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常楽寺本堂茅葺屋根葺き替え(差し茅)工事現場見学会を開催しました
常楽寺本堂茅葺屋根葺き替え(差し茅)工事現場見学会を開催しました
上田市では、上田市文化財保存活用地域計画において、文化財の保存と活用の推進として、文化財建造物の修理の際の見学会などを積極的に開催することとしています。
令和5年7月29日(土曜日)に常楽寺本堂の茅葺屋根葺き替え(差し茅)工事の現場見学会を開催しました。
当日は多くの子どもたちにも参加いただき、約60名の皆様に差し茅の作業を見学いただいたほか、文化財に触れ、関心を高めていただく機会として、仕上作業の体験をしていただきました。
また、境内には国の重要文化財である「石造多宝塔」や市指定文化財の「石造多層塔」があり、この日は学芸員の説明を交えて見学いただき、文化財への理解を深めていただきました。
1 工事概要
本堂は平成9年に市指定文化財に指定され、平成15年に全面的な修理工事が行われ、江戸時代享保期の姿に復元されました。
また、平成30年には南面と西面の葺き替え(差し茅)を行い、文化財の維持が図られています。
今回は宗教法人常楽寺が事業主体の工事で、茅の抜けや苔などが目立つようになった北面の葺き替え(差し茅)を行います。
差し茅は、茅をすべて入れ替えるのではなく、傷んだ部分を取り除き新しい茅を足していく手法です。
2 見学会の様子
今回、現場見学を開催した常楽寺本堂の正面と北面の差し茅前の茅葺屋根の様子です。
長い年月の経過から苔や木が生え、傷みが生じているのが見てとれます。
見学会開始前に常楽寺の松景住職よりご挨拶をいただきました。
また、上田市教育委員会生涯学習・文化財課より文化財の説明をしました。
いざ、現場見学へ
少人数のグループ毎に作業用の足場へ上がり、職人さんの作業を間近に見ていただきました。
鉄骨の足場よりさらに高い茅葺屋根の上での職人さんによる茅の差し込み作業の様子です。
職人さんより行っている作業の説明や使用する道具の説明をしていただきました。
仕上の刈り込み体験をしていただきました。
皆さんなかなか思うようにはいかないようでした。
後日差し茅が完了し、茅葺屋根が綺麗になりました。
左の写真が差し茅前、右の写真が差し茅後です。
また、差し茅をすると完了後は古い茅と新しい茅の横縞がみられるのが特徴です。
今回の見学会では一度に皆さんが見学することができないこともあり、待ち時間に境内にある石造多宝塔(国重要文化財)と石造多層塔(市指定文化財)を学芸員の説明を交えて見学いただきました。
3 参加者の感想(一部抜粋)
参加者の皆様からは以下の感想をいただきました。
今後の事業展開につなげていきたいと思います。
・一生にあるかないかの体験でした。ありがとうございました。
・初めて見るものばかりで楽しかったです。
・普段見ることが出来ない光景と職人道具類に感動しました。
・屋根ふきかえの貴重な現場が見られて良かった。職人さんとお話できたのも良かったです。
・近くで作業を見ることができて興味深かったです。文化財の修理を担う職人が多くない事、将来が心配です。
・作業も実体験させてもらえてよかったです。
・かやの厚みに驚かされました。良いものをこれからも残していきたいですね。
・普段目にすることのないふきかえ工事を見学できて楽しかったです。自然の材料を使い、未来につなげていく知恵がすごいと思いました。
・めずらしい仕事を見せていただきました。今後もこのような見学会をお願いします。
・貴重な体験ができました。又、次の機会にもぜひ参加したいと思います。
・本堂の天井を拝見する機会がいままでなかったので、それもありがたかったです。
・塔の説明も聞けて良かったです。
・行政の支援もあり実施されてよかったです。立派な観光資源として永く保存されるためのよい行事でした。
・このような見学会を行い、上田の文化度があがると思います。
【子どもの感想】
・きちょうな体けんになって、かやぶきのことについてよく知れました。
・かやはすすきだと分かってびっくりした。
・おもしろかったです。かやを切らせてくれてうれしかったです。またきたいです。
・かやを切る体けんをさせていただき本当にありがとうございました。楽しかったです。おうえんしてます。