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令和3年3月市議会定例会 市長施政方針

更新日:2021年2月19日更新
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令和3年3月市議会定例会 市長施政方針 説明

令和3年2月19日

 目次

 はじめに

本日ここに、令和3年3月市議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位におかれましては御多忙の中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。

はじめに、昨年12月27日に新型コロナウイルス感染症のため急逝されました故羽田雄一郎参議院議員の御功績等について申し上げさせていただきます。

羽田雄一郎氏は、平成11年の初当選以来21年余にわたって参議院議員をお務めになり、この間、国土交通大臣や所属政党の要職を数多く歴任され、更に、地元上田地域の発展のため、さまざまな分野で御尽力を賜りました。将来を嘱望されていた政治家を失ったことは痛恨の極みであり哀惜の念に堪えません。改めて、故人の御冥福を心よりお祈りいたしますとともに、御遺族の皆様に対しまして謹んでお悔みを申し上げます。

さて、上田西高等学校硬式野球部が、第143回北信越地区高等学校野球大会で優秀な成績を収め、第93回選抜高等学校野球大会への出場が決定いたしました。上田市にとりましては、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、市内の高校が甲子園大会に出場するという大変明るいニュースであり、選手並びに関係者の皆様に心からお祝いを申し上げるとともに、市民と一体になって球児の活躍を応援してまいりたいと思います。選手諸君には、チームのモットーである「For the teamの精神」を胸に全員野球で甲子園に旋風を巻き起こし、上田西高等学校並びに信州上田の名を全国に轟かせていただきたいと願っております。

次に、直面する市政の重要課題について申し上げます。

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新型コロナウイルス感染症に対する取組

まず、新型コロナウイルス感染症に対する取組につきましては、国内において年末年始からの感染拡大の勢いが衰えを見せないため、政府は去る1月7日、1都3県に、更に13日には7府県に対して「緊急事態宣言」を発出しました。その後、栃木県を除く10の都府県については、宣言下においても感染拡大に歯止めがかからないことから、3月7日まで「緊急事態宣言」が延長されたところであります。

一方、県内の感染状況も、全国と同様の傾向が見られ、佐久、松本及び北アルプスの各圏域においては、感染警戒レベルが局所的に「5」に引き上げられるとともに、急激な感染者の増加により医療体制がひっ迫しているとして、1月8日に「医療警報」が、翌週の14日には「医療非常事態宣言」が発令されました。

また、上田圏域におきましても、新年早々、感染の拡大が懸念される事態となり、1月11日には感染警戒レベルが「4」に引き上げられたことから、市では改めて緊張感を持ち啓発活動を強化してまいりました。

こうした状況下ではありましたが、市民お一人おひとり、また、保健所をはじめ関係機関等の皆様の感染拡大防止に資する取組が功を奏し、1月下旬から警戒レベルが順次引き下げられ、去る2月16日には、県内の感染状況が落ち着いたことから、全圏域において「新型コロナウイルス注意報」が解除されました。

しかしながら、県外に目を転じますと、未だ緊急事態宣言が発出されている地域もあり、今後、県内に影響が及ぶ可能性も考えられるため、市民の皆様におかれましては、引き続き基本的な感染予防対策の徹底をお願いいたします。

こうした中、今定例会に関係予算の専決処分について報告しているワクチンの接種が、医療従事者を皮切りに順次進められる運びとなり、市では、現在、医療従事者への接種後に予定されている、65歳以上の高齢者の方々への接種に向け、県や地元医師会等と鋭意調整を行っております。

また、加えて、予算の専決処分と同じ2月5日付で、健康こども未来部にワクチン接種を所管する専門部署を新設する組織改正を行ったところであり、今後も市民の皆様が安心して予防接種が受けられるよう全庁体制で取り組んでまいります。

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資源循環型施設の建設に向けた取組

次に、資源循環型施設の建設につきましては、現在、上田地域広域連合が環境影響評価の最初の手続である配慮書の策定を行っております。今後、説明会等を通じて、住民の皆様の御意見をお聴きするとともに、安全・安心な施設に向けて取組を進めてまいります。また、併せて資源循環型施設建設を契機とした地域価値の向上を目指して、将来のまちづくりを検討するため地元の皆様と話し合いを行ってまいります。

一方、南部終末処理場内に整備予定の「し尿前処理下水道投入施設」につきましては、建設に向けて準備を進めるとともに、来年度から地元下之条自治会の皆様とお約束した地域振興事業を開始し、住みやすい地域づくりに取り組んでまいります。

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令和元年東日本台風災害からの復旧・復興対策

次に、令和元年東日本台風災害からの復旧・復興対策について申し上げます。

早いもので東日本台風から既に1年4か月が経過いたしましたが、かつて経験したことのない規模の被災となったことから、被害の爪痕は大きく、現在も、国、県、上田市それぞれが管理する道路等の復旧、更には、土石流被害防止に向けた砂防施設等の新設など、懸命に取り組んでいるところであります。

市内の道路、河川、農林業用施設等の本復旧につきましては、既に完了、あるいはこの3月に復旧する施設が多い中、被害の甚大さから引き続き、来年度も工事を行う箇所がありますので、市民の皆様の御理解と御協力をお願いいたします。

また、千曲川の増水により被災した河川敷の体育施設につきましては、復旧工事が今年度中におおむね完了する見込みとなりました。利用者の皆様には長期間にわたり大変御不便をおかけしておりましたが、一部の施設を除き、4月から御利用いただけることとなりました。

一方、被災した別所線千曲川橋梁等につきましては、国、県及び東急グループの全面的なバックアップもあり、復旧工事は順調に進み、全線開通となる3月28日に向けて、関係機関と連携を密にし、全力で復旧に取り組んでまいります。

更に、別所線の全線開通に併せて、諏訪形地籍の千曲川左岸堤防道路・市道御所小牧線の災害復旧工事も完了することから、同日、上田橋・常田新橋間の供用を再開いたします。市民の皆様には、1年半に及ぶ長期間の通行止めや迂回等の御協力をいただき改めて感謝申し上げます。

今後につきましても、国、県等の関係機関の御協力をいただく中で、復旧だけに留まらず、災害防止に向けた取組を行い、「ビルド・バック・ベタ―」の理念のもと災害に強いまちづくりを目指してまいります。

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国の経済動向等

さて、先月、閣議決定された「令和3年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」において、令和2年度の経済動向は、「新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるが、令和2年度補正予算第1号、第2号の政策効果等もあり、持ち直しの動きがみられるが、経済の水準はコロナ前を下回った状態にとどまり、経済の回復は道半ばである。」としております。

また、令和3年度の経済見通しにつきましては、「感染拡大防止に全力を挙げながら、感染症により大きな影響を受けている雇用と生活を守ること、同時に成長分野への民間投資を呼び込みながら、民需主導の成長軌道の実現につなげること、という視点のもと、総合経済対策を円滑かつ着実に実施すること等により、年度中には国内経済をコロナ前の水準まで回復させることを目指し、その実現に向け全力で取り組んでいく。」としております。

このような中、去る1月18日に召集された通常国会には、「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」に基づき、総額で15兆4,271億円の令和2年度補正予算(第3号)が提出され、同月28日に成立いたしました。

この補正予算には、感染症の拡大防止策、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現、防災・減災、国土強靭化の推進など、安全・安心を確保する施策が盛り込まれております。

また、国の令和3年度当初予算案につきましては、一般会計総額は昨年度当初予算に比べ3.8パーセント増え、106兆6,097億円と9年連続で過去最大となりました。

歳入面では、コロナ禍の影響により税収見通しは、9.5パーセント減の

57兆4,480億円にとどまる一方で、歳出面では、予期せぬ状況の変化に備え、新型コロナウイルス感染症対策予備費として5兆円を計上しております。感染拡大防止に万全を期すとともに、中長期的な課題を見据えて着実に対応を進めていくため、デジタル社会・グリーン社会の実現や全世代型社会保障の構築等にも対応するとしており、令和2年度補正予算(第3号)と一体の「15か月予算」と位置づけ、切れ目なく景気を下支えしていく財政措置が講じられています。

市といたしましては、新型コロナウイルスの感染拡大防止を最優先としつつ、市民生活の安定とコロナ禍により疲弊した地域経済の再生に向けて、国や県の動向を注視しながら、適切な対応を図ってまいります。

 

それでは、先の12月定例会において御議決いただいた第二次上田市総合計画「後期まちづくり計画」の初年度となる、令和3年度の市政運営に臨む所信の一端を、私の公約である「上田再構築プラン」を踏まえつつ、総合計画における6つの施策大綱に沿って申し上げてまいります。

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自治・協働・行政に対する取組

まず、大綱1つ目の「市民が主役のまちづくり」、自治・協働・行政に対する取組について申し上げます。

上田市では、自治の最高規範として上田市自治基本条例を施行し、市民、市議会、そして市が協力しながら「参加と協働による住民自治の推進」と「地域内分権による地域自治の推進」に努めてまいりました。

今年度は、前回の見直しから5年目に当たるため、市民の皆様による「自治基本条例検証委員会」を設置し、基本理念の実現に向けたこれまでの取組状況や条例改正の必要性等について検証が行われました。検証の中で、条例の運用については、子どもの権利の保障やコロナ禍における人権施策の充実等さまざまな視点から中間提言をいただきました。

今後、検証委員会からパブリックコメントを踏まえた最終提言をいただく予定でありますが、今回の見直しを契機として、条例に対する職員の理解を更に深めながら市の責務を果たすとともに、市民の皆様への更なる周知に努め、より実効性のある自治基本条例となるよう取り組んでまいります。

男女共同参画の推進につきましては、国連総会において採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」の一つとして、男は仕事、女は家庭といった性別により固定化される役割や偏見等を払拭して、男女共同参画社会を形成するため「ジェンダー平等の実現」が掲げられています。

市におきましても、急激に進む人口減少、少子高齢化や経済のグローバル化、ライフスタイルの多様化など、急速に社会情勢が変化する中、これらの課題を解決するためには、性別にかかわりなく、誰もが個性と能力を発揮できる男女共同参画社会の実現が不可欠であるとの認識のもと、「第3次上田市男女共同参画計画」に沿ってさまざまな事業に取り組んでまいりました。

こうした中、来年度、第3次計画が最終年度を迎えることから、これまでの取組の検証を行うとともに、市民の皆様の御意見も充分お聴きしながら、次期計画が多様な価値観等を受け止めていく寛容性を包含したダイバーシティの視点を盛り込んだものとなるよう策定を進めてまいります。

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自然・生活環境に対する取組

続きまして、大綱2つ目の「安全・安心な快適環境のまちづくり」、自然・生活環境に対する取組について申し上げます。

まず、先ほど表明させていただいた「上田市気候非常事態宣言」においても触れましたが、温室効果ガスの排出等を原因とする気候変動により、勢力の強い台風や豪雨、災害級の猛暑等の被害が世界各地で発生しており、これらの被害は、今後も拡大し続け、頻発化、激甚化していくことが予測されます。

これらを踏まえ、市といたしましては、市民の皆様や事業者の方々と危機感を共有し、一体となって対策を進めていくことが重要であると考えております。

今後につきましては、今年度策定の「上田市地球温暖化対策地域推進計画」に基づき、SDGsが目指す持続可能な社会の実現に向け、市民の皆様とともに取り組んでまいりたいと考えております。

次に、地域における防災・減災力の向上を目指した取組について申し上げます。

昨年は、九州地方を中心に日本各地に被害をもたらした令和2年7月豪雨や台風災害、年末年始の日本海側を中心とした大雪など、全国各地で多くの人的被害や物的被害が発生しました。

また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、感染対策を踏まえた避難所運営等の対応が求められました。

こうした中、地域における防災・減災力を向上するためには、自分たちの地域は自分たちで守るという「共助」の精神が大切であり、地域における防災活動の中核を担う自主防災組織の重要性は、今後ますます高まってくるものと考えております。

そのため、今年度は自主防災組織に対する防災用資器材購入補助事業の補助条件を時限的に引き上げ、発電機や毛布、感染症対策用品等の整備を支援してまいりましたが、来年度もこの取組を継続し、広く活用していただけるよう、自主防災組織に働きかけてまいります。

併せて、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を踏まえながら、実践的な防災訓練に対する支援を引き続き行うとともに、HUG(ハグ)(避難所運営ゲーム)などの図上訓練の活用や長野県自主防災アドバイザーとの連携等により自主防災活動の充実を図ってまいります。

加えて、災害時における情報の収集、共有、伝達を迅速かつ確実に実施するため、総合防災情報システムの整備を行い、災害対応能力の向上と危機管理体制の強化に取り組んでまいります。

次に、国土強靭化に向けた災害に強い都市基盤の整備について申し上げます。

令和元年東日本台風災害の発生を契機に国、県、市町村が連携して取りまとめた「信濃川水系緊急治水対策プロジェクト」に位置付けられた千曲川、国分地籍の築堤護岸工事が、国において、今年度に引き続き令和3年度も実施が予定されています。

市におきましても、浸水被害軽減対策として、城下地区の調整池整備を継続して行うほか、平成18年度から実施しております神科台の雨水を神川へ放流する排水路整備が最終年度を迎えます。これにより、中心市街地における浸水被害の懸念が軽減されるとともに、安全・安心なまちづくりの形成に寄与するものと期待しております。

また、災害時の電柱倒壊等のリスクを低減し、ライフラインや緊急輸送路の確保を図ることを目的に、県が実施しております国道141号常田地区、主要地方道長野上田線の天神地区や街路整備に併せて実施中の御所地区のほか、市で整備を進めている新参町線につきましても、無電柱化を推進し、防災性の向上を図るとともに、歩行者や自転車が安全で快適に通行できる良好な都市景観の形成を目指してまいります。

次に、上田地域30分(サンマル)交通圏構想の実現と地域外との交流・経済活動を促進する道路整備等について申し上げます。

上田都市環状道路に位置付けられている国道18号上田バイパス第二期工区の整備につきましては、国において順調に用地取得が進められており、今後も引き続き、神川橋梁の下部工事及び関連する道路工事が予定されています。

また、同じく環状道路の一部で長野県が事業主体となる主要地方道別所丸子線鈴子バイパスにつきましては、昨年秋の地元説明会以降、12月には現地測量に着手するなど、本格的な事業実施に向けた取組が行われており、引き続き、詳細設計等を実施いただく予定となっております。

更に、国道144号上野バイパスや上田と松本の両圏域を結ぶ国道254号荻窪、平井の両バイパスの整備につきましても、事業主体の県、並びに地権者をはじめとする地元の皆様と協議をしながら事業の進捗が図られるよう取り組んでまいります。

市道の幹線道路整備につきましては、岩下地区の踏入大屋線が新神川橋の下部工事に着手する予定であり、千曲川右岸堤防道路の上田橋下堀線や中野小泉線バイパスにつきましても、それぞれ早期完成を目指し事業を推進してまいります。

加えて、丸子地域の市道箱畳線ほか2路線、菅平高原の原野地(はらやち)2号線ほか1路線、武石地域の内ノ山線等の道路も、市民や観光で訪れる皆様が利用する道路となりますので、引き続き事業の推進を図ってまいります。

また、地域公共交通の維持・確保につきましては、昨年度の台風災害後、新型コロナウイルス感染症が拡大したため、鉄道・バス・タクシーなどの公共交通機関においても、その影響は、極めて深刻な状況であります。

 市といたしましては、今後も、地域住民の日常生活や社会経済活動に欠かすことのできない地域公共交通の維持・確保に向けて、必要な対策を講じてまいりますので、市民の皆様のいっそうの利用促進と議員各位の御支援、御協力をお願い申し上げます。

市民生活を支える重要なライフラインである上下水道事業につきましては、10年間の事業運営の方向性を示した「上田市水道ビジョン・下水道ビジョン」や、令和元年度に改定した「上田市上下水道事業経営戦略」に基づいて計画的に事業を推進してまいります。

水道事業では、老朽化した基幹管路や浄水施設等の更新や耐震化を進めるとともに、地下水源の運用拡大についても引き続き取り組んでまいります。また、主要な施設においては、災害対策として自家発電機や緊急遮断弁等の設置を順次進めてまいります。

一方、下水道事業では、処理場や管渠等の更新及び耐震化を進めるほか、南部終末処理場の臭気対策として今年度から実施している汚泥処理棟改築工事を令和3年度の完成を目標に取り組んでまいります。

今後につきましても、安全でおいしい水の安定供給と快適な生活環境の創造を目指し、いっそうの経営効率化と健全化を進め、利用者の皆様の満足と信頼が高まるよう努めてまいります。

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産業・経済に対する取組

続きまして、大綱3つ目の「誰もがいきいき働き産業が育つまちづくり」、産業・経済に対する取組について申し上げます。

市内商工団体及び民間事業者と取り組む「デジタルコミュニティ通貨実証実験」につきましては、去る2月1日に「まちのコイン上田"もん"」がスタートいたしました。 現在、約50の事業者・団体が参加し、人と店をつなぐ集客ツールとして、創意工夫を凝らしながら活用していただいております。4月にはECサイト「もんマーケット上田」のオープンが予定されており、コロナ禍で売上が減少した事業者の新たな販売チャンネルとして御活用いただきたいと考えております。また、併せて、新しい生活様式でのコミュニティの構築、地域経済の発展、SDGsの掲げる持続可能な地域の実現など、今後、地域社会が対応していかなければならない課題や、スマート化による新しい人と店のつながりをどのように形成することができるのかについても検証してまいります。

コロナ禍により、テレワークの普及が進むなど、ライフスタイルが大きく変化する中、地方が改めて評価されております。こうした地方回帰の動きを踏まえ、上田市の魅力を大都市圏等の企業やビジネスマンに対して積極的に発信し、企業誘致や、二拠点居住者、IT人材の呼び込み、「働く」と「暮らす」をセットにした施策等を推進してまいります。

今後につきましても、市内企業のテレワークの推進とともに、都市部のIT企業等のサテライトオフィスの誘致に力を入れ、集積する製造業等との交流を促し、新たな製品開発や人材育成等につながるよう取り組んでまいります。

次に、地域の雇用を確保するための取組について申し上げます。

昨年6月に0.91倍まで落ち込んだハローワーク上田管内の有効求人倍率は、その後の新規求人数の増加と、雇用調整助成金の特例措置延長により離職者の増加が抑えられ、昨年10月以降は、1倍台を回復してまいりました。しかしながら、コロナ禍以前の水準には遠く及ばず、今後の社会、経済状況によっては、離職者の増加も懸念されるところであり、予断を許さない状況が続いております。

更に、今年度県内の大学等を卒業する学生の就職内定率も、昨年12月末時点で78.5パーセントと前年同期を4.0ポイント下回っており、企業による採用活動の停滞のみならず、対面式からオンラインを活用した就職活動への変化等、好調であった学生の就職活動にも大きな変化が生じております。

こうした中、地域雇用の維持・安定に向け、国、県、市町村、及び商工団体で構成される「上田地域求人確保連絡会議」が組織され、その取組の一つとして、 上田公共職業安定所長、県知事、及び関係市町村長の連名で、上田地域の事業主の皆様に対し、求人の確保、拡大等を要請させていただきました。

今後につきましても、国、県等と緊密に連携して、地域の雇用を守るための取組を鋭意進めてまいります。

加えて、早急な支援が必要な新規学卒者に対しましては、就職活動の変化に対応した、合同就職面接会の開催や、オンラインを活用した就活イベントを開催し、地域企業への就職促進を図ってまいります。

観光産業につきましては、秋以降、市内における観光需要は回復の兆しを見せておりましたが、1月には大都市圏を中心に緊急事態宣言が発出されたことで、市内温泉地や菅平高原等の旅館・ホテルでは、宿泊キャンセルが相次ぎ、また、各種観光施設においても入込が大きく落ち込むなど、観光関連事業者は、依然として厳しい状況下におかれています。

今後、観光誘客事業の実施に当たっては、新型コロナウイルスの感染状況に大きく左右されることが想定されますが、こうした中でも、当市の強みである多彩な観光資源を効果的に活用してまいります。また、北陸新幹線及び、しなの鉄道沿線自治体や長野、松本両市とのトライアングル連携など広域的な自治体連携を図るとともに、官民連携による滞在交流型観光を促進するなど、観光客の滞在時間や宿泊客数を伸ばす仕掛けづくりを展開し、「稼げる観光地づくり」を推進してまいります。

次に、農業振興について申し上げます。

地産地消の推進は、食の安全と農業生産者の経営安定を支えるほか、地域の経済活動においても重要な役割を果たしております。市では高い晴天率や昼夜の寒暖差等の気候風土を活かして育まれた、高品質で多種多様な地元産農産物を「信州上田なないろ農産物」と銘打ちブランド化を推進し、姉妹都市へのプロモーション活動の強化や首都圏等における販路拡大にも取り組んでまいります。

また、農業の持続的発展を図るため、農業が直面する就業者の高齢化と後継者不足を踏まえ、今後も引き続き、県、近隣町村、JA等とプロジェクトを組み、都市部からの新規就農者の誘致と育成、独立就農までの切れ目のない支援に取り組んでまいります。加えて、障がい者など社会的に弱い立場の皆様が農業に取り組む「農福連携事業」についても積極的に推進してまいります。

更に、「地域農業は地域で守る」という機運の醸成を図りながら、集落単位での協議により、担い手への効率的な農地集積を目指す「人・農地プラン」の実質化を進めるとともに、農地情報の一元管理体制を構築し、農地の集約化や遊休農地対策等にも取り組んでまいります。

一方、4月1日のオープンを目指し準備を進めている、殿城地区のクラインガルテン(滞在型市民農園)につきましては、既に、定員を上回る申込みをいただいており、多くの方に関心を寄せていただいていると実感しております。

今後は、都市農村交流の拠点であるクラインガルテンを有効に活用し、地元住民とのさまざまな交流活動を通して地域及び地域農業の活性化を図るとともに、農業や田舎暮らしに関心がある都市住民の移住・定住にもつなげてまいります。

さて、森林が市域の約7割を占める上田市におきましても、全国の市町村と同様に、管理が不十分な森林が多く荒廃が進みつつあります。これは長期的な林業の低迷や、所有者の世代交代等により森林に対する関心が薄れ、管理が適切に行われていないことが主な原因であると考えております。

こうした中、令和元年度に施行された森林経営管理制度では、意欲のある林業経営者に集積、集約を可能とするとともに、管理が行われていない森林については、市町村が管理を行うことで林業の成長産業化と森林の適切な管理の両立を図ることを目指しています。

現在、上田地域の4市町村では、森林の経営管理を連携して効率的に実施すべく「上田地域林務行政広域連携検討会議」を設立し、4市町村共同のもとモデル事業を実施しております。

今後につきましては、適期適切な地域産材の利活用や森林整備を進め、上田地域の林業の再生を目指してまいります。

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健康・福祉に対する取組

続きまして、大綱4つ目の「ともに支え合い健やかに暮らせるまちづくり」、健康・福祉に対する取組について申し上げます。

障がい者福祉につきましては、「第2次上田市障がい者基本計画」、 「第5期上田市障がい福祉計画」及び「第1期上田市障がい児福祉計画」の3つの計画が今年度で最終年度となります。次期計画の策定については、昨年7月に上田市障害者施策審議会に諮問し、さまざまな御意見をまとめていただきながら、1月22日には基本的事項や成果目標等を盛り込んだ答申をいただきました。

答申内容を最大限尊重した計画を策定し、誰もが健康で幸福を感じる、優しさと思いやりのあふれる共生社会の実現を目指して取り組んでまいります。

また、昨年の6月定例会において御議決いただいた「上田市手話言語の普及及び視聴覚障害者等の意思疎通手段等の利用促進に関する条例」に関連する事項も計画に盛り込み、手話言語の普及や、障がいのある方のコミュニケーション手段が、日常的に利用されることを目指し各種施策に取り組んでまいります。

高齢者福祉施策等につきましては、これまで高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自立した日常生活を営むことができるよう、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築に取り組んでまいりました。

こうした中、団塊の世代全てが75歳以上となる2025年、更に団塊ジュニア世代が65歳以上となる2040年を見据え、更なる取組の推進が必要となっております。

市では、こうした点を踏まえ、令和3年度から3か年の計画である「第8期上田市高齢者福祉総合計画」の策定について、上田市介護保険運営協議会へ諮問し、高齢者の実態調査や介護保険サービス事業者へのアンケート、パブリックコメントなどにより、市民、関係者の皆様の御意見を伺った上で、去る2月3日に答申をいただきました。

第8期の計画では、国の基本方針に基づき、高齢者の自立支援、介護予防・重度化防止、認知症施策、介護人材の確保対策等のほか、災害や感染症対策に係る体制整備の取組も位置づけてまいります。

今後につきましても、介護保険制度の健全な運営に努めるとともに計画に掲げた事業の着実な推進により、介護が必要になっても地域で安心して暮らし続けることができる環境づくりを整えてまいります。

また、近年、高齢者の自転車事故が多発していることから、自転車を利用する65歳以上の方々を対象に、県下19市で初めて、重傷事故低減への取組として、ヘルメットの購入代金の一部を助成する制度を創設することといたしました。

市といたしましては、これからも高齢者の皆様が安心して日常生活が送れるよう交通安全対策にも鋭意取り組んでまいります。

子育て支援につきましては、「子どもは地域の宝」であることから、安心して妊娠、出産ができ、学童期まで子育て家庭に寄り添った切れ目のない一貫した支援体制の充実を図ることが重要であると考えております。

また、今回の「後期まちづくり計画」におきまして、「子育て支援」を重点プロジェクトに加え、新たに「子どもが健やかに育ち、子育ての喜び・楽しさが感じられるまちづくり」の章を設けた意義を踏まえ、今後も「第二次上田市子ども・子育て支援事業計画」に基づき、子育て家庭への支援を充実してまいります。

加えて、新たな情報通信技術を活用した子育て支援情報の発信や相談機能の充実についても、子育ての孤立化の防止や、気軽に相談できる体制の充実、分かりやすい情報提供等、子育て家庭が気軽に24時間いつでも信頼できる子育て情報を得ることが可能な自動応対システムの研究も進めてまいります。

また、児童虐待の未然防止や早期発見等の対応に当たっては、専門職を配置した「子ども家庭総合支援拠点」を設置し、児童虐待相談や多様化する子育てに関する相談に対応するとともに関係機関と連携し、包括的、継続的な支援等を引き続き行ってまいります。

共働き世帯の増加や核家族化の進展により、3歳未満児の保育需要が拡大し、そこに保育士不足の要因が加わったため、令和2年4月に上田市で初めて9名の待機児童が発生いたしました。

市といたしましては、今後も必要な保育士の確保や働きやすい職場環境整備に取り組むとともに民間の保育事業支援等、待機児童解消に向けた取組を鋭意進めてまいります。

また、上丸子地区で建設中の統合保育園は、工事が順調に進んでおり、令和3年4月に、定員120名の「まるこ保育園」として開園する運びとなりました。この新しい保育園では、隣接する丸子中央小学校との交流を深めるとともに、一時保育を実施するなど、多様化する保護者ニーズに沿った保育サービスの提供に努めてまいります。

次に、市立産婦人科病院事業について申し上げます。

少子化や産科医師不足の問題など周産期医療を取り巻く環境は厳しさを増しており、加えて、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、妊娠、出産や子育てに不安を感じる方も増加しております。

産婦人科病院におきましても、厳しい運営状況が続いていますが、分娩を希望される方をお断りすることのないよう、職員一丸となって感染対策を実施し、安全で安心な医療の提供に努めてまいりました。

こうした中、昨年10月に産婦人科病院運営審議会に対し公立病院のあり方について諮問しておりましたが、昨日、答申をいただきました。

答申では、将来を見据えた産婦人科病院の経営改善に向けては、他施設との集約化が望ましいとした上で、地域内の全ての周産期医療施設が、持続可能な経営を保持できる体制を構築することを求めております。

市としましては、この答申を踏まえながら、地域のお産は地域で完結できるよう、今後も安定した周産期医療提供体制の確保について検討を進めてまいります。

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教育に対する取組

続きまして、大綱5つ目の「生涯を通じて学び豊かな心を育むまちづくり」、教育に対する取組について申し上げます。

平成28年度から5年間を対象期間とする「上田市教育大綱」及び「上田市教育支援プラン」について、新年度からの改訂に向け、上田市総合教育会議の場において協議を重ねております。このうち、教育大綱については、上田市の教育の基本理念として掲げた「燦(さん)と輝く 上田の未来を紡ぐ人づくり」を継承しつつ、構成や内容等の大幅な変更は行わず、一方、教育支援プランについては、情報教育の充実など必要な見直しを加えることとし、学校現場の意見もお聴きしながら改訂作業を進めてまいります。

今後につきましても、市長部局と教育委員会がいっそうの連携を図り、上田市の教育の方向性について情報を共有しながら、将来を担う子どもたちの教育環境の整備に努めてまいります。

学力の定着と向上は、これまでに引き続き、力を注ぐ重要課題の一つであります。学習活動の更なる充実のため、現在、「GIGAスクール構想」の実現に向け、3月中には児童生徒一人ひとりにタブレット端末が整備される予定であり、更に新年度予算には、学校における高速大容量のネットワーク環境の整備を行うための経費を計上しております。

引き続き、情報機器の効果的な活用や授業改善の支援等を通して、児童生徒の学ぶ意欲を高め、確かな学力が身につくよう取り組んでまいります。

一方、児童生徒が一日の大半を過ごす学校施設の整備につきましては、持続的かつ安定した施設整備を進めるため、今年度「学校施設長寿命化計画(個別施設計画)」の策定を進めてまいりました。今後は、この計画を踏まえ、計画的な施設整備に努めてまいります。

こうした中、建築後約60年が経過し、老朽化が著しい第五中学校につきましては、令和元年度の耐力度調査以降、学校、地元関係者で組織する「第五中学校改築推進委員会」において検討を行ってまいりました。現在、「第五中学校整備計画」の策定を進めているところであり、計画策定後、速やかに基本・実施設計に着手してまいりたいと考えております。

市民の皆様の体力向上や健康づくりの機会拡大、スポーツ環境の整備に関する取組につきましては、令和3年度を初年度とする市の生涯スポーツ活動の推進とスポーツ環境の整備方針を定めた「第二次上田市スポーツ推進計画」を策定いたしました。

この計画は、「生涯スポーツ社会の実現」を基本理念とし、「生涯スポーツの振興」、「競技力の向上」、「スポーツ施設の整備」、「スポーツを通じた地域づくりと交流拡大」を基本目標に、各世代におけるスポーツ振興、障がい者スポーツの推進、スポーツによる地域づくりや交流の推進、令和10年に開催が予定されている国民スポーツ大会を踏まえた競技力向上と施設整備等を行っていくための施策を掲げております。

令和3年度におきましては、この計画に基づき、障がい者と健常者の相互理解を深めるための交流事業や、子どもたちの体力低下傾向にある現状において運動習慣や体力づくりのきっかけとなる事業を展開してまいります。

また、市内でルートインホテルズ女子バレーボール部「ブリリアントアリーズ」の公式戦を開催し、市民の皆様に一流選手のプレーをご覧いただくとともに、一人でも多くの市民がスポーツ活動への参加意欲や興味・関心を抱くよう、スポーツに関する情報も幅広く積極的に発信するなど、「だれもが いつまでも スポーツに親しむことができる まちづくり」を目指し、更なる事業の充実に努めてまいります。

平成29年4月の公立化から4年が経過する長野大学では、理事長をはじめとする役員について、1期4年間の任期満了を迎えることとなり、今後の大学運営に必要な体制について検討を進めてまいりました。このうち、設置者である上田市長が任命する理事長については、白井(しらい)汪芳(ひろふさ)現理事長の退任意向を受け、新たに信州大学名誉教授の平井利博氏にお願いすることといたしました。

平井氏には、これまで上田市公立大学法人評価委員会委員長として、高度な知識と経験を活かされ、公立化前の中期目標策定段階から公立化後の業務実績評価等の評価委員会が担う重要な役割について、厳格かつ円滑な対応に御尽力いただいてまいりました。こうした経過の中で、学内の状況を熟知し大学改革の推進に対する熱意を持つ平井氏こそが、今後4年間、大学運営の中心を担っていただくのに最も相応しいと考え、就任を要請し先般御快諾いただいたところであります。

一方、学長人事につきましては、学内の選考手続を経て中村英三現学長が再選され、引き続き2年間務めていただくこととなっております。更に、新年度の役員体制を検討する中で、これまでも市議会をはじめ各方面から指摘されておりました理事会の体制について、学外からの視点を強化するために理事の定員を増員することとし、本定例会に定款変更に係る議案を提案いたしました。

来る4月3日には、長野大学として初の大学院「総合福祉学研究科」の開設式が予定されております。また、長野大学による中央水産研究所旧上田庁舎の取得・活用につきましても、長野財務事務所が年度内の鑑定評価完了を目指しており、これを待って新年度早々に価格決定手続に入る見込みとなっております。こうしたさまざまな動きがある中で、更に公立化5年目を迎える新年度においては、現在の中期目標の進捗状況を総括的に評価するとともに、次期中期目標期間につなげていく段階を迎えることとなります。このため、新たな役員体制のもと、公立大学として地域や学生に望まれ愛される魅力ある大学としての改革のいっそうの推進が図られることを期待しつつ、市といたしましても積極的にかかわりながら設置者としての責務を果たしてまいりますので、引き続き議員各位の御支援、御協力をお願いいたします。

スタートから2年目を迎えた「信州上田学」につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、計画どおりの推進が困難な中、事業の実施に当たっては可能な限り効果的なものとなるよう努めてまいりました。このうち、長野大学での「信州上田学講座」は、通年開講への拡充が図られる一方で、活動自体が制限されましたが、前期・後期ともに市民受講生の参加と30名を超える学生の受講があり、先月24日にはその成果発表会が開催され、学生の新鮮な感性と行動力あふれる取組を見させていただきました。

また、主に学生など若者を対象とした「上田未来会議」については、特徴的な活動を行う講師によるオンライン講座の開催に加え、地域の魅力や課題を身近に感じてもらえるよう菅平高原や別所温泉での「地域版未来会議」や、上田青年会議所との共同イベントの開催等、新たな視点を取り入れながら実施してまいりました。

今後も引き続き、状況に応じた工夫を加えながら、「信州上田学」の目的であるシビックプライドのいっそうの醸成につながる事業展開に努めてまいります。

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文化・交流・連携に対する取組

続きまして、大綱6つ目の「文化を育み、交流と連携で風格漂う魅力あるまちづくり」、文化・交流・連携に対する取組について申し上げます。

去る12月13日、上田市日本遺産推進協議会による認定記念シンポジウムが開催されました。当日は、構成文化財である岳の幟の披露、日本遺産認定大使による基調講演、市内大学生による研究発表や認定自治体によるパネルディスカッションなどを行い、多くの市民の皆様に御参加いただき、改めて、上田市の文化財の素晴らしさを認識していただいたところであります。

更に、12月20日には、神川、塩田、別所温泉地域をつなぐレイライン沿いで、地元住民自治組織と連携して花火の打ち上げを実施し、機運の醸成を図ったほか、年末にはテレビ局とタイアップした番組の放映や、広報うえだ、行政チャンネル、SNSなどの各種媒体を活用した認定ストーリーや構成文化財を広く紹介するプロモーションも積極的に展開してまいりました。

また、来る3月28日の別所線の全線開通に併せて、通常拝観することができない信濃国分寺三重塔及び安楽寺八角三重塔内の「大日如来」が、一日限定で特別公開されることから、これを機に市民の皆様が日本遺産に対する関心を深めていただければと思っております。

今後につきましては、文化庁からの補助金を有効に活用しながら、テーマである「レイラインがつなぐ『太陽と大地の聖地』~龍と生きるまち信州上田・塩田平~」のストーリーや魅力を、よりいっそう知っていただくため、市民の皆様を対象とする 有償ガイドの育成や伝統芸能継承イベントの開催等に取り組んでまいります。

交流文化芸術センターにつきましては、健全な運営と更なる有効活用に向け、昨年2月に運営検証委員会からいただいた答申を踏まえ、今年度「交流文化芸術センター運営協議会」を立ち上げ、施設の運営や事業展開について協議を重ねてまいりました。

今後は、協議会の意向を踏まえつつ、公共文化施設として多彩な文化・芸術と出会う機会を提供し、育成を基本理念に、市民自らの創造的な活動を支え、地域の文化振興に貢献できるよう事業展開を図ってまいります。

一方、市立美術館につきましては、今年度は新型コロナウイルス感染症の影響で臨時休館や展覧会、講座等の中止を余儀なくされましたが、その中でも美術館の役割を果たすため、市民の皆様が、自宅にいながら創作を体験できる動画や展覧会を紹介するレポートなどWEBコンテンツの充実を図ってまいりました。

来年度におきましても、これまで同様、感染症対策に万全を期した上で、趣向を凝らした展覧会の開催や子どもアトリエ事業の充実を図ってまいります。

次に、シティプロモーションの推進について申し上げます。

「上田の魅力発信、選ばれる都市づくり」の取組は、将来にわたってまちの活力を維持し、持続的発展が可能な都市を目指す上で、また、昨今は新型コロナウイルスの感染拡大を機に、都会生活から地方暮らしへの関心が高まる中で、今後ますます重要になってくると認識しております。

今年度は、コロナ禍という状況ではありましたが、首都圏向けのテレビ番組やFMとうみを活用したオリジナルラジオ番組、SNS等の情報発信媒体を活用し、日本遺産の認定や「世界で最も優れているぶどう畑トップ50」に日本で初めて選ばれた椀子ヴィンヤードなど、上田の新たな魅力を市内外に向けて発信してまいりました。

来年度におきましても引き続き、庁内での連携を図り、市民の皆様の力もお借りしながら上田の多様な魅力を発信し、知名度の向上とシビックプライドの醸成を図るとともに、魅力ある観光地としてだけでなく、移住先としても選ばれるよう、首都圏を中心にシティプロモーションを展開してまいります。

加えて、今後も都市部からの地方移住を促すため、空き家のオンライン見学会、空き家バンク登録物件の積極的な掘り起しを行うとともに、空き家バンク利用者への引っ越し補助金の拡充や、移住・定住希望者への住宅の斡旋にも力を入れてまいります。

 

最後に、市民生活の利便性向上や持続可能な行政運営に向け策定を進めた各種ビジョン、及び市庁舎改修・改築事業等について申し上げます。

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各種ビジョンについて

上田市スマートシティ化推進計画につきましては、昨年7月から、有識者の皆様による「上田市地域情報化推進委員会」において、御審議をいただいており、今月中に答申をいただく運びとなっております。

この計画は、令和3年度から7年度までの5年間を期間とし、上田市がスマートシティ化で目指す姿として、「市民、地域、行政がデジタル化でより密接につながり、共に創る未来都市★UEDA」を掲げ、市役所業務のスマート化や地域企業の技術の活用、まちの魅力を高めるデジタル化の推進等を具体的に示しております。

今後は、この計画に基づき、行政事務の効率化と市民サービスの向上を両立させるとともに、地域の課題の解決や地域経済の活性化を実現するため、上田市のスマートシティ化を着実に進めてまいります。

行財政改革につきましては、平成18年3月の合併以降、第一次・二次の上田市総合計画による施策の推進に合わせ、三次にわたり行財政改革大綱に基づく改革を進めてまいりました。

これまでの主な成果としては、民間活力の導入、施設経営の見直し、職員の定員適正化等がありますが、現行の第三次大綱では、公共施設マネジメント基本方針に基づき、利用者等の意向も確認しながら、長期的な課題である公共施設の複合化・集約化等の取組を進めてきたところであります。

こうした中、現在の大綱の推進期間が今年度末で終了することから、昨年8月に上田市行財政改革推進委員会に、今後5年間の新たな第四次上田市行財政改革大綱の策定について諮問しました。委員会からは人口減少・少子高齢社会への対応に加え、自然災害や新型コロナウイルス感染症が及ぼす影響、行政手続の簡素化、SDGsの反映等、活発な御意見をいただいており、今月中に答申をいただく運びとなっております。

市といたしましては、この答申を最大限尊重の上、年度内に第四次大綱を策定し、その後、大綱に基づく具体的な取組事項や数値目標、目標設定等を盛り込んだ実行計画である「アクションプログラム」の策定を進めてまいります。

今後も、社会情勢の変化に伴う市民ニーズを的確に捉え、持続可能で市民満足度の高い行政サービスの実現を目指し、不断の行財政改革に取り組んでまいります。

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上田市庁舎改修・改築事業

上田市庁舎改修・改築事業につきましては、市民の皆様の安全・安心を守る拠点施設として、耐震性能の確保と防災機能の充実、市民サービスの向上と業務効率に優れた庁舎を目指し整備を進めてまいりました。

新本庁舎は、平成30年2月の工事着手以降、天候にも恵まれ、優れた施工管理のもと、コロナ禍の中ではありましたが工事は順調に進み、2月には工事が完了し、来月3月10日には、市へ引き渡しが行われることになっております。

新本庁舎は、1階を「暮らしの手続、届出のフロア」、2階を「福祉の手続、各種相談のフロア」として諸手続や証明書の発行、相談等の窓口業務を集約し、利用者の利便性の向上を図るとともに、発災時における災害対策本部としての中枢機能や、防災拠点としての役割も備えております。

加えて、環境と景観に配慮した設計により、国のサステナブル建築物等先導事業の採択を受け、自然エネルギーの活用と先導的な省CO2技術を数多く取り入れております。

また、新庁舎の引き渡しが早まったことから、市民の皆様に一日も早く御利用いただけるよう、什器・備品等の設置や関連工事を鋭意進めるとともに、旧庁舎から新庁舎への移転が滞りなく行われるよう全庁体制で取り組んでまいります。

一方、武石地域総合センター整備事業につきましては、建築主体等の工事が竣工し、1月26日に建物等の引渡しが行われました。

この施設は、地域自治センター、公民館、及び保健センターの機能を備えた複合施設であり、市民の皆様のコミュニティ活動や生涯学習、地域保健、防災の拠点として、3月29日から業務を開始してまいります。

 

以上、直面する重要な取組と令和3年度における市政運営に臨む所信の一端を申し上げました。

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議案

今回提案いたします案件は、条例案が12件、令和2年度補正予算案及び令和3年度当初予算案が20件、事件決議案が3件、報告事項が1件の合計36件であります。

まず、条例案につきましては、ちぐさ幼稚園を認定こども園へ移行すること、及び「まるこ保育園」の開園に伴う関係条例の一部改正等、計12件を提案いたしました。

次に、上田市の令和3年度の当初予算案につきましては、一般会計の歳入歳出予算総額は693億5,600万円と、前年度と比較して60億4,300万円、8.0パーセントの減となりました。これは、市庁舎改修・改築事業の関連経費が大幅な減額になったことや令和元年東日本台風による災害復旧事業が減額になったことなどが主な要因であります。

また、予算編成に当たっては、令和3年度が第二次上田市総合計画「後期まちづくり計画」のスタートの年であり、総合計画に掲げる将来都市像を具体化するための施策展開を念頭に置き、上田市版総合戦略に盛り込まれた各種の施策や市民要望の実現に向けた施策とともに、感染症拡大を防止するための柔軟かつ機動的な施策の推進や市民生活・雇用等を守り抜く取組と「新しい生活様式」への対応、災害からの復旧・復興の推進と災害に強いまちづくりに取り組むこととし、これを具体化する事業に重点的な財源配分を行いました。

加えて、令和3年度から普通交付税では合併算定替による特例加算が終了し、新市として一本算定となることや、コロナ禍である点を踏まえ、将来を見据えた持続可能な財政運営に取り組むべく予算編成を行ったところであります。

歳入につきましては、地方財政計画において、地方の一般財源総額は確保されているものの、新型コロナウイルス感染症の影響により市税の減収が見込まれ、市税全体では前年度と比較して15億7,826万円余、7.4パーセント減の196億8,945万円を計上いたしました。

歳出では、特徴的な事業といたしましては、新本庁舎の供用開始後、既存本庁舎の解体事業の実施、公立保育園において一斉配信メールを活用した緊急時の情報伝達体制の整備、技術研修センターをテレワークの拠点として再整備するほか、災害対応力の向上のため防災情報システムの導入や第二学校給食センターと第五中学校改築事業の設計業務に係る経費等を計上しました。

次に、特別会計と企業会計を合わせた12会計につきましては、合計529億9,283万円余、昨年度と比較して1億4,650万円余、0.3パーセントの増となっております。これは、介護保険事業特別会計における保険給付費の伸びや公共下水道事業会計における建設改良費の増加が予算規模を押し上げる要因となっています。

一方、令和2年度3月補正予算案につきましては、令和2年12月以降必要が生じた事務事業経費の調整や事業等の確定など、令和2年度執行見込みに伴う事業費及び財源の調整について、一般会計と3つの特別会計及び上下水道事業等の3つの企業会計についての計上であります。

このうち一般会計補正予算第10号につきましては、2億5,024万円余の減額補正を行い、補正後の予算額は985億223万円余となっております。予算の減額要因としましては、特別定額給付金支給事業の事業費確定に伴う調整のほか、災害復旧事業費の令和3年度当初予算への組み換えによるものなどがあり、また、増額要因としては、市庁舎改修・改築事業に関連した駐車場拡張事業に伴う用地取得経費や個人番号カード関連事務費の計上、国の第3次補正予算に伴うテニスコート整備事業等があります。

次に、事件決議案につきましては、公立大学法人長野大学における理事の定数の変更や大学院開設に伴う定款の変更に関する議案など、計3件を提案いたしました。

最後に、報告事項につきましては、新型コロナウイルスワクチン接種に関して必要な経費に係る補正予算を議会の御理解をいただいた上で、専決処分したものであります。

以上、今回提案いたしました条例案、予算案、事件決議案及び報告事項の概要を申し上げました。

各提出案件の内容につきましては、それぞれ担当者から説明いたしますので、よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。

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結び

さて、昨年から続く新型コロナウイルス感染症は、収束の見通しが未だ不透明である中、来年度も感染症防止対策を最優先としつつ経済活動との両立を図りながらの市政運営となります。

しかし一方で、急激に進む人口減少、超高齢社会への対応も大変重要であり、第二次上田市総合計画「後期まちづくり計画」に基づく各種施策を着実に推進し、私の目指す「市民力」と「共感力」の二つを大切に魅力あふれるまちづくりに邁進してまいります。

また、気候非常事態宣言でも触れましたが、水と緑に包まれた美しい地球と、先人から受け継いだ豊かな自然、誇るべき上田市の歴史と文化を、次代を担う子どもたちに、しっかりと引き継いでいけるよう全力で職責を果たしてまいります。

今後とも、議員各位をはじめ市民の皆様の格別の御支援、御協力をお願い申し上げ、この庁舎の議場における最後の施政方針とさせていただきます。

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