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強引に勧められる住宅のリースバック契約にご注意ください!
自宅(マンション、戸建て住宅)を売却する契約と同時に、その不動産の賃貸借契約を結んで、その後は家賃を払いながら同じ家に住み続けるという「住宅のリースバック」の契約に関する相談が全国の消費生活センターに寄せられています。
契約当事者の約7割が70歳以上となっており、相談件数がここ数年増加しています。
相談事例
〔事例1〕自宅マンションについて、不動産業者から電話でリースバックの勧誘があった。後日来訪してきて、「1,200万円で売却し、その後家賃を支払ってそのままマンションに住むという契約」を朝10時から夜10時過ぎまで長時間勧誘され、仕方なく契約書にサインをしてしまった。親族に反対され、解約の連絡をしたところ違約金50万円を請求された。
〔事例2〕家に突然電話があり、「玄関で10分だけ」と言われ、来訪を了承した。当日、担当者2人が押し入るように部屋に入ってきて、マンションを売るよう執拗に勧誘された。「3,000万円で買い取る。その後毎月家賃25万円を支払えば、そのまま住むことができる」と言われ、怖くなって了承し書類にサインしてしまった。解約するには違約金600万円がかかると言われている。
〔事例3〕生活費に困っていた時にリースバックのCMを見て、不動産業者に電話をした。その後、何度か業者とやり取りし、自宅マンションのリースバック契約を結び、約1,600万円で売却した。業者からは「自宅にはそのまま住み続けられる。家賃は約6万円」と言われ、承諾した。3年後、家賃が突然約11万円と高額になった。業者からは「3年経過後に家賃が上がることはリースバック契約時に説明している。払えないなら早急に退去してほしい」と言われた。
〔事例4〕実家の父が戸建ての自宅を400万円で売却し、月額家賃4万円のリースバック契約をしていることが分かった。売却金額は相場よりかけ離れた安価な金額であり驚いた。父は以前から認知症の疑いがあり、自分の住所も書けない状態であった。自宅を取り戻したい。
相談事例からみる問題点
●長時間の勧誘や強引な勧誘によって消費者が望まない契約をしてしまう。
●リースバックの契約内容について消費者に適切に理解させていない。
●「自宅に住み続けたい」という消費者のニーズに合致していない契約がされている。
●判断能力が低下した高齢者がトラブルにあっている。
消費者へのアドバイス
勧誘が迷惑だと思ったらきっぱりと断り、今後勧誘しないように伝えましょう
不動産業者から勧誘の電話がかかってきても、安易に訪問を許さず、自宅を売却するつもりがなければ、売却の意思がないことをきっぱりと業者へ伝えましょう。消費者が勧誘を断ったにもかかわらず勧誘を続けることや、長時間の勧誘は法律で禁止されています。勧誘を断りたい場合には、「もう勧誘しないでください」等と業者に伝えましょう。
知らない電話番号からの電話には出ないようにしましょう。また、通話録音装置や迷惑電話対策機能の付いた電話機を利用することも考えましょう。
特殊詐欺被害を防止するための電話機器等の購入費の一部を補助します
自宅を不動産業者に売却した場合、クーリング・オフはできません
消費者が不動産業者に自宅を売却する場合には、宅地建物取引業法に定めるクーリング・オフが適用されないため、売買契約が成立してしまうと、無条件で契約を解除することはできません。売主が契約を解除する場合は、手付金の倍額を買主に支払う、いわゆる「手付倍返し」で解除することとなり、手付解除が可能な期間を過ぎると、ほとんどの場合、契約条項に基づく違約金が必要となるため、注意が必要です。
不動産に関する取引は高額な取引であることが多く、違約金の額も高くなってしまうことがありますので安易に契約をせず、必ず家族等に相談するようにしましょう。
売却後もそのまま住み続けたい場合、家賃を支払い続けられるかよく確認しましょう
リースバック契約は売却後に家賃の支払いが発生することから、その後住み続ける間の家賃が支払えるか十分に検討した上で契約しましょう。リースバック契約が自らにとって本当にふさわしい契約なのか、必要な家賃を支払い続けられるのか、退去を求められることとなった場合に後悔しないのか、よく考えましょう。
「住宅のリースバックに関するガイドブック」を活用しましょう
国土交通省では、リースバックのトラブル例や利用する際のポイント等を取りまとめたガイドブックを公表しています。リースバックを検討する際にはこのガイドブックを活用しましょう。
住宅のリースバックに関するガイドブック(国土交通省ウェブページ)<外部リンク>
不安や不明な点があれば消費生活センターに相談しましょう
関連情報
強引に勧められる住宅のリースバック契約にご注意!-本当に「そのまま“ずっと”住み続けられる」契約ですか-(国民生活センターウェブページ)<外部リンク>