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令和2年1月市議会臨時会 市長提案説明
令和2年1月24日
本日ここに、令和2年1月市議会臨時会を招集いたしましたところ、議員各位におかれましては、公私ともに御多忙の中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。
今回、臨時会をお願いいたしましたのは、令和元年台風第19号により被災した別所線千曲川橋梁等の災害復旧工事を進めるための補正予算案及び事件決議案を御審議いただくためであります。
昨年10月の台風19号による災害から、3か月余りが経過いたしました。上田市にとりましては、これまでに経験したことのない大規模な災害であり、未だ台風の 爪痕が残る被災箇所もありますが、この災害の経験を教訓として、安全で安心なまちづくりに向けたより良い復興(ビルド・バック・ベター)を目指し、国、県をはじめ、多くの皆様に御支援、御協力をいただき、全力で取り組んでいるところであります。
また、被災した別所線千曲川橋梁につきましては、私自身はもとより、多くの市民や別所線に関わる皆様にとりまして、その現実とは思えない光景に大きな衝撃を受けるとともに、橋梁が落下してしまったことは大変悲痛な思いでありました。
上田電鉄株式会社では、市民生活や観光の重要な移動手段を一早く確保するため、10月15日から下之郷駅を起点に電車と代行バスの運行を開始し、その後11月16日からは城下駅まで運転を延伸した上で、運行本数も被災前の8割程度に回復させ、利用者の利便性の向上を図ったところであります。
他方、しなの鉄道における一部区間の運行休止も県内外の利用者に多大な影響を及ぼし、改めて公共交通における鉄道の重要性を多くの皆様が認識されたものと考えております。
こうした状況の中、上田市においては、被災直後の10月14日から、ふるさと納税を活用した「災害支援サイト」を立ち上げましたが、全国各地から別所線の全線復旧を願う多くの声をいただいたことから、12月13日に「がんばるぞ、別所線!」コースを開設し、これまでに3,000万円を超える御寄附をいただいております。
また、上田市自治会連合会、別所線電車存続期成同盟会並びに別所線みらい応援プロジェクトの皆様の御尽力により、市内外から寄せられた5万4,000筆に上る署名も、昨日 私のもとにお届けいただきました。
加えまして、通学等で別所線を利用する学生をはじめ多くの民間団体の方々も署名・募金活動、学生新聞の発行、写真展の開催や物品販売に伴う寄附など幅広い復旧支援活動を展開され、更にシンガーソングライターの松任谷由実さんからも応援メッセージをいただいたところであります。
市民をはじめ、全国の鉄道ファン、上田市ゆかりの皆様から千曲川のシンボルである赤い鉄橋を復活してほしいという願い、声援が数多く寄せられていることを、大変心強く感じるとともに、改めて心より感謝を申し上げます。
このように、別所線の全線復旧に向けた支援の輪が広がる中、これまでに大変多くの国・県関係者、議員各位に現地を視察いただいており、私も被災自治体の首長として各方面に御支援をお願いしてまいりました。
市内における避難指示が全て解除されて間もない11月4日には、赤羽国土交通大臣の現地視察、引き続き県庁で行われた意見交換会において、私から千曲川堤防の早期本復旧や、別所線の千曲川橋梁等復旧の国庫補助の嵩上げ、代替輸送コストの財政支援などを強く要請し、また、12月19日には阿部知事、赤羽国土交通大臣に重ねて財政支援を要望したところであります。
こうした地方からの声を真摯に受け止めていただいた結果、国の補正予算などにより、財政支援の制度が整いつつある状況となってまいりました。
まず、別所線千曲川橋梁等の災害復旧工事につきましては、台風19号災害が、「大規模災害からの復興に関する法律」に基づく「非常災害」に指定されたことに伴い、国庫補助率が2分の1という「特定大規模災害等鉄道施設災害復旧事業費補助金」の対象とされる見込みとなりました。このため、今臨時会の補正予算に関係経費を計上いたしました。
また、本制度では、長期的な運行を確保するために地方自治体が一定の責務を果たすことが求められ、上田市が橋梁部分などを保有することが補助要件とされたことから、併せて関係する事件決議案を提案するものであります。
このほか、従来、鉄道災害における代替輸送に対する国の補助制度はありませんでしたが、長期の鉄道路線運休の影響を踏まえ、通学・通勤等の移動手段を確保するために行われた代行バスによる代替輸送の財政支援を、国において新たに検討いただいている状況であります。
別所線は、過去に2度、廃線の危機に直面いたしましたが、多くの市民の皆様の熱意により、乗り越えてまいりました。これは、別所線が通学・通勤に加えて、高齢者の通院・買い物など、日常生活に不可欠な生活交通としての役割はもとより、教育、文化、景観、環境、そして地域における観光資源として、上田市にとって欠くことのできない大切な財産であるからこそであります。
現在は、3か年ごとの運行協定に基づく安全対策事業を推進するとともに、市民、事業者、行政が連携して利用促進を展開しており、近年は利用客数が増加傾向にあり、年間130万人の輸送力を誇ります。
私は、このたびの災害復旧に当たり、橋梁等の公有化という重要かつ責任ある判断をいたしましたが、これは何よりも市民の皆様にとって必要な公共交通を確保するという決意によるものであります。
千曲川の右岸地域と左岸地域を結ぶ「市民の心の架け橋たる赤い鉄橋」、将来の子どもたちへつなぐ「未来への架け橋たる赤い鉄橋」を早期に復活できるよう、市民の皆様、お一人おひとりが心合わせをしていただき、全市一丸となって取り組んでまいりたいと考えておりますので、議員各位におかれましても格別なる御支援、御協力をお願い申し上げます。
以上、今回提案いたします案件の概要等について申し上げました。
提出案件の内容につきましては、担当者から説明いたしますので、よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。