運用に努めてまいります。

 以上、直面する重要な取組と令和2年度における市政運営に臨む所信の一端を申し上げました。

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 議案概要

 今回提案いたします案件は、条例案が12件、令和元年度補正予算案及び令和2年度当初予算案が19件、事件決議案が3件の合計34件であります。

 まず、条例案につきましては、「中小企業・小規模企業振興条例」の制定のほか、条例の一部改正11件の合計12件の提案であります。

 次に、令和2年度当初予算案につきましては、一般会計歳入歳出予算総額が753億9,900万円と、前年度と比較して76億7,620万円、11.3パーセントの大幅な増となりました。これは、東日本台風による災害復旧事業が本格化することや、市庁舎の建設事業が最終段階を迎え関連経費が大幅に増加すること、また、会計年度任用職員制度の開始に伴う人件費の増などが主な要因であります。

 こうした中、台風被害により、今なお通行止めや仮復旧のままの箇所も多く残されており、本格的な復旧業務に1日も早く対応していく必要があることから、まずは災害復旧関連事業を最優先して取り組んでまいります。

 一方、来年度は、第二次上田市総合計画「前期まちづくり計画」の最終年度を迎えることとなり、総合計画に掲げる将来都市像を具体化するための施策展開を念頭に、上田市版総合戦略に盛り込まれた各種の施策や市民要望の実現に向けて、「SDGsを原動力とした持続可能な社会の構築、Society 5.0の実現」「安全で安心して暮らせるまちづくり」など、7つの重点分野を設定し、これら事業に重点的な財源配分を行ったところであります。

 特徴的な事業としては、来年2年目を迎える上田市政策研究センターの関連経費として、内閣府の人材派遣制度を活用した「スマートシティ化」に向けた実証事業に必要な経費を盛り込んだほか、東日本台風により被災した頭首工や横沢角間線等の災害復旧事業、地域特性に基づくフレイル予防・健康増進事業、老朽化した自然運動公園の総合体育館耐震補強・大規模改修事業、多言語相談ワンストップセンター整備に係る経費等を計上いたしました。

 特別会計と企業会計を合わせた12会計につきましては、合計528億4,632万円余、昨年と比較して7億2,032万円余、1.4パーセントの増となっております。これは、後期高齢者医療事業特別会計や介護保険事業特別会計等において、医療費や保険給付費が伸びていることや、上下水道事業等の3つの企業会計において、災害復旧事業費の増加が影響したものであります。

 次に、令和元年度3月補正予算案につきましては、令和2年1月臨時会以降必要が生じた事務事業経費の調整や事業等の確定など、一般会計と2つの特別会計及び3つの企業会計における、令和元年度執行見込みに伴う事業費及び財源の調整についての計上であります。

 このうち一般会計補正予算第10号については、11億2,090万円余の減額補正を行い、予算額は751億2,308万円余となっております。予算の減額要因といたしましては、計上済みの災害復旧事業費の当初予算への組み換えによるもののほか、武石地域総合センターの事業費の調整などがあり、一方、増額要因としては、土地開発公社への補填金のほか、上田電鉄及びしなの鉄道が実施した台風災害に係る代替輸送事業への支援、寄附額の増加に伴う「ふるさと上田応援基金」の積立金、半過公園、古舟グラウンド、丸子テニスコート、番所ヶ原スキー場等の復旧工事費の計上などがあります。

 最後に、事件決議案につきましては、上田地域広域連合ふるさと基金に係る権利の一部を放棄する議案と、本日採決をお願いしております国庫補助災害復旧事業 揚水機場復旧工事(川西2地区)の請負契約の締結など、合計3件の提案であります。

 以上、今回提案いたしました条例案、予算案及び事件決議案の概要を申し上げました。

 各提出案件の内容につきましては、それぞれ担当者から説明いたしますので、よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。

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 結び

 さて、自然災害が少ないといわれる上田地域ではありますが、約280年前の「戌の満水」をはじめ、幾たびか起きてきた災害を、先人たちは不屈の精神と英知で乗り越え、助け合い、守り合い、不断の尊い努力により、私たちの今の暮らしを築き上げてこられました。

 まさに私たちも、今ある、この連綿と発展し続けてきた誇るべき故郷上田をしっかりと次世代に引き継ぐため、先人の知恵と行動に倣い、上田の新しい令和の時代に、台風災害からの復興に向けて、全市一丸となって取り組んでいく必要があります。

 そのために、私は自らその先頭に立ち、10年、20年先、更にその先へ向けて、誰もが安全で安心して住みやすい上田を目指し、全力でその責務を果たしてまいります。

 今後とも議員各位をはじめ市民の皆様の格別の御協力と御支援をお願い申し上げ、施政方針とさせていただきます。

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