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令和2年9月市議会定例会 市長提案説明

更新日:2020年8月31日更新
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 令和2年9月市議会定例会 市長提案説明

令和2年8月31日

目次

 はじめに

 本日ここに、令和2年9月市議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位におかれましては御多忙の中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。

 まず、この場をお借りして、先の見えない新型コロナウイルスとの闘いの中、市民お一人おひとりが感染拡大防止のため「新しい生活様式」を実践していただいておりますことに心より感謝申し上げます。

 また、医療の最前線で従事されている皆様、市民の日常生活を支えていただいている全ての皆様に対し、改めて謝意と敬意を表しますとともに、現在治療中の方々の一日も早い御回復を心よりお祈り申し上げます。


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 新型コロナウイルス感染に対する取組

 はじめに、新型コロナウイルスの感染状況と、それに対する取組について御報告させていただきます。

 新型コロナウイルスの感染者は、国の緊急事態宣言が解除された後も、首都圏などの都市部を中心に増加し、長野県内におきましても同様の傾向を示しておりました。

 こうした中、去る8月19日に市内在住者の感染が確認されて以降、上田圏域における新規感染者の発生が著しいことから、県は先週28日に「長野県新型コロナウイルス感染症対策専門家懇談会」へ諮った後、上田圏域の感染警戒を「レベル4」に引き上げ、「新型コロナウイルス特別警報」を発令いたしました。

 これまで市といたしましても、市の広報車により市内全域を巡回し、「密を避ける身体的な距離の確保」、「マスクの着用を含む咳エチケット」、「まめな手洗い、手指消毒の徹底」などの基本的な感染予防の啓発活動を実施してまいりましたが、繁華街の酒類を提供する飲食店においてクラスターの発生が確認されたことから、行政、商工団体及び地元関係者が連携して感染予防の巡回啓発にも取り組んだところであります。

 更に、これまでも感染拡大地域との往来については充分慎重に行うようお願いしてまいりましたが、今後はこれに加え、飲食を伴う会合等に参加される場合、3密回避の徹底やソーシャルディスタンスを踏まえた行動をおとりいただくとともに、当面の間は、不要不急の外出は可能な限り控えていただくことなどを市民の皆様に要請してまいります。

 このような状況を踏まえ、地元医師会の御協力を得ながら運営しております 上田地域検査センターにおきましては、上田保健所と連携を図り、これまでのところ 約200件の検体採取を行うなど、市民の皆様の不安が少しでも払拭されるよう取り組んでまいりました。

 しかしながら、ただ今申し上げました上田圏域の現状もあり、地域検査センターにおいても、検体採取が1日10件を超える日があるなど、取り扱う件数は増加傾向にあります。

 こうした中、上田保健所では、医療機関等での検体採取も含めた上田圏域全体の1日当たりの採取件数を最大60件程度は確保したいとの意向もあることから、地域検査センターにおきましては、地元医師会の御協力の下、職員体制等も充実させ、開設日を週3日から6日に、また、1日当たりの検体採取件数も倍の12件程度に増やし検査体制の充実を図ったところであります。

 今後につきましても、関係機関の御協力をいただきながら、市民の皆様の安心につながるよう、適切な検査の実施に努めてまいりますとともに、県との連携を強化し、上田圏域の危機的状況が一刻も早く収束に向かうよう、全力で対応してまいります。

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 経済情勢と産業・雇用振興

 さて、我が国の経済情勢は、内閣府が公表した8月の月例経済報告によると、景気は「新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるが、このところ持ち直しの動きがみられる」との判断が示されましたが、日本銀行松本支店が公表した金融経済動向では「県内経済は厳しい状況が続いている」としており、新型コロナウイルス感染症は県内経済活動に依然として大きな影を落としています。

 今後も、県の新型コロナウイルス特別警報の発令下で、感染拡大を警戒しながらの経済活動とならざるを得ないことから、観光や飲食等のサービス業を中心に引き続き厳しい経営環境となることが見込まれ、更に県内の主要産業である製造業についても海外需要の動向等を受け、先行きは予断を許さない状況であります。

 こうした中、中小企業の資金繰りを支援する市制度融資につきましては、個人消費を主たる売り上げとする小売業や飲食店、宿泊業等の生活関連サービス業にとどまらず、製造業など幅広い業種において、リーマンショック時を上回るペースで利用の申込みをいただいており、新型コロナウイルス感染症の経済への影響の長期化により、今後も資金調達の需要が見込まれることから、利子補給及び信用保証料補助を増額し、継続した資金繰り支援を行ってまいります。

 また、7月臨時会で予算を御議決いただいた消費喚起応援事業につきましては、今月10日から、スマートフォン決済事業者のPayPay(ペイペイ)と連携したポイント還元キャンペーンがスタートいたしました。このキャンペーンには、約1,000店舗の登録があり、多くの市民の皆様に御利用いただいております。引き続き、キャンペーンの周知に努め、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者の売上回復と「新しい生活様式」に対応したキャッシュレス決済の定着を促進してまいります。

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 それでは、新型コロナウイルス感染防止への取組を最優先としながらも、当面する市政の諸課題について順次申し上げてまいります。

 

 資源循環型施設建設の取組

 市政の優先課題として位置付けております資源循環型施設の建設につきましては、資源循環型施設検討委員会の協議結果を活かし、先般「資源循環型施設建設の基本方針」を策定いたしました。また、先週23日、29日の両日には地元自治会の御協力をいただき、秋和、上塩尻及び下塩尻の3自治会で住民説明会を開催いたしました。この説明会におきましては、基本方針の説明のほか、地元住民の皆様に対し施設の「安全・安心」について科学的根拠に基づいたデータをお示しするために、環境影響評価に着手させていただきたい旨をお願いしてまいりました。更に、住民の皆様の御意見を真摯にお聞きし、御質問にも誠意をもってお答えするとともに、私の資源循環型施設建設に向けた決意を改めて申し上げました。今後も、多くの地元住民の皆様から御理解をいただけるように取り組んでまいります。

 また、9月6日には諏訪部地域においても住民説明会を開催する予定であり、地元住民の皆様の思いや要望に充分配慮しながら、施設建設について御理解、御協力いただけるよう信頼関係の構築を図ってまいります。

 一方、南部終末処理場内に整備する、し尿前処理下水道投入施設につきましては、去る7月7日に私が地元下之条自治会を訪問して、正式に施設建設の受け入れをお願いし、その後8月25日に行った住民説明会では、施設の基本計画や地域振興策をお示しするとともに、私から直接、住民の皆様に受け入れについて要請させていただきました。

 今後も引き続き、地元住民の皆様の御理解をいただくため、最善を尽くしてまいります。

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 ごみの減量・再資源化に向けた取組

 また、生ごみリサイクルシステムの構築につきましては、昨年5月に上田市廃棄物処理審議会に諮問をした後、同審議会の部会として生ごみリサイクル研究委員会を設置し、市の地域特性を活かした持続可能な生ごみリサイクルについて1年以上にわたり審議を重ね、去る7月14日には「生ごみリサイクル推進プラン(案)」として答申をいただきました。

 市といたしましては、この答申を重く受け止めるとともに、生ごみの排出を抑制するため、自己処理を基本的な取組としつつ、庭や畑がなく自己処理が難しい地域では、生ごみだけを分別収集し、資源として有効利用できるような施策を展開してまいります。

 生ごみリサイクルの目的の一つには、上田地域の老朽化が著しい上田、丸子、東部の3つのクリーンセンターの負担を軽減し、新たに建設する資源循環型施設のコンパクト化を図ることにあります。市では、これまでにも生ごみリサイクルを試みてきた経過がありますが、今回は審議会や研究委員会を設け、市民主体で計画策定を行ったという意味におきまして、これまで以上に重みのある計画であると捉えております。

 今後は、市民の皆様や関係者の方々の御理解と御協力をいただきながら、できるだけ速やかに、生ごみリサイクルが実施できるよう取り組んでまいります。

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 第二次上田市総合計画「後期まちづくり計画」の策定に向けた取組

 次に、第二次上田市総合計画「後期まちづくり計画」の策定に向けた取組について申し上げます。

 令和3年度にスタートを迎える「後期まちづくり計画」につきましては、本年3月に上田市総合計画審議会から中間答申としていただいた計画(案)について、広く市民の皆様にお知らせし御意見をいただけるよう取り組んでまいりました。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、計画した市民の皆様との懇談の機会は制限せざるを得ない状況となってしまいましたが、新たに実施した特集番組の動画配信をはじめ、各種団体の皆様との「上田市を考える会」の開催等を通じて、数々の貴重な御意見・御提言をお寄せいただき、心から感謝を申し上げる次第であります。

 今後につきましては、市民意見等の反映とともに社会情勢の変化に即した計画となるよう最終審議をいただき、12月定例会への議案上程に向けて進めてまいります。

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 災害からの復旧・復興に向けた対応状況等

 次に、災害からの復旧・復興に関する取組について申し上げます。

 本年も梅雨前線や低気圧の影響により大雨が続き、九州をはじめ全国各地で河川の氾濫や土砂災害が相次ぎました。とりわけ線状降水帯が形成された地域では甚大な被害が生じたところであります。

 市内におきましても、7月上旬から梅雨前線等の影響に伴う大雨などにより、市道などの公共土木施設や農道をはじめとする農業用施設等に被害が発生いたしました。災害対応に御協力いただいた方々に、この場をお借りして深く感謝申し上げます。

 今後につきましても、関係機関や地元関係者と連携を図りながら、早期復旧に向け鋭意取り組んでまいります。

 一方、令和元年東日本台風に係る復旧工事につきましては、国、県等の関係機関の御協力により、概ね順調に進んでおりますが、被害が余りにも甚大であったことから、多くの被災箇所におきましては現在も復旧工事が進められており、また、河川関係の被災箇所につきましては、渇水期の施工に向け準備を進めているところであります。

 こうしたことから、来春にかけて被災地域では復旧工事が集中することが想定されますが、市といたしましても一日も早い復旧を目指し取り組んでおりますので市民の皆様の御理解と御協力をお願いいたします。

 また、事前防災の観点から、今年度、国において新たに創設された「緊急浚渫推進事業」を活用し、本来、河川が持つべき防災、減災機能の回復を図るため、市が管理する市街地等の準用河川や普通河川の堆積土砂の撤去を行うための経費を今回の補正予算に計上いたしました。


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 公共交通等に関する取組

 次に、公共交通等に関する取組について申し上げます。

 別所線の災害復旧事業につきましては、6月までの第1期工事が滞りなく完了しておりますが、市民の皆様に対して早期に復旧の目標をお示しするべく、上田電鉄と協議した結果、全線運行再開予定日を令和3年3月28日とすることといたしました。

 また、秋以降に実施する第2期工事についても、関係機関と連携を図りながら鋭意取り組んでまいります。

 一方、公共交通事業者におかれましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い、運賃収入の激減や感染症防止対策の経費が増大する中、使命感をもって、運行継続に努めていただいております。

 既に、国、県の補助事業も踏まえながら、7月補正予算において、市ではバス・タクシー事業者を対象とする公共交通緊急支援事業を実施したところでありますが、今般、地方創生臨時交付金を活用して、別所線の安定輸送に向けた設備投資についても支援していくことといたしました。

 今後も引き続き、関係する行政機関、交通事業者との連携により、市民の暮らしを守るための公共交通の確保、維持を図るとともに、3密回避など「新しい生活様式」に対応した取組を進めてまいります。

 また、長野県道路公社が管理運営する国道254号三才山トンネル有料道路が明日午前0時から無料化となります。この路線は東信と中信の両地域を結ぶ基幹道路として昭和51年に開通し、日常生活や物流はもとより観光面でも重要な道路として利用されてまいりました。

 今回の無料化は、コロナ禍の中ではありますが、地域振興や経済活動の活性化にも寄与するものと考えており、ここに至るまでに御支援、御協力をいただいた地元の皆様並びに議員各位に改めて感謝申し上げます。

 なお、無料化により国道254号の交通量増加が見込まれることから、今後も引き続き、沿線の交通安全対策に取り組むとともに、道路管理者である上田建設事務所とも協力しながら、平井、荻窪の両バイパスの早期完成を目指し取り組んでまいります。次に、庁舎等の改修・改築について申し上げます。

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福祉への取組

 次に、障がい者・高齢者福祉に関する取組について申し上げます。

 本年度は、障害者基本計画等の障がい者に関する3つの計画及び高齢者福祉総合計画の最終年度に当たり、現在、次期計画の策定作業を進めております。

 障がい者に関する計画につきましては、障がいのある方が自ら望む地域生活を営むことができるよう、福祉サービス等の提供体制の確保や、その課題解決に向けた施策の総合的かつ計画的な推進に加え、7月1日に施行しました「手話言語の普及及び視聴覚障害者等の意思疎通手段等の利用促進に関する条例」を踏まえた手話言語の普及、情報コミュニケーション手段の更なる利用促進を追加した計画となるよう、関係機関の皆様とともに取り組んでまいります。

 高齢者福祉総合計画につきましては、国から示された基本指針に「2040年を 見据えたサービス基盤、人的基盤の整備」、「災害や感染症対策に係る体制整備」などが新たに盛り込まれており、上田市介護保険運営協議会で御審議いただきながら、 当市の高齢者を取り巻く社会情勢の変化等を見据えた計画の策定に取り組んでまいります。

 また、福祉施設における新型コロナウイルス感染症対策につきましては、国の第二次補正予算において、介護・障害福祉サービス事業所が行う感染症対策として新たに必要となった経費の補助や福祉事業所職員への慰労金の支給が盛り込まれるなど、自らの感染リスクの懸念もある中で、感染予防に細心の注意を払いながら事業を継続していただいております福祉サービス事業所や職員の方々への支援充実が図られました。

 こうした中、国の補正予算に盛り込まれていない市民の皆様への市独自の支援策として、重症化リスクが高いとされる高齢者や障がい者の中でも、介護認定を受けている高齢者や医療費補助の対象となっている障がい者等に対し、「新しい生活様式」の取組を支援するための支援金を支給することといたしました。

 加えて、住民主体の取組である「高齢者地域サロン」や、介護予防活動を行う「地域リハビリテーション活動」の継続、再開に向けた、感染拡大防止に要する経費の補助のほか、一部介護サービス事業所に認められた介護報酬の特例措置に伴う利用者の自己負担額増加に対する補助も行ってまいります。 

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子育て支援に関する取組

 次に、子育て支援等に関する取組について申し上げます。

 7月臨時会で予算を御議決いただいた「ひとり親世帯臨時特別給付金事業」につきましては、支給対象者のうち、児童扶養手当受給者に対しては、基本給付分の支給を8月20日までに完了しており、その他の受給対象者への支給につきましても今月から申請受付けを開始し、早期に支給が完了できるよう鋭意進めております。

 また、市の独自事業として新生児の保護者を支援する「出産・育児支援特別給付金事業」につきましても、7月末に対象者に対して申請書を送付し、本日第1回目の支給を行うところであります。

 子育て家庭の皆様に御利用いただいております地域子育て拠点施設や病児保育センターなど子育て支援施設につきましては、利用者の方々が安心してお越しいただけるよう、感染防止に必要な消毒液やマスク、空気清浄機等を購入するための経費を今回の補正予算に計上いたしました。

 一方、保育現場におきましては、園児の皆さんの健やかな成長を保障していくために「新しい生活様式」を踏まえ、様々な感染症対策を講じながら日々の保育活動を行っております。加えて保護者の皆様には、家庭での検温を含む体調確認をお願いし、園生活の中でも、これまで以上に玩具や園児たちが触れるものなどの洗浄・消毒を徹底するとともに、少しでも3密を避けるため、遊びや食事、午睡の際もソーシャルディスタンスを念頭に対応しております。

 また、園行事等は例年と同じ形で実施することが大変難しい状況ではありますが、今後ともクラスごとに楽しめる活動を中心に保育内容を工夫するなど、常により良い方法を模索しながら新型コロナウイルス感染拡大防止に努めてまいります。

 こうした中、上丸子地区で整備を進めております丸子統合保育園につきましては、建物の基礎構造が完成し、現在内装工事に着手しております。令和3年4月の開園に向け、今後も日々の安全管理に充分配慮しながら工事を進めてまいります。 

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教育への取組

 次に、教育に関する取組について申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症による影響の長期化を踏まえ、国では、感染症対策と子供たちの健やかな学びの保障を両立し、学校教育ならではの学びを最大限進めることができるよう「学校の再開に伴う感染症対策・学習保障等に係る支援事業」を緊急的な措置として創設しました。

 これを受け、市では学校における消毒液等の保健衛生用品の更なる充実を図るとともに、換気に必要なサーキュレーターや、空気清浄機等を教室に設置して3密対策を図るなど、引き続き徹底した感染症対策を実施してまいります。

 また、Society5.0時代を担う子供たちの学習環境の整備につきましては、国が進めるGIGAスクール構想を踏まえ、先の定例会において学校内のネットワーク環境等の整備に係る予算を御議決いただき事業を進めているところでありますが、この度は、次の段階として児童生徒に一人1台ずつパソコン端末を配置するための経費を補正予算に計上いたしました。

 加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大による臨時休業に備えて、オンライン授業に使用するモバイルWi-Fiルーターのリースに係る経費についても併せて提案いたしました。 

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産業振興への取組

 次に、産業振興に関する取組について申し上げます。

 市内製造業の生産性向上や高付加価値化を支援する取組につきましては、IoT等先進技術の普及啓発を目的として、今月27日に、AI・IoT活用オンラインセミナーを開催し、多くの事業者に御参加いただきました。また、来月は、「上田市IoT、AIによる中堅、中小企業の競争力強化研究会」を立ち上げ、公募により決定した市内製造業3社をモデルに、課題の整理や先端技術の導入方法の検討、導入効果の測定などを一体的に支援してまいります。

 一方、地域の雇用情勢につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、ハローワーク上田管内の有効求人倍率が5月以降連続して1倍台を割り込んでおり、これはリーマンショック以来の厳しい状況で、加えてここ2か月間の有効求人倍率の下げ幅は当時よりも大きいことから、市としても強い危機感を持っております。

 このような情勢を踏まえ、市独自に行っている雇用調整助成金申請支援事業の実施期間延長や、求職中の外国人向け日本語セミナー、新卒者を対象とした企業とのオンライン面接会などを実施するとともに、国、県や市内商工団体等とも連携する中で、地域の雇用を守るための新たな取組についても早急に検討してまいります。

 新型コロナウイルス感染症の拡大により大きな影響を受けている観光産業につきましては、国が「GO TO キャンペーン」事業の一環として、かつてない規模の旅行商品の割引により、観光需要を喚起することを目的に実施する「GO TO トラベルキャンペーン」がスタートしてから1か月余りが経過いたしました。市内の宿泊施設や観光施設など観光関連事業者は、「GO TO トラベルキャンペーン」が夏休みシーズンと重なったこともあり、観光客の入込に期待して「新しい生活様式」を取り入れた感染防止対策等を講じてまいりました。しかし、その後、再び感染者が増加したことから、東京都がキャンペーンの対象外となり、また、地方都市にも感染が拡大したことで、当初意図したような集客には至っていない状況であります。

 こうした中、これまで地域の観光振興を牽引してきた市内の観光協会及び旅館組合では、長引く観光需要の低迷により、会員などからの会費収入等が例年同様に見込めなくなっており、加えて、法人化されていない団体には国の持続化給付金も支給されないことから、今後活動を継続していくことが厳しい状況となっております。

 そのため、各地区の観光関連団体に対する市独自の支援策として、その主な収入源である会費等の6か月分相当額を支援金として支給するための費用を今回の補正予算に計上いたしました。

 また、菅平高原の観光事業者をはじめ市内の旅館ホテル等では、新型コロナウイルス感染症の影響で、スポーツ・文化活動等の合宿や体験教育活動を行う団体が減少したことにより厳しい経営状況が続いております。こうした事態を打開し、合宿等の誘致を促進するため、市独自の取組として、市内の旅館ホテル等に2日以上連泊し、延べ宿泊者数が20人以上の団体に対し、宿泊費や交通費等の一部を助成してまいります。 

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日本遺産の認定に係る取組

 次に、日本遺産を活用した取組について申し上げます。

 多くの皆様の御支援をいただく中で、この度日本遺産に認定された「レイラインがつなぐ『太陽と大地の聖地』~龍と生きるまち 信州上田・塩田平~」は、今年度から3か年にわたって文化庁の補助を活用し、ビジターセンターの整備やガイド養成、周遊ルートの開発、プロモーション映像の制作などの事業に取り組む予定であります。

 また、日本遺産という魅力溢れるコンテンツを充分に活用し事業を推進するため、今後、市を含めた関係団体等による「上田市日本遺産推進協議会」を設立し、民官協働のもと、観光振興や地域の活性化、シビックプライドの醸成を目指してまいります。

 なお、今年度は、文化財説明板の設置やガイド養成など、観光客の受入れ環境の整備のほか、市民の皆様に日本遺産のストーリーをお楽しみいただけるよう、認定記念イベントや日本遺産セミナーの開催などの取組を進めてまいりたいと考えており、これらに係る経費を補正予算に計上いたしました。

 今後につきましては、塩田平が有する神社仏閣、ため池、雨乞いの祭り、民話や伝説といった文化財等の魅力を広く発信するとともに、今回同じく認定された千曲市との連携を図り、両市はもとより周辺市町村も含めた地域の活性化につながる契機となるよう努めてまいります。 

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上田市政策研究センターにおける取組

 次に、上田市政策研究センターにおける取組について申し上げます。

 本年度中の策定を目指しております「上田市スマートシティ化推進計画」につきましては、先月30日に第1回「上田市地域情報化推進委員会」を開催し、情報関係団体・企業の代表者や有識者等10名の委員の皆様による審議をスタートいたしました。

 本計画は、市がスマートシティ化に取り組んでいく総合的な指針とするもので、ICTを活用した住民サービス向上や行政事務の効率化の視点のほか、地域の産業、交通など様々な分野の課題解決に向けた基本方針や施策等を盛り込んでいく予定です。

 先の委員会では、複数の委員の皆様から「市民が求める課題を優先して絞り込むべき」との御意見をいただいたところであり、5月下旬から実施してきております関係団体や産業界との意見交換も踏まえながら、将来を見据えた実効性のある計画を策定してまいります。

 一方、職員の政策形成能力向上を図る研修につきましては、昨年度に続くステップアップ編として、政策アドバイザーの田村教授による第1回セミナーを今月19日に開催いたしました。本年度は、「別所線復旧後の地域活性化」など3つの政策テーマを掲げて、グループワークにより具体的な政策提案をまとめてまいります。また、withコロナ時代に求められる「新しい生活様式」への対応として、全4回の研修をオンライン形式により実施することで、ウェブ会議等のノウハウ習得もこの研修の目的として実施してまいります。 

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行財政改革に関する取組

 最後に、行財政改革に関する取組について申し上げます。

 平成28年度から「住みたい 住み続けたいと思うまちづくりへの改革」「支える財政基盤の改革」「市民満足度を向上させる人・組織の改革」の三つの体系により進めてまいりました第三次上田市行財政改革大綱が、今年度、推進期間の最終年度を迎えております。今後は、これまでの取組の総括として、アクションプログラムに掲げる項目の達成状況の検証や次期大綱に引き継ぐ項目等について検討してまいります。

 また、去る8月28日には、新たに発足した第7期行財政改革推進委員会に対し、第四次上田市行財政改革大綱の策定について諮問いたしました。

 第四次上田市行財政改革大綱の策定に当たりましては、第二次上田市総合計画の将来都市像の具現化と、市民満足度の高い行政サービスの実現を目指す基本指針として、人口減少が深刻化し高齢化がピークを迎える2040年頃に想定される労働力不足や、今般の新型コロナウイルス感染症への対応を契機に、その検討のスピードを上げつつある「地方行政のデジタル化」の動き、また、地域社会を支える多様な主体との 「公共私の連携」といった新たな視点に加え、自然災害や感染症がもたらす厳しい経済状況においても持続可能な財政基盤の構築についての視点も加えながら進めてまいります。

 こうした中、今定例会に関係条例の一部改正を提案しておりますが、令和2年度末に指定管理期間が満了する施設について、公共施設マネジメントの視点から約30の施設について運営方法等の見直しを行い、それぞれ直営化、施設の廃止または民営化の方向付けをしたところであります。

 今後につきましても、効率的で質の高い行政サービスの提供を図るため、スピード感を持って行財政改革に取り組んでまいります。 

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 議案概要

 今回提案いたします案件は、条例案9件、決算認定13件、予算案5件及び事件決議案1件の合計28件であります。

 まず、条例案につきましては、先程申し上げました指定管理施設に係る条例の一部改正のほか、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部改正に伴い、選挙長等の報酬などについて所要の改正を行う「上田市特別職の職員等の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例」など、計9件を提案いたします。

 次に、令和元年度一般会計、特別会計及び企業会計の決算について、このほど監査委員の審査が終了しましたので、決算審査意見書をはじめ関係書類を添えて提案いたします。

 一般会計につきましては、歳入決算額713億4,320万円余、歳出決算額691億3,920万円余で、繰越明許費としてお願いいたしました東日本台風災害に伴う災害復旧事業等38事業106件の繰越財源4億8,871万円余を除いた実質収支は、17億1,528万円余の黒字決算となりました。前年度と比較して、歳入歳出とも増額の決算であり、歳出においては、市庁舎建設事業の本格化や小中学校の空調設備の整備などが増額の主な要因となっております。

 また、特別会計につきましては、土地取得事業特別会計をはじめ7会計総額では、歳入決算額336億5,395万円余、歳出決算額329億4,999万円余、実質収支は合計で7億396万円余の黒字決算となっております。

 一般会計及び特別会計におきまして、1つの会計で歳入歳出同額のほか、各会計とも黒字で決算できましたことは、議員各位をはじめ、関係者の皆様の御理解、御協力によるものと感謝を申し上げます。

 次に、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」により、上田市健全化判断比率を今定例会において報告いたしますので、その概要について申し上げます。

 国が示す4つの財政指標のうち、「実質赤字比率」「連結実質赤字比率」につきましては、いずれも「黒字」となっており算定されていません。一方、「実質公債費比率」につきましては、前年度と変わらず5.4パーセント、「将来負担比率」につきましては、起債の償還が進み基準財政需要額算入見込額が減少したこと等により、前年度と比較して、2.2ポイント増の28.9パーセントと算定されました。

 今後につきましても、これらの指標に留意しながら、健全財政の維持に努めてまいります。

 次に、令和2年度9月補正予算の概要について申し上げます。 

 今回の補正は、一般会計、特別会計2会計、企業会計1会計に係る予算計上であります。

 このうち一般会計補正予算第5号につきましては、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した感染症対策事業や事業者支援に係る経費、7月の大雨に伴う災害復旧事業費などを計上しております。これらは早期に実施が必要な経費であることから本日中の議決をお願いするものであり、7億3,301万円余の増額補正となっております。

 また、一般会計補正予算第6号につきましては、7月補正予算編成後の諸事情により予算化の必要が生じた新規等の事務事業経費を計上した補正予算で、4億5,312万円余の増額補正を行うものであります。

 なお、第5号と第6号を合わせた補正後の予算総額は、979億2,570万円余となっております。

 一般会計補正予算第6号における主なものといたしましては、市民生活に密着した生活関連道水路等整備事業費の追加計上や、湛水被害の発生を未然に防止するために排水施設を整備する緊急自然災害防止対策事業、認定を受けた日本遺産の魅力等を発信する日本遺産推進協議会への負担金等の計上であります。

 特別会計につきましては、国民健康保険事業特別会計における保険税過年度還付金などを計上しており、企業会計につきましては、農業集落排水事業会計における武石処理場の余剰汚泥ポンプの老朽化に伴う更新工事等を計上しております。

 最後に、事件決議案につきましては、上田地域広域連合規約の変更に関する議案を提案いたしました。

 以上、今回提案いたしました条例案、決算認定、予算案及び事件決議案の概要を申し上げました。

各提出案件の内容につきましては、それぞれ担当者から説明いたしますので、よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。

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