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令和7年10月から市内路線バスが変わります!
令和7年10月から市内路線バスが変わります!
路線バスは、通勤・通学・通院等、生活に欠かせない公共交通となっています。
しかし、マイカーの普及や昨今の燃料費高騰、運転手不足や2024年問題といった課題により、路線バスを取り巻く環境は大変厳しく、路線の廃止や減便が全国で発生しています。
このような状況を踏まえ、上田市の都市機能及び市民の皆様の移動の足を支える路線バスの確保・維持を図るため、令和7年10月から「上田市地域公共交通利便増進事業」を実施いたします。
本ページでは路線バスのおかれている危機的現状及び「上田市地域公共交通利便増進事業」の詳細についてお知らせします。
路線バスの危機的状況
路線バスを取り巻く厳しい環境については、(1)運転手不足、(2)2024年問題(働き方改革)、(3)常態化した路線の赤字、(4)内部補助の限界などを挙げることができます。
路線バスを運行したくてもそもそも運転する人がいない、また事業として赤字であり、乗合バスを運行することで会社の経営が圧迫され、バス事業者の経営存続すらも危ぶまれる危機的状況に陥っております。
これらの危機的状況の直視し、将来にわたって公共交通を確保・維持するために、利用者視点と事業者視点の両面から、官民連携で地域公共交通利便増進事業を検討してまいりました。
※危機的状況の詳細については以下のPDFをご覧ください。
公共交通の危機的状況について [PDFファイル/1.69MB]
地域公共交通利便増進事業とは
法的位置づけ
地域公共交通利便増進事業は、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(略称「地域交通法」)第2条第13号において、地域公共交通の利用の容易性の向上又は利用の円滑化その他の地域公共交通の利用者の利便の増進を図るために行う事業と定められています。
また、事業実施に当たり、地域公共交通利便増進実施計画を作成し、国土交通大臣の認定を受けることで、法律上の特例措置(国県補助額の嵩上げなど)を受けることができます。
事業実施期間
令和7年10月から令和12年9月までの5年間
実施区域
上田市及び青木村全域
事業の目的
上田市地域公共交通計画で示す地域公共交通のあり方に基づき、都市の持続性や市民の豊かな暮らしを支えるため、(1)各地域拠点からの通勤通学に係る移動手段を確保するための公共交通ネットワークの維持・形成や、(2)自家用車に頼ることなく各地域拠点から移動できるサービスレベルの確保を目的とします。
この目的を達成し、上田市の公共交通を将来にわたって確保・維持するために、運転手確保を目的とした取組の実施に加え、
(1)路線バスのサービス水準の向上による利用者の確保と潜在的なニーズの掘り起こし
(2)適切な運賃設定による収益性の確保
(3)行政負担のあり方の見直しによる交通事業者の経営基盤の強化
を実施してまいります。
なお、詳細は下記ページをご確認ください。
・上田市・青木村地域公共交通利便増進実施計画
実施時期
令和7年10月1日(水曜日)から
※青木線20時台の復活及び長久保線の停留所増設は令和8年4月1日からの実施を目指しています。
令和7年10月1日からの時刻表について
時刻表については以下のページをご覧ください。
具体的な事業内容
1.路線バス運行ルートの再編
傍陽線・菅平高原線・真田線(渋沢線)
(1)パターンダイヤの導入(傍陽線・菅平高原線・真田線)
・「上田駅停留所」から「真田地域自治センター入口停留所」間について、
菅平高原線、傍陽線及び真田線の3路線による平日の日中における30分間隔でのパターンダイヤ化を
実施します。
※パターンダイヤとは毎時0分、30分発など、一定間隔で周期的に運行されるダイヤを指します。
(2)運行本数の増便及び渋沢線の廃止(菅平高原線・渋沢線)
・渋沢線の「菅平口停留所」から「上渋沢停留所」までを廃止し、その運行分を菅平高原線に
振り替えるとともに、一部臨時便の通年運行化を行うことで、菅平高原線を1日4便増便
いたします。
※渋沢線を利用する中学生についてはスクールバス対応を行います。
(3)運行ルートの再編(菅平高原線)
・現状の運行ルートで生じている折り返し重複区間の解消や点在するスキー場へのアクセスの
円滑化を図るため、菅平高原内を循環する形に路線を再編するとともに、観光客が集中する
裏太郎エリアへの路線延伸を行います。
・また、「郵便局前停留所」、「リゾートセンター前停留所」及び「農協前停留所」を
「菅平高原アリーナ停留所」に集約するとともに、停留所を敷地内に設置し安全性を確保します。
運行ルート詳細については以下のPDFをご確認ください。
塩田線・信州上田レイライン線
(1)運行ルートの再編
・運転手不足や両路線の低い収支率を踏まえ、廃止を検討いたしましたが、
両路線を統合することで路線を維持いたします。
・また、利便性を維持、向上させつつ、合理的かつ効率的に生活及び観光利用に対応するため、
朝夕の往復1便は、沿線地域の通勤通学の移動手段として「上田駅停留所」から
「別所温泉停留所」間を運行し、日中は塩田地域内の生活施設、鉄道駅及び観光施設を結ぶ、
循環運行といたします。
・運行ルート詳細については以下のPDFをご確認ください。
◆塩田線(信州上田レイライン線)路線再編内容 [PDFファイル/579KB]
(2)運行期間の延長
・現行の塩田線は通年平日のみの運行、また、信州上田レイライン線は4月から11月のみの
運行でしたが、循環運行部分については 生活、観光需要の両面を考慮し、
原則、通年・毎日運行といたします。
久保林線
(1)運行ルートの再編
・運転手不足や低い収支率を踏まえ、廃止を検討いたしましたが、
高齢者の買い物に寄り添う路線として再編することで維持いたします。
・多くの商業施設等(スーパー、複合商業施設、診療所)を結ぶことで、
日中の高齢者等の買い物需要等の充足を図ります。
※JAN!JAN!タウン、西友上田東店、ツルヤ上田中央店、イオンスタイル上田、
下田眼科へ停車いたします。
・運行ルート詳細については以下のPDFをご確認ください。
祢津線(令和7年4月1日より実施)
(1)運行ルートの再編
・「町吉田停留所」から「中吉田坂上停留所」までの狭あい区間を回避し、
交通事故を防止するとともに、商業施設を結ぶことで利便性を向上させ、
日中の高齢者等の買い物需要の充足を図ります。
・また、ツルヤかのう店を始終点することで、利用者の待合の利便を高めるとともに、
運転手の労働環境の向上(休憩、水分などの補給、トイレ等の確保)も図ります。
・なお現状、上田駅停留所から花園停留所までの間は、千曲バスの5路線
(鹿教湯線、武石線、青木線、室賀線及び祢津線)が運行されている重複区間であるため、
本路線については、上田城跡公園前を通過するルートにするとともに、
「上田城跡公園前停留所」を新設いたします。
・運行ルート詳細については以下のPDFをご確認ください。
鹿教湯線、武石線
(1)パターンダイヤの導入(鹿教湯線・武石線)
・「上田駅停留所」から「丸子駅停留所」までの間について、
鹿教湯線及び武石線の2路線による平日の日中における1時間間隔での
パターンダイヤ化を実施します。
(2)20時台の運行復活(鹿教湯線)
・20時台に「上田駅停留所」を発車し、「丸子駅停留所」を終着とする便が1便復活
いたします。
青木線
(1)パターンダイヤの導入
・「上田駅停留所」から「青木ターミナル停留所」までの間について、
平日の日中における1時間間隔でのパターンダイヤ化を実施します。
(2)20時台の運行復活(令和8年4月実施を目指す)
・20時台に「上田駅停留所」を発車し、「青木ターミナル停留所」に至る便の回復を
目指します。
長久保線
(1)停留所の新設(令和8年4月実施予定)
・「上田駅停留所」から「丸子駅停留所」までの間において停留所新設を目指します。
上田市街地循環バス
(1)運行ルートの再編
・慢性的に渋滞が発生する国道18号線をできる限り回避することで、
運行の定時性を確保するとともに、様々な世代が利用する
健康増進施設(アクアプラザ上田)に乗り入れを行います。
・運行ルート詳細については以下のPDFをご確認ください。
◆上田市街地循環バス路線再編内容 [PDFファイル/339KB]
アリオ上田線
(1)運行ルートの再編(アリオ上田線の廃止)
・アリオ上田停留所から上田駅停留所までの間について、慢性的な渋滞が発生し、
遅延の原因となっていること、また、同区間は利用者も少なく、上田駅から徒歩圏内である
ことから、全ての路線について、「上田駅停留所」を始点とすることで定時制を確保します。
・これにより、「菅平高原線」、「真田線」、「傍陽線」、「豊殿線」、
「信州上田医療センター線」は「アリオ上田停留所」に停車しないこととなります。
※千曲バス(株)「アリオ上田入口停留所」は残ります。
※「上田市街地循環バス」、「オレンジバス」はこれまでどおり
「アリオ上田停留所」へ停車いたします。
2.路線バス運賃の改定
ゾーン制運賃の導入について
導入の経緯
(1)運賃低減バス運行事業の効果の継承
・平成25年10月から実施してきた運賃低減バス運行事業(最大運賃500円)の
効果と課題を検証し、その事業の効果(利用者の負担軽減、運賃確認等に係る負担軽減)を
継承できるゾーン制運賃を導入いたします。
※ゾーン制運賃の導入により、運賃が改定となりますが、運賃低減バス運行事業の導入前の運賃
よりは、安価な設定となっております。
(2)本来運賃との乖離の是正
・2度の消費税の引き上げが考慮されておらず、また昨今、人件費、燃料費が高騰しています。
・これらの要因から運賃低減バス運行事業導入当時は本来の運賃と低減後の運賃の差が
2倍程度でしたが、現在は最大4倍程度に達しているものと試算されます。
・この本来運賃との乖離を是正するためにゾーン制運賃を導入いたします。
ゾーン制運賃とは
(1)ゾーン制運賃について
・上田駅を中心として、上田駅からの距離を勘案し(目安2km)、
概ね同一生活圏となる地域ごとにゾーンを設定いたします。
※ゾーンの詳細及び運賃については、下記運賃表をご確認ください。
・同一ゾーンの中での乗降は100円となり、ゾーンを跨ぐごとに100円を加算し、
運賃の上限を1,000円といたします。
※以下、上田駅から乗車した際の最終的な(5年後の)ゾーン運賃
(2)経過措置
・利用者の皆様の負担軽減を図るため、経過措置を設け、最長5年をかけて段階的に
運賃を改定いたします。
※路線によっては5年を待たずして最大運賃となります。
(3)通学定期乗車券の料金据え置き
・通学にバスを利用する学生の負担軽減を図るため、通学定期の運賃は現行額に据え置きます。
※新運賃での定期額が安くなる場合は、新運賃での金額が適応されます。
(4)高頻度利用者の負担軽減
・TicketQRプリペイド券について、現状10%の料金上乗せ(プレミアム率)がございますが、
これを20%に引き上げ、路線バス高頻度利用者の負担軽減を図ります。
※上田バス、千曲バスプリペイドカードが対象
引き上げ後:5,000円の購入で6,000円分利用可能(プレミアム率20%)
引き上げ前:5,000円の購入で5,500円分利用可能(プレミアム率10%)
※詳細については以下のPDFをご覧ください。
ゾーン制運賃の導入について [PDFファイル/2.17MB]
対象となる路線
市内路線バス(長久保線、上田市街地循環バス、オレンジバス、上田松本直行バス、美ヶ原高原観光バスを除く。)
※なお、中仙道線・丸子線については、市内間の乗降についてはゾーン制運賃が適用され、市外からは現行運賃となります。
【市内⇔市内(ゾーン制運賃)、 市内⇔市外(現行運賃)】
オレンジバス運賃の見直し
・昨今の燃料費等の高騰及び老朽化した車両の更新を見据え、運賃を以下のとおり改定いたします。
なお、支払い方法は現金のみとなります。
改定後運賃:一律200円(高校生以下、障がい者手帳所有者は100円。なお、小学生以下は無料)
※現行運賃:一律100円(60歳以上、障がい者手帳所有者、小学生未満の幼児は無料)
路線ごとの運賃はこちらをご覧ください。
〇上田バス(株)運行路線
・菅平高原線、真田線 (5年で最大運賃)[PDFファイル/1.41MB]
・傍陽線(4年で最大運賃) [PDFファイル/958KB]
・塩田線(3年で最大運賃・循環運行部分は一律200円) [PDFファイル/820KB]
・久保林線(1年で最大運賃) [PDFファイル/626KB]
・豊殿線(2年で最大運賃) [PDFファイル/663KB]
・信州上田医療センター線(1年で最大運賃) [PDFファイル/620KB]
・西丸子線(2年で最大運賃) [PDFファイル/722KB]
〇千曲バス(株)運行路線
・祢津線(3年で最大運賃) [PDFファイル/241KB]
・鹿教湯線(5年で最大運賃) [PDFファイル/1.33MB]
・青木線(5年で最大運賃) [PDFファイル/356KB]
・武石線(5年で最大運賃) [PDFファイル/1.41MB]
・室賀線(5年で最大運賃) [PDFファイル/325KB]
〇東信観光バス(株)運行路線
・中仙道線(1年で最大運賃) [PDFファイル/274KB]
・丸子線(1年で最大運賃) [PDFファイル/271KB]
3.運行協定支援事業の創設
創設の経緯
路線バス事業における令和5年度収支率は、平均で約30%にとどまっているとともに、バス事業者における路線バス事業の令和5年度赤字額は1億1千万円余に達しており、その赤字はバス事業者が負担しています。
このような赤字での運行が常態化している路線バスについて、企業努力と内部補助が限界を迎える中で、このまま新たな対策を講じなければ、路線バスの維持どころか、バス事業者の経営存続さえも危ぶまれる状況である路線バスを確保・維持するために、公的支援の拡充を図ります。
※収支率:運行に生じる費用を運賃収入でどれくらい賄えているかを示す数値
事業内容
路線バスの運行について、上田市とバス事業者の間で5年の運行協定を締結することで、行政とバス事業者が一体となり5年間の路線バスの運行を確保・維持します。
市では運行維持のため、バス事業者へ路線バスの運行に係る欠損額から国・県補助額を控除した額を運行協定支援交付金として交付します。
また、大変厳しい市の財政下において、持続可能な公的支援の拡充を実現するために利便増進事業の特例措置(国補助要件の緩和、補助上限額の引き上げなど)を活用するとともに、現行の路線バス運行補助金と運賃低減バス運行事業負担金を運行協定支援交付金に一本化し、国の特別交付税措置を最大限活用することにより財源を確保します。
※詳細については以下のPDFをご覧ください。
運行協定支援事業について [PDFファイル/986KB]
4.その他
交通事業者の人材確保に向けた取組
(1)会社説明会の定期的な開催
「バスの運転体験ができる会社説明会」を年3回程度、「タクシーの業務体験ができる会社説明会」を年1回程度開催し、ドライバーの確保に努めます。
(バス会社説明会については、11月9日に第6回を開催予定。タクシー会社説明会については、7月に開催済み。)
また、消防職員の転籍、退官自衛官の再就職、外国籍人材の活用、移住定住施策との連携、職場環境の改善等あらゆる人材の確保手段を引き続き検討・研究します。
(2)上田市普通自動車第二種運転免許取得支援制度の創設
タクシー事業者が負担する二種運転免許取得費用に対して、令和7年度から3年間限定で支援を実施します。
※バス事業者が負担する大型二種免許取得費用については、運行協定支援交付金に含め支援いたします。
TicketQRでのQRコード共通券化
路線バス(上田バス、千曲バス及び東信観光バス)及び上田電鉄別所線に導入しているキャッシュレス決済・TicketQRによるQRコード決済について、交通事業者間で異なっているQRコードの共通化を図るとともに、将来的な共通割引、共通定期化等について研究を進めます。
わかりやすい情報提供に向けた取組
(1)バス路線図及び時刻表の作成(令和8年度末までに)
・現行のバス路線図と時刻表について、利用者や観光客にわかりやすい路線図と時刻表に更新するとともに、市内共通の系統番号の付与等の導入の研究を進めます。
(2)GTFSの整備
運行協定支援事業の対象となる路線バスについてGTFS(標準的なバス情報フォーマット)を整備することで、Googleマップ等の経路検索サービス内にて、バスの運行ルート等を確認できるようにし、利用者の利便性向上に努めます。
路線バス利用者説明会について
本ページでご説明させていただきました路線バスのおかれている危機的現状及び「上田市地域公共交通利便増進事業」の詳細について、令和7年4月9日から4月25日の間、「路線バス利用者説明会」と題し、市内9会場で説明会を開催いたしました。
詳細については以下のページをご確認ください。
終わりに
公共交通は社会インフラであり、また、自動車を利用することができないいわゆる交通弱者の方の貴重な移動手段であり、利用しない方にとっても渋滞和緩和や環境負荷及び他の行政コストの軽減といったメリットがあります。
しかし、人手不足や赤字の常態化等により、その運行維持は非常に厳しい状況となっておりますので、まずは現状の公共交通を確保・維持していくため、今回、地域公共交通利便増進事業を実施することといたしました。
上田市の移動手段の要となっている路線バスをしっかりと守らなければ、その先の利用促進やより利便性の高い運行方法等の実現に向けた施策を実施していくことができません。
事業実施に当たっては、利用者の皆様、交通事業者、市民の皆様、国、県、市のそれぞれの役割分担のもと、必要な負担をお願いし、みんなで公共交通を支えていくことが必要です。
是非、御理解と御協力をお願いいたします。